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【2019】第6節 C大阪戦 レビュー

前節行われた松本戦で見事今シーズン初勝利を飾り、勢いそのままにホームに帰還したが結果は引き分け。リーグ戦、ホームで未だ勝ちがないフロンターレだがここは耐えなければいけない時期であるのだろう。

しかし、一方で知念がプロ入り初の2戦連続弾を記録した。

これには『2試合連続はやはり自信にはなる』と言いつつも『自分がもう一本決めていればという悔しい思いが強い。』もう一度あったチャンスを決めきれなかったことを悔やんでいた。

試合は続く。進むこと以外選択肢はない。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『相手が攻守に意思統一しながらやってくるなか、先制点取られてしまったのは反省点。』(田中碧)。
楽にやられてしまった先制点。”前に重心を”かけたが故に生じてしまったスペース。

②『前半は、”それ”がちょっと足りなかった。後半は、何も難しいことはしていない。』(中村憲剛)
前半と後半での違い。そして鬼木監督が言及する3つのスピードの協和音。

では。
 
①『相手が攻守に意思統一しながらやってくるなか、先制点取られてしまったのは反省点。』(田中碧)。
楽にやられてしまった先制点。”前に重心を”かけたが故に生じてしまったスペース。

試合を通してコンスタントにペースをこちら側に引き寄せ、試合作りという部分では主人公になれはしたが、柿谷に与えてしまったあの1点で試合の展開は一時セレッソ”次第”になってしまった。

『フロンターレは相手チームの陣地でプレーするのが快適なチームで、逆に自分達の陣地でプレーする時に苦しむ。攻撃はそうではないのですが特に守備のところで、そういう特徴のあるチーム。』と相手指揮官が言うように、フロンターレは比較的自陣での守備は相手陣内よりかは強度が落ちる。

後ろの守備を否定しているわけではないが、この試合の具体的な例を挙げるとすればカウンターというところになってくる。

例えば、ソウザがセンターエリアでボールを奪取した場合。この時点で素早いカウンターをセレッソは仕掛けてくるが、フロンターレはサイドバックである鈴木と登里がビルドアップに関わっているために、2シャドーの清武・柿谷コンビへの対応が遅れてしまう。

これに連動するように大外の大きなスペースに丸橋と松田がオーバーラップを仕掛けてくる。ボールを奪取されたエリアがセンターエリアということで必然的に田中や守田の対応も遅くなってしまう。

田中は『守備においても相手のシャドー、ボランチを含めて、少し後手を踏んで自由にやらせてしまったところがある。』と反省点を挙げていた。

だが、結果的にはそのようなカウンターから得点を奪われていないのでそこはディフェンスラインの集中力とカウンターに対する適切な処理能力があったからだろう。

前半の出来を守田は『45分で守備の形を作るというか、ボールの奪いどころを考えていたが、相手に自由にやられてしまったところがあった。』と相手に気持ちよくプレーさせてしまったことを守備の反省点として挙げていた。

これの1つの要因としてはサブタイトルの通り、チームが前がかりにプレーしてしまったために生まれてしまったスペースである。

攻撃のベクトルが一方向を向いているというのは非常に良いことではあるが、時にして後ろの”守備のベクトル”も揃えなければ簡単にやられかねない。

”守備のベクトル”というのはどこを見て守るのかということであって、同じ場所を見つつもまた違うところを見なければ、攻守の人数が同数よりもはるかに多かったとしても簡単に決められてしまう。

その例が柿谷に与えてしまった先制点だ。

あのシーンは単純に言えば前への重心をかけすぎたという点と相手のシャドーに幅を”わざと”取られてしまったために奪われた。

前へ重心をかけすぎたというには守田や田中が2シャドーの柿谷と清武をチェイシングする形になってしまったことだ。最終的には清武に対して守田がマークに付きに行ったが、それも時すでに遅し。相手にとってはあまり関係のないプレーになってしまった。

前を向いた状態かつ構えた状態で相手との距離を詰めていくことができればまた違った展開になったのかもしれない。

そして、さらに1つ振り返りたいのは柿谷が丸橋からパスを受けた後のシーンだ。このnoteの一番下にある公式ハイライトの2:12のシーンを見て頂きたいのだが、この時点で柿谷対して谷口・奈良・守田・田中・鈴木が矢印を出してしまっている。

これをしてしまったために相手はフリーの選手がさらに楽になり、さらには清武がおとりになったため、柿谷が思い描くままにされてしまった。

一度中に進行方向を変えた動きがあったが、あれは清武を巧く使ったと考えても良さそうだ。

『軽い守備で失点してしまったのは申し訳ない。』と奈良が悔やむように、細かい部分で相手に楽にさせては失点は止まらなくなってしまう。

即興の修正力がチームにとって必要である。

②『前半は、”それ”がちょっと足りなかった。後半は、何も難しいことはしていない。』(中村憲剛)
前半と後半での違い。そして鬼木監督が言及する3つのスピードの協和音。

前半は先制点を献上してしまったが、後半開始早々の知念の同点弾を機に反撃の狼煙をあげたフロンターレ。その後半の内容に関しては『逆転したかった。』と阿部が言うほど良いものになった。

確かに見ている側としても、攻撃はスムーズに進められていて多く相手ゴールに向かうことができたはずだ。それはスタジアムの雰囲気も同じように「逆転」という文字が何度もちらついた。

阿部は『後半に関しては攻撃は良かった。攻撃自体は良かったし、守備もそんなにやられそうな雰囲気もなかった。』とかなりいい状態でプレーできていたということを振り返っているが、前半と後半で出た違いを中村は『そんなにバタバタしなくても良いところで、テンポというか間というか、相手を見てやれていない』と振り返りつつこう続ける。

『中と外、右と左と振れば、空いてくるディフェンスだった。ちょっと無理めに縦パスを入れたり、ためてためて縦パスを入れたりとか、そこを閉めてくるなら、外を使えばいい。外に広がったら、また中に戻せばいい。前半は、それがちょっと足りなかった。後半は、何も難しいことはしていない。』

単純に相手をパスで動かせばいい。それは相手を見ながら。ある意味原点回帰してやれればまた違ったのかもしれない。

そして、鬼木監督が言及していたのは様々なスピードである。

『前半のところはいろんなところのスピードを上げすぎてしまっていたというところ。自分たちの走るスピードもそうですし、パススピードを含めて、コントロールをもっと自分たちの体が動かしやすいようなスピードでやるべきだった。』と走力とパスに関して前半は自分たちが楽に出来るスピードよりも速いスピードになってしまった。

そして、後半は『判断というところで言うと、もっと逆にこれはスピードは上げていかないといけないという風に思っている。』と振り返るように判断のスピード。いわゆる決断力が少し遅いというのが目立っていた。

守田が以前、『色んなところが見える』と言っていたように、多くの選択肢が見えてしまうが故に起こってしまう現象ではあるが、そこはどうしても改善していかなければこのサッカーをする上でブレーキになってしまう。

この3つのスピードという音が共鳴した時に真の”フロンターレ”という曲が成立する。

『右サイドはコンビネーションで成熟していないし、まだチャレンジしているところなので。』と阿部が言うように試し、試しな部分がある。そこは特効薬があるわけではないので時間が解決するしかない。

まだ時間がかかりそうだがフロンターレの持っている底力は計り知れない。それは胸に輝く2つの星が物語っている。

(RYUJI.I)

参照:

川崎フロンターレ

DAZN

↓公式ハイライト↓


サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。