吉高信（よしたかまこと）講師のアカウンティングⅠ（財務会計）のクラスも全６回終了し、4月期の３科目（組織行動とリーダーシップ、ファシリテーション＆ネゴシエーション、アカウンティングⅠ）が全て終わった。

来期もまた、人材マネジメント、パワーと影響力、ファイナンスⅠと３科目受講。今年度は３科目受講が続くが３つはちょっときつい。来期からはもっとタスク/スケジュール管理をして計画通りに進めようと思う。

【テーマ】コンプライアンス及びガバナンス
【ケース】セールスフォース・ドットコムにおける収益及び費用の認識

【学びの概要】
今回が最終クラスということで、Day1～5までに学んだことを総動員してディスカッションに臨む。が、予習不足で浅い考察しかできていなかった…。

セールスフォースドットコム（以下、SFD）はCRMという顧客管理サービスを提供する企業。創業当時の1999年、顧客管理システムというのはオーダーメイドでクライアント企業内にシステムを構築するというのが一般的だった。そのため多額の初期投資やバージョンアップ費用がかかり大企業しか導入できないものだった。時代がオンプレミスからオンデマンド、インストール型からクラウド型と転換していく中で、クラウドとサブスクリプションという今では当たり前になっている仕組み（いわゆるSaaS）をいち早く提供していったのがSFDだ。創業以来増収増益を続け2005年にNASDAQ上場も果たしている。

今回のクラスでは、1999年当時の市場、競合、自社の分析から業界KSFとSFDの戦略を導き出し財務諸表/財務指標との関連性を見つけること、会計において繰延処理という手法を選択した意図と効果などをグループでディスカッションした。

P/Lのコスト構造から、なぜこの費用が大きくなっているのか、なぜそうしなければならなかったのかをビジネスモデルから読み取り、繰延処理ではP/L、B/S、CFSを横断的に見ることでどんな影響が起こるのかを学んだ。繰延処理をしない場合、営業利益、税金、一株当たり利益、株価などが変化するが、SFDの今後の戦略において何を重要視して意思決定するのか。CEOの意思決定を疑似体験するワークがあり最後はもやもやする形で終わったが、そもそも経営の意思決定とはそういうものだ。

今回のクラスでの学びは、自社の戦略やビジネスモデルにプラスして、会計処理方法の選択によって財務諸表や財務指標がどう変わってくるのか、その変化は自社にとって都合がいいのか悪いのか、戦略に沿ったものになっているか、事業活動を適切に現わしているかなど、数字と現象(事業実態)の整合性を取ることの重要さを学んだ。

【介護業界への転用】
今年始めのシルバー産業新聞に数十社に及ぶ介護大手企業の今年の豊富が載っているのを思い出した。各企業の豊富で最も多かったのは確か「M&Aによる拡大戦略」だった。（うろ覚えなので違うかもしれない…）

財務諸表から、企業の特長やビジネスモデル、ストーリー、強みや弱みなどをあぶり出していくのはM&Aの時にこそ力を発揮するところだろう。買収側だけでなく、いつかバイアウトを考えている企業も少しでも高く買ってもらうには財務諸表をきれいにしておくことを考えることが重要だ。

例えば採用費を見れば、離職率を確認するまでもなく採用力や職員定着率といった仮説が立てられる。採用費に数百万(人材紹介手数料など)もかかっている会社は、職員の離職が多く、かつ自力で採用もできない会社なのかなと見られてしまう。

今後確実に進んでいく介護保険サービス事業者の統合において、買う側も売る側も事業実態と財務諸表の整合性におかしなところがないかしっかり分析し、事業の意思決定をしていく必要があるだろうと思う。

【自社での実践に向けて】
自社の財務諸表の場合はストーリーもビジネスモデルも分かりきっているので、財務諸表から分析するということはあまりない。しかし自社の強みや弱みというのは見事に財務諸表に現れていることが分かった。あまり管理できていない費用の不安定さだ。残業代、消耗品費、福利厚生費など費用管理していない科目のおかげで営業利益が安定しない。自社の弱みが何か、財務諸表に見事に浮かび上がっている。

財務諸表は結果にすぎないが、予測財務諸表を作ることでそこに合わせていくことは可能だ。吉高講師からクラス最後にいただいた格言が、「未来を予測する最善の方法は、それを“発明”することだ。－アラン・ケイ－」だった。安定しないのは安定させようとしていないからだ。これからは費用管理ちゃんとやろう、と思った。