リー・キット展を観て。

9月から開催されている、原美術館のリー・キット展、行こう行こうと思っていたが、色々別の用事で忙しかったせいもあり、タイミングが合わなかったが、今日やっと観てくることが出来た。

作品数は少なかったが、何回も各ギャラリールームを回って観ることになった。感想めいたものを少し。

基本的に原色は最小限に活用し、淡い白い系統の色をレイヤーで重ねて見せるインスタレーションであったり、ペイントであったり、プロジェクターを使った作品が印象的だった。日常生活の収納 BOXやシルクカーテンなどを用いて、ただ作品単体のスケールではなく、ギャラリーの空間をプロデュースするデザイナーのようなアーティストだと、受付の女性のギャラリーガイドのような親切な説明もあり、感じ取ることができた。レイヤー要素でいえば、図形的に四角形を多用して、その四角形も正方形という無機的なものではなく、長方形であったり、少し斜めに傾いた線を持つ四角形であったり、目に刺激的ではないのだが、有機的な印象を受ける作品が多かった。一見、すぐ通り過ぎて、見過ごしてしまいそうな作品たちなのだが、きちんとアーティストの意図が、そこにあることが、何度か回廊して理解出来て、考える、知るという作業を、一度頭の中に入れて、また感性で観れるという二回性の鑑賞も出来た気がする。

あとは、作品の中に、メッセージが流れているのだが、その意味合いも深く理解する必要はないような気がした、これも英語のメッセージを感覚的に視覚に入れる、作品の要素として、感性で感じるという鑑賞方法でいいような印象を受けた。あくまで、個人的な見解ではあるけれど。あと、グラフィカルにいえば、カンバスの作品などでは、メッセージをペイントで消す、ティーザーのような効果を多用していて、それも、本質的なアーティストの意図は、たぶん、自分には分からなかったのかも知れないが、印象的な作風だった。

インスタレーションが作品の中心である認識で観に行ったが、その原美術館の大分を占める、空間づくり、それが建物ひとつを使った、リー・キットのインスタレーションの総体になっていたように思う。今、そう感じて書いているが、たぶん、自分の感じ方は、そんなに間違っていない(そもそも、鑑賞方法に正誤はないとも言えるが)ような気もする。ほとんど、予備知識がなく観に行ったが、最後、カタログ(写真集)まで購入したので、よく感性に響いたのだろう。リーキット展は、品川の原美術館で、今月24日まで。興味がある方は、お勧めしたい美術展のひとつなので、足を運んでみてはいかがだろうか。

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