心の病と対処療法、今、書けることの幸せ。(最後に)

今、思い出すと、精神科入院というと、外界から檻で隔絶された閉ざされた世界を想像していたが、(実際、院内の美容室で髪を切ってもらったり、コンビニで好きなお菓子を買って食べたり、併設のレストランでカフェラテを家族と飲んだりetc.)至って、内科などとあまり変わりのないような入院生活だった。もうちょっとあまり普通の人が経験できない貴重な体験を書けるかなと思って書き始めたが、膵炎の治療の方が大変だったという認識ばかりが思い出されてしまうので、精神科という入院治療については、もうこんな感じだったのかという気持ちになってもらえれば、それでいいような気がする。
心の病、それは本人にとっては人生の痛手であったり、先に進めないつまずきであったり、マイナスな作用も多々あるのだろうが、今、こうして振り返ってみるとたくさんの大切な気づきがあった。
最初の会社で心身症になった時は、ああ、もう出世は無理だな、出世コースから外れたなと思って落胆したものだ。マイナス点の烙印を押されたというか絶望に近いものを感じたりした。おそらく、会社人生というもののゴールを、社長や役員クラスになるということと、おぼろげながら想定していたのだろう。でも、それは、そればかりではないことが心の病になって分かった。出世街道という高速道路をただひた走るばかりが、サラリーマン人生ではない。下道を行く人生が確かにあるということが、身をもって知ることができた。30代の自分は、病気も完治していないのに人生のリベンジとばかりに、むやみにとは言わないが、名の知れた大企業に勤めることを目標にしてしまっていた。今、考えると、せっかく下道の走り方や歩き方を知ったのに、また、高速道路に乗ろうとしたのである。それでは目標が入社というウェイトが大きいものでしかなく、その先、会社で具体的に、1年後、5年後、10年後、何をしていたいかまで考えられていない弱さがあったと思う。高速道路には乗れたが、目的地(社長、役員)までの過程が想定できていないのも良くなかったと感じている。とにかく、高速道路を一旦降りて正解だった。このことは大手食品会社に中途採用されて正社員になった経験や、そこで上手くいかなかったことも、別の機会にひとつのテーマとして取り上げて書かなければいけない。
この心の病にかかった時は、少しはメンタルヘルスという言葉も見受けられるようになった時期ではあったと思うが、社会的に大きく認知されていない病気だったように感じている。自分も病気にならなければ、会社の産業医(メンタルヘルス)の待合室にたくさんの社員がうつむいて椅子に並んで腰掛けている状況を知るよしもなかった。自分だけの特殊な病気ではなかったのだと気付かされた。築地のクリニックの待合室もいつも満席で、まだこの手のクリニックが需要に追いついていない感じもしたし、同じような病気で悩んでいる人がたくさんいて、やはり、改めて自分だけではないのだと思ってしまった。
今では、企業もコンプライアンスや就労管理にきちんとした組織が対応してくれているので、自分の当時の切羽詰まった状況も減ってきてはいると思うが、社員の心のケアなくしては企業は存続しないとまでは言わないが、間違いなく企業のミッションとしてメンタルヘルスは欠かせないものであるという思いに変わりはない。おそらくこの人間関係の複雑化した社会において、心の病は社会生活を営んでいる全ての人に関わる問題だと感じている。それをまだ、気づきの段階としては遅すぎなかった30代で経験したことは、病気は確かに辛いものだが自分の人生にとって良かったことだった。
最後に。確かに辛い30代だったという振り返りをこの連載でスタートさせようとしているが、ただ気づきがあった、振り返れて良かったということもあるのだけれど、虚無感の繰り返しとも言える何もなかった40代の後半になって、心の病や対処療法を、自分なりにクリア出来始めているという感じがする。実際にこうやって、ある程度の時間集中して文章が書けている。記憶力の低下は、システム手帳を有効に使い始めた。そういうこともこの虚空の40代には、本当に何もしなかった。やっとこの今になって、心身ともに自身きちんと健康管理したいと感じているし、少し実践もできていると思うのだ。とりあえず、書いて自分を表現することが、好きになったので、この連載中には辛いテーマもまだまだ書かなければいけないが、せっかく好きなことを見つけたのだから、このマガジンをしばらくは続けていきたい。健康第一で、何かを書いていくことだけでも、自分にとっては大きな一歩だと感じている。

この連載は「another LIFE」と称して、手帳を元に書き起こしたマガジンの基本、無料の記事ですが、もし読んでくださった方が、興味があり、面白かったと感じてくださったならば、投げ銭を頂けると幸いです。長期連載となりますが、よろしくお願いいたします。

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Ryo Chiba

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Ryo Chiba

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