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【2019】 第9節 ヴィッセル神戸戦 レビュー

周囲からは注目されていた一戦だったが、選手たちにはそれよりも勝ち点をいかにしてアウェイの地で奪うのかというところに考えが集中していたように思える。

多くの怪我人がいる中で”総力戦”という言葉がよく使われているが、誰が出ても勝ち点を奪える。そんなチームを日頃から作っているからこそ、今節のような戦いができた。

まだまだ戦いは続く。気が緩む時間はないだろうが、それでもいかにリラックスして次々とやってくる試合をこなしていくのか。チームには”それ”が求められている。

さて、今回のラインナップはこちら。

①『一連の流れが完璧だったと思うし、今後につながるんじゃないかなと。』(長谷川竜也)
このメンバーが故に生まれた”強み”。そこから生まれた頼れるキャプテンのリーグ戦初ゴール。
②『押し込まれた最後の時間でも集中力を切らさず勝点3をとれたこと、これは本当に選手の頑張りだったと思っています。』(鬼木監督)
逃してきた勝ち点。課題を克服した戦い方。

以上の2つです。では。

①『一連の流れが完璧だったと思うし、今後につながるんじゃないかなと。』(長谷川竜也)
このメンバーが故に生まれた”強み”。そこから生まれた頼れるキャプテンのリーグ戦初ゴール。

いつものメンバーからは家長や阿部が不在。そして、試合後に判明したことではあるが、脇坂が怪我で欠場。必然的に長谷川と齋藤がスターティングメンバーに名を連ねることになった。

彼らの武器は川崎のサッカーとはまた異なったリズムを作り出せることができるドリブルである。細かいパス交換を繰り返す中でのドリブルは一瞬で相手の矢印を撹乱させることができる。

齋藤は『自分は中には入るけど、外もという両方の使い分けをしようと思っていた。』と試合中の狙いを明かしている。

このタイプの動きは相手からしても脅威であって、相手からしても自由にさせたくない選手であったに違いない。

試合を通しても神戸にボールを持たれたり、持たさせたりという場面が多かったが、その状況は今節の川崎の狙いでもあった。(詳細は②で)

『最初は神戸に持たれていた。そこで自分らのペースに持っていくにはどうするのか。そこでわざと自分が間に入ってドリブルを何回かした。』と齋藤が言うように、カウンターとまではいかないにせよ、速攻混じりのドリブルは大きく相手に影響を与えたはずだ。

ただ、長谷川はドリブル以外のところでも結果を出したいという。

『要所は突いていけたし、キープの判断もできた。』と良い部分もあったが、それでも『もう少しボールを触ってワンツーで裏に抜けるプレーもやりたかった。オフザボールのところはもっと突き詰めていきたい。』と周りとの連携をさらに深めていきたいというところだ。

得点シーンに関しては『マナブくんがカットインして、知念がニアゾーンを狙って、ユウさんがシュートのこぼれ球に詰めるというのは狙っていた形。』と長谷川が言うようにこのメンバーだからこそ生まれた形だった。

齋藤がカットインしたことは前述したような効果があること。そして、以前からも強調している”ニアゾーン”をどう制圧するのか。

『マナブが持って知念を使って、知念が枠に飛ばしてくれた。試合前からオニさんが、枠に強いボールを打てば、こぼすからと話していた。蔚山戦もそうだったが、こぼれ球は狙っていたし、良いところにこぼれてきてくれた。』と小林が振り返るように、小林はあの場所に偶然いたのではなく、必然的にあの場所にいた。

簡単に崩して生まれた得点であったが、そこには基盤があり、選手たちが同じ絵を描けていたからこそ奪うことができた。

『ここからは取っていきたいし、どれだけ取れるか楽しみ。』というエースと共にこれから上に進んでいく。


②『押し込まれた最後の時間でも集中力を切らさず勝点3をとれたこと、これは本当に選手の頑張りだったと思っています。』(鬼木監督)逃してきた勝ち点。課題を克服した戦い方。

『今日は勝ちに徹した。失点した後も、みんなで話して、勝てばいいからと言った。』と小林が言うように、この試合の川崎はいつもと違った。

相手にボールを持たれる時間帯が多く、それは試合を見ていれば重々伝わってきた。ただ、この状況を「持たれているのか」それとも「持たせているのか」。ここの部分の意識をきちんと分けて判断し試合を進められたのが勝因とも言える。

確かに『最初は神戸に持たれていた。』と齋藤が振り返るように中々こちらが最初から主導権を握れない状況だった。相手には何本か危ないシーンも作られており、あそこで失点しなかったことはチームとして大きかったのではないかと思う。

「バルサ化」というスローガンを掲げているチームなだけに通常の相手よりかはボールポゼッションやパスなどにはこだわりを持ってやってきているはずで、そこを止めようかと思ってたとしても思い通りにはいかない。

大島は『システム的な話では相手の中盤の選手の方が多いので、ミスが出るのは仕方がない部分もあった。』と振り返っており、数的不利な状況でボールを刈り取られるシーンもあり、普段とは多少状況が異なっていた。

ただ、そんな中でポジティブな要素もあったと言う。

『そこまでナーバスになることなく、みんなで声をかけ合いながらやれたと思う。選手同士がいい距離感だったと思うし、途中から入った選手も含めてピッチに立った選手全員で耐えていたので、そこまで慌てることはなかった。』

相手にボールを「持たれた」としても選手たちの距離感が自分たちの距離感であればそこで水漏れする心配はない。だが、これは「持たせている」時でも同じことで、自分たちの距離感を崩さなければ、自分たちの”箱”の中で勝負することができる。

川崎としてはあまり「持たれ」たくはないだろう。しかし、主力を多く欠いているこの状況に加え目が揃っているメンバーが多いという訳でもない。そういった意味では戦い方も総力戦で挑まなければならない状況になってくる。

だが、『(スコアが)2-0だったから、勝って帰ることに自分はシフトチェンジした。』と馬渡が言うように、選手たちには「内容よりも勝ち点を」という考えが頭にあった。

結果的には82分に古橋に反撃弾を浴びたが、それでも巧く時計の針を進めて試合巧者ぶりを存分に発揮して敵地で勝ち点3をもぎ取った。

リーグ戦やACLも含めて試合終盤やロスタイムなどに失点し勝ち点を多く逃してきた今シーズン。そんな中でも勝ちきれた理由を小林はこう振り返る。

『最後は苦しかった。でも、あの嫌な雰囲気で、アウェイで失点した後で勝ち切れた。それは今年の反省点を生かすことができたと思う。』

反省を早い段階で復習することができた。ここから先も90分間緩まない戦いを披露していってほしいところだ。

(RYUJI.I)

参照:

川崎フロンターレ公式HP

DAZN

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