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ケアマネジャーが抱える連携の難所

先日、医療介護連携においてケアマネが果たすべき役割についてミーティングする機会があった。そこで、連携とは具体的に何をすることなんだろう、ケアマネは実際何をすればいいのだろうと悶々と考えた。

例えば、入退院時のケアマネと病院の連携を円滑に進めるために、窓口が誰かを決めるとか、情報提供に各医療機関で共通書式を使用するとかそういう動きがあったりして、それはそれでいいことだ。

しかし連携の難所ってそこではないんじゃないかと思う。

ケアマネジャーの役割は広範に渡るが、担当する利用者や家族の意向に沿い、専門的な意見も加えつつ利用者の望む暮らしに近づくためのプランを描き、チームメンバーを選出し、チーム形成を行い、総合的な援助方針や目標に向かってチームメンバーの進捗管理や軌道修正をしていくのが、主な役割だろうと思う。ここでいうチームメンバーとはケアプランに位置付けられたサービス担当者のことだ。

ケアマネジャーが日々連絡を取っているのは、主治医や介護サービス事業者、行政、利用者、家族などだ。この連携の要となるのがケアマネの役割だ。

ケアマネジャーが現場で動く時、連携といったビッグワードはケアマネの頭の中には存在せず、主治医のA先生、訪問看護師のBさん、ヘルパーのCさん、デイサービス管理者のDさん、福祉用具業者のEさんといった個人と日々コミュニケーションを取り、援助方針や目標に沿ったサービス提供がなされるように行動変容を促すにはどうしたらいいのかという問題に直面することがある。

そして、それらの関係者は所属している法人も違えば、上司でも部下でも同僚でもない場合も多い。こういう人たちを繋ぎ合わせてチームとして機能させていくのがケアマネという仕事の難しさじゃないだろうか。

ケアマネジャーはまさに、バウンダリー・スパナー(境界連結者)だ。

バウンダリー・スパナーとは、組織や部門の境界を越えて行き来することができる風通し役であり、調整役であり連携の要となる役割を担う人のことだ。(トップ画像がスパナなのはここと掛けてます)

立場が違えば視点が異なる。医師と看護師と介護職員では、必要とする情報も重視する情報も違うだろう。法人が違えば文化も異なり手順だって異なる。そういう人たちを相手に、「そういうことならやってみようか」とその気にさせて思い通りに動いてもらうというのが、ケアマネジャーの連携における最大の難所でありやりがいではないだろうか。

お互い人間なので、なんとなく馬が合わないとか、価値観が全然違うとか、笑いのツボが違うとか、しゃべり方が気に入らないとかあるだろう。中には、上から目線で頭ごなしに否定してくる人、昔の常識を引きずって知識を更新できていない人、明確な根拠を示さず意見を押し付けてくる人なども、もしかしたらたまにいるかもしれない。

しかしそれらを受け入れ、うまく対処し、超越していくのがケアマネジャーの連携における役割なんだろう。

主治医のA先生が欲している情報は〇〇で連絡の方法は△△を好むとか、看護師のBさんはこんな人に好意を抱きやすいとか、ヘルパーのCさんはこんな頼み方をされると断らないとか、デイスタッフのDさんは家族に弱いから家族経由で働きかけようとか、対個人における有効なコミュニケーションを把握し、その人たちに適合するパワーを獲得し、相手に合わせて有効に発揮していけるのが、連携の取れるケアマネジャーではないかと思う。

さて、このテーマで2~3時間の研修を企画しないといけないんだが、どうしようかな。

介護サービスの会社を経営しながら、経営学を学ぶため大学院に通っています。起業前の13年間は特養で働いていました。介護現場と経営と経営学、時々雑感を書いています。記事は無料ですがサポートは大歓迎です(^^)/