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ゆる漫画レビュー:第6回『スカベンジャーズアナザースカイ』

オススメのマンガを、ゆる〜く紹介していく「ゆる漫画レビュー」。
第○回目は、『スカベンジャーズアナザースカイ』を取り上げます。

作者は『狩猟のユメカ』の古部亮さんで、この方は「第一種猟銃免許」を所持されているそうですね。銃に対するこだわりは相当なもので、本作でもド迫力のガン・アクションが楽しめます。

『スカベンジャーズアナザースカイ』古部亮(秋田書店)

主人公の少女・トトは、謎の研究施設“停留所バスストップ”を拠点に活動する“収集隊スカベンジャー”です。
収集隊は停留所からBPブラックパレードと呼ばれる別次元の異界へと送られ、限られた時間内に幽霊を撃破し、戦利品を手に入れて停留所に帰還します。トトはこの“ゴミ拾い”で日銭を稼ぎながら、停留所から自由の身になるために100万ドルを集めようとしています。

生まれてすぐに停留所に連れてこられたトトは、施設とBPの景色しか知りません。BP内の偽物の空セイムスカイではなく、いつか本物の空アナザースカイを見てみたい。それが彼女の願いです。

トトは優秀な収集隊で、幽霊撃破数は1位。ある日、相棒のハナと訪れたBP内で、宇宙服を着た不気味な幽霊を見かけるのでした。

……と、以上が本作品のアウトラインになります。
ただ、このような主人公や世界観に関する設定は、最初には提示されません。トトたちのミッションを通じて、少しずつ明らかになっていきます。
それをもどかしく感じるとか、ストレスになるかというと、そんなことはなく、段階的な情報開示の手際がいいので、「自分の頭の中に作品世界を少しずつ描き出していく」という楽しみが用意されています。

あとやっぱり、この作品の最大の魅力は、なんといってもアクション・シーンでしょう。スピード感あふれるガン・アクションが素晴らしい。
……紙に描かれた絵を「スピーディ」と感じるのも、不思議なことですよね。その理由として、間を取って緩急をつけていることが挙げられます。激しいアクションが始まるその直前に、ふとした刹那の静寂のコマを挟むことで、静から動へのトランジションを効果的に演出しています。
それから体重移動の自然さ。「そちら側に重心が傾いていたら、移動できる方向は限定されるよね」という状況で、きちんとそちら側に移動しているので、アクションからアクションへのつなぎがスムーズになり、ストレスを感じません。

このように冒頭では作品世界のリアリティレベルを高く設定しておきながら、この作品には物理神秘アーティファクトと呼ばれる武器も出てきます。BP内の怨霊アヴェンジャーがドロップする物理神秘は、特殊な使用条件と引き換えに、超常的な超破壊力を発現できます。この設定、ゲームのハクスラ的な楽しみを予感させてくれますね。
リアリティレベルの高い作画で表現される物理神秘の超破壊力は、まさにスペクタクルと呼ぶにふさわしいもの。
“硝煙の匂いが漂ってくるような”リアルさと、能力バトルのようなスペクタクルが仲良く手を繋いで同居しているのが、この作品の持ち味です。

探索、撃破、収集のワクワク要素をきっちりと押さえた、個性豊かな少女たちのガン・アクション。気になる要素があれば、チェックして間違いはないはずですよ。

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