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個展を開くことにしたので考えてみた

10月12〜27日まで、小さなギャラリーで個展を開くことにした。今日は宣言文として、どうして個展をするのか記録を書き溜めることにした。ちなみにギャラリーの場所は、ものかたり

アーティストでもなく、専門的な教育を受けたこともないけど、どうしても個展を開かなくてはいけない。なぜかというと、尊敬するSmilesの遠山正道さんが33歳で個展を開催したからだ。

大学院のとき就活で2つだけ会社を受けた。一番関心が湧いて学んでみたいと思えたのは、田舎の旅館再生をしている星野リゾート。こちらは1次面接で普通に落ちた。そしてもう一つは、言ってる意味はよくわからないけどどうしようもなくワクワクしたSmilesだった。

Smilesは、スープのSoupStockTokyo、ネクタイブランドのgiraffe、新しいリサイクルのPass the baton、今では越後妻有の大地の芸術祭や、瀬戸内国際芸術祭にも出展している。理念が本当に面白くて、「世の中の体温を上げる」って説明会で言ってた。論理思考万歳だった私には、「こんな会社があるのか」とびっくりしたことをよく覚えている。

代表の遠山さんは、元三菱商事の商社マン。企業内起業した事業がSoupStockTokyoだった。その企画書が斬新で、「1998年、スープのある1日」という物語。で読めるので興味がある方はぜひ。企画書が物語って最高じゃない?もちろん後から緻密にお金の計算はしてる。でも、「ロジカル万歳なビジネスの世界で、物語を提示すること」はROCKだ。

問題解決とか、相手のニーズを満たすことで価値を提供するのがビジネスという考えを大学生のころいろいろな本や講義で聞いてきた。でも、課題を課題と捉えることを前提としているのが嫌だった。同じ世界観を社会で共有することが苦手で関心がわかない。そんなとき、「やりたいことをやるビジネスモデル」として自由に事業を展開する遠山さんの語る”ビジネス”がとても心地よかった。それそれ!みんなそれぞれの世界観で生きていいんじゃんね!

昨日、台湾の学生から「台湾もまちづくりがうまくいかない。課題を解決するのに、地域住民の考え方を説得しても変えられない」と言われた。京都の知人からは「まちづくりは地価を上げることだと言われて話が噛み合わなかった」とメッセがあった。地域おこし協力隊を3年つとめて、それからもまちづくりに関わる人たちの支援を続けているけど、世間で言われるいわゆる「まちづくり」の世界観が固定化していることに違和感がある。あまりに理想化されて、「まちが一体となって、稼いだり制度を変えたりして、住みやすい町にしましょう!」みたいな。そして「素晴らしいリーダーが現れて、町を作ってくれるはず」みたいに誰かがやってくれるのを首を長くして待っている。

そういう世界って、狂ってる。もし1人のリーダーが町を完璧に変えるなら、どこか独裁的な雰囲気が出てくるし、町を好きじゃない人にとって暮らしにくい町になるだろう。きっと、これからも私が暮らす町は住みやすい町にはならないし、ボロ儲けもできないし、制度もなかなか変わらない、町の暮らす人々はみんな意見が違ってまとまらない。だれも来てくれないし、町を変えてくれない。どんなに善意をもって町のために取り組んでも却下されることなんてざらにある。課題を解決した先に幸せがあるのかさえわからない。でも、そんな世界が普通だし健全とも思う。

だから、遠山さんは物語を描いたと思う。狂って腐った世の中でも、1人1人が見える世界が愉快になるように。ビジネスのルールに対抗して企画書をものがたりで作った。ビジネスのあり方に一石を投じたと思う。相手のルールにのりながらも距離をとって、世界の矛盾の中でなんとか新しい世界や価値を作ろうともがいている姿がとっても魅力的だ。

そんな彼が、33歳でタイルに絵を描いた作品の個展を代官山のヒルサイドテラスで開いた。1年間かけて70個の作品を作り上げた。ステージに上がって夢が叶ったと思ったら、次のステージに向かうためのスタート地点にいたことに気付いたそうだ。

秋田にきて6年目。 今まで学んだり考えて大切にしてきた価値観で生きてきた。お金にならないけど、本質的だと思うことに取り組んで、いろいろ失敗したし辛い思いもした。でも、たくさん新しい世界を知ることもできた。東京にいるときは”写真家”という職業があることさえ知らなかった。写真なんてだれでもとれるし、そんな違いなんてあるわけないじゃんと思ってた。でも、今では10人くらい写真家と知り合って一緒に仕事をした。カメラを通して写真家が切り取る1枚の一瞬に、多くのメッセージがのせられることが今ならわかる。そして、ShareVillageProjectの立ち上げに関わって、美術大学とも仕事をするようになった。Artistたちと交流するなかで、どんどんArtに夢中になった。



だから、個展をやらなければいけない。遠山さんが33歳で開催したから。秋田で新しい世界を知ったから。そして、もう一歩先のステージがあるなら見てみたい。そのために、まず恥ずかしいけど今の自分を素っ裸で表現したい。理由のない必然性がある。やらなくていいのに、やらなければならないことがある。

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