その視線の先に 〜大久保嘉人〜

大久保嘉人が川崎フロンターレに戻ってきた。

話題の新鮮さはあまりないがなぜこのテーマで執筆するのか。それは試合中の大久保の意識の違いやプレーの違いを感じ取ることができたからだ。

話は遡るが、大久保が川崎の地を離れると決意したのは2016年末の話。この年、川崎フロンターレは創立20周年ということもあり、サポーターやメディアからも優勝候補の一角として期待されていた。しかし、チャンピオンシップ準決勝で総合勝ち点で勝ち点13離れていた鹿島に下剋上をくらい”初タイトル”への希望は決勝に行く前に打ち砕かれた。

川崎は唯一、”初タイトル”の可能性が残されていた天皇杯を順調に勝ち進みクラブ史上初となる決勝に駒を進めた。そんな中、”ある”一報がネットを駆け巡った。その内容は「川崎大久保FC東京へ完全移籍」という物だった。記事の題名を明確には覚えていないが、この情報を知ったときは開いた口が塞がらなかった。それもそうなるはずだ。彼はここ川崎の地で絶対的な地位を築き、J1リーグ3年連続得点王、そしてJ1最多得点記録と結果を残し続けていた選手。いわばチームの”核”が移籍するということになる。

大久保自身は2018年ロシアW杯のメンバー入りを狙っていた立場でもあった。だからこそ、このタイミングでの移籍はかなりリスクの高いものだったに違いない。
結局、川崎は天皇杯決勝でまたも宿敵鹿島に延長の末1−2で敗れてしまい、節目の年に”初タイトル”を獲得することはできなかった。

創立20周年の2016シーズン全日程終了の3日後、公式サイトにて大久保のFC東京への完全移籍が発表された。

チームのことを『本当に大好きです。』と前置きした上で『サッカー選手である以上は、常にチャレンジをすると自分の中で決めていますし、このチャレンジでまた違った道を作っていけるように頑張ります。』と大久保は最後までストライカーらしい”ハングリー精神”の塊だった。
2012年から指揮をとっていた風間八宏監督の退任もすでに発表されていたので川崎フロンターレは2017シーズンを”新体制”で迎えることになった。

新指揮官はコーチから昇格した鬼木達監督。
よく言われる”鬼木エッセンス”は川崎になかった”粘り”というものを魅せつけ、得点71・失点32そして、得失点差39と既存の圧倒的な攻撃力に加え、安定した守備力がついた。

長い長い2017シーズン最終節、大宮を本拠地等々力陸上競技場に迎えた川崎。
鹿島が勝利したらそこで”初タイトル”の夢が砕けてしまうという状況にあった川崎だったが、なんとか最終節まで優勝の可能性を残していた。
勝利が絶対条件であったが、試合開始早々、阿部の得点で先制すると小林がキャリア初となるハットトリックを達成し、ロスタイムには長谷川のダメ押し弾が決まり5−0と圧勝。
試合終了の笛と同時に鹿島の試合もタイムアップ。
大型ビジョンに結果が映し出されたと同時に初優勝が決定した。

この年、川崎フロンターレの主将となった小林だが、Jリーグ最優秀選手賞、ベストイレブン、得点王と輝かしい成績を収め川崎の絶対的エースになった。

川崎の街が優勝ムードの中またもや”彼の”ニュースが世間を騒がしていた。その彼とはご察しの通り大久保嘉人だ。
今度は『復帰』という文字が連なっていた。

そう。川崎に出戻りという報道だった。

正直、今の川崎には小林悠、中村憲剛、家長昭博、阿部浩之と攻撃的なポジションの選手たちは昨季の優勝に貢献したメンバーばかりでスタメンの保証はない。

しかし、大久保は戻ってきた。

公式サイトで発表された時にこんな言葉を残していた。
『覚悟を持って、チームのために結果を残す。』
この言葉こそ、今年の大久保嘉人を表している。

ワントップが定位置だった大久保だが、今シーズンはトップ下をはじめ様々ポジションで試合をこなしている。時にはベンチのみの日もあったりと以前なら納得がいかなかったはずだ。

ただ、今回の移籍はそれを承知の上。

恩師風間監督率いる名古屋グランパスとの試合では途中出場だったが、見事、ファーストタッチで決勝点を挙げた。川崎に復帰してからのリーグ戦ではこれが初ゴールとなった。

『リーグ戦はあまり出ていなかったが、最初から出れば取る自信はある。』

ACLなどには出場していたが、リーグ戦ではなかなかチャンスを得られていなかった。
だが、絶対的な自信が彼の中にはある。
だからこそ、今の大久保はなんでもする。守備にも全力を尽くし、組み立てにも積極的に関わる。以前の在籍時と人が変わったわけではない。おそらくゴールが最終的な目標に変わりはないだろう。しかし、今の大久保はチームの為に走っている。

『本当に好きなんだなと。』

チーム愛がチームのためとなり、それが自身の得点にも繋がってくる。批判は承知の上。川崎の地でまた輝くために帰ってきた。

次は大久保嘉人と共にタイトルを。
大久保はその目標を霞むことなくまっすぐに見ているに違いない。

おかえりなさい。

”川崎の嘉人”

(RYUJI.I)


今回、この記事を書かせていただくにあたり川崎フロンターレ公式HPを使用させて頂きました。

リンクは下記より。

川崎フロンターレ公式HP


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