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Report_8[NorwayStudyTour]-校長先生が学校経営で一番大切にする”Democracy”-

Report_8[NorwayStudyTour]-校長先生が学校経営で一番大切にする”Democracy”-

10日間のNorway滞在でもっとも私が衝撃を受けたこと。それは、滞在3日目にFusa高校でプログラムの振り返りの際に、日本の先生から「Norwayは教育について満足しているか?」という質問への回答でした。

Fusa高校のHavard校長が答えます。

「私たちNorwayは、教育に多くの予算を割いている。しかし、国際学力比較調査(PISA)において投資に見合う成果が出ていないことを悔しく思っている。」

意外にもNorwayなど北欧諸国が必ずしもPISAで高いランキングを維持している訳ではない。PISA2018に日本は不参加など、学力以外の評価を含め、学びへの議論が広がっている。

参考:https://blogos.com/article/386700/

では、Norwayの教育について、良いと思っているところはあるのだろうか?

「学力などの評価には満足していません。でも、私たちの学校経営、ないしシステムには納得しています。なぜなら、学校に”Democracy”が根付いていること、十分な”SocialCare(社会福祉)”が整備されているからです。」

私はこのときびっくりした。Norwayの教育システムの良いところの最初にくるのが「Democracy(民主主義)」だったから。きっと「教育内容が優れている」とか「最先端の教育施設」とか言うのかと思ったのに予想を裏切られた。

そして、この答えの意味がまだ私には理解できていない。

「なぜ学校経営で民主主義がそこまで大切なのか?」

Norwayという国として、年齢、性差、職種も超えてフラット(対等、平等)な関係性へ移行している。学校の授業においても、教員が一方的に話すときもあるが、まずは対話からはじまる。人は先生(Norwayの教員が日本でいう”先生”と同じ役割ではないっぽい)から学ぶとき、彼らを”先生”と認める、ないし”共に学ぶ仲間”という関係性の土台が必要だ。それなしに、Norwayでの学びは成立しない。

学校運営においてもそうだ。なにかイベントをするにも、学生と協議しながら進めている。または、学生たちが主導して教員が活動を支援する場合もある。いつもそこには対話がある。価値観の相違があれど、協力しあうことや、対立したときに違いをそのままにしておくことも、民主主義と平和を深く理解していないとできないことではないか。答えを出さないことも民主的だと思う。

学校というコミュニティに民主主義が根付いているからこそ、国という大きな単位でも民主主義をもとに暮らしていける。国政選挙でも投票率は8割を超え、政府への信頼度も高い。それは、民主主義を育むこと、民主主義と生きることを訓練してきたからではないか。それに比べ、日本で民主主義を”体験”として学んだことが少なくとも私はない。

世界情勢も国内改憲の動きも目まぐるしい中、私たちはそもそも”国を良くしていくための振る舞い方”を身につける機会があったのだろうかと考えてしまう。決して民主主義が全てだとは思わない、一方で資本主義と一緒で、多数決や資本のゲーム化のように形骸化したシステムだけが残っているのが現代のよう。

あらためてその考えの根源に、他人とともに暮らすことに立ち返ってみなくては。そして、社会をよりよくするための生き方を、小さなSocietyとして高校で体現しているNorwayがある。Norwayの高校経営の視点の高さに、私の頭はまったく追いついていかなかった!

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