写真のあった場所へ(4)

前回からだいぶ時間が経ってしまったが、今日はリバーサルフィルムの体験について少しだけ。友人のフリーカメラマン(Contaxの一眼レフとレンズを一緒に買いに行った友人)が「リバーサルフィルムじゃないと、自分の技術的な腕前が分からないよ、ネガを街の写真屋に出しても、すべて補正されてしまうから」とアドバイスを昔してくれて、実際プロが使用する現像所(お店の体だが、ポジをじっくりと見れる場所)に連れて行ってもらった経緯もあり、自分も試してみたくなったのが発端だ。どこで購入したかは失念してしまったが、リバーサルを買い、Contax T3に装填して色々なシーン、被写体を分からないながらに撮り続けた日々を思い出す。

いちばん印象的な出来映えの1枚は、近所のイタリアンバルのオーナーを店前で撮ったもの。その構図はネガフィルムでも撮ったことがあった気がするが、T3のマニュアルモードをそれなりに設定して撮ったリバーサルの物は、色の艶やかさ、目で実際に見た感じと同質とも言える再現性に少し驚いた。天候の比較的いい屋外の環境だったので、マニュアルの細かな設定も必要なかったのだと、今は思う。最近プリントし直したこの1枚は、2Lのサイズに伸ばして大切に保管している。

その話で行くと、夜室内(店内)で撮ったその時の彼女の写真は、淡くボケた感じに撮られていた。それはそれなりに雰囲気があって、ただのピンボケではなかったのだが、露出不足だったりとか、細かな原因は分からずじまいだったが、まだ技術的な未熟さを感じた。(とは言っても、初めてのリバーサルフィルムの1本目だからとも思う)

夜の被写体で言えば、その彼女が住んでいた小岩の小さな河川にかかっていた橋からの夜景がある。これも、もちろんリバーサルで撮った物。橋の手すりにT3を置いて撮った1枚なので、手ブレの心配がない。露出はどうしたのだろうか、あまり覚えていない。その出来映えは、夜の街灯りが、ほのかに温かみのある感じで光を発していて、また空に向けて、ただの黒い夜ではなく、少し深い青さがグラデーションとなり黒い夜の天空に続く1枚で、まだ手入れの余地はあるが、悪くはない1枚に仕上がっていた。

リバーサルフィルムの世界というとアマチュアのカメラマンでは、そのコストや、少しデジタルカメラにはない手間がかかることなど、ハードルが高いジャンルになってしまうが、また高性能のフィルムカメラを手にした暁には、トライしてみたい世界だな、と思っている。

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