12月9日~12月15日

12月9日

きのうは朝まで飲んでいたので、昼は寝てから夜勤に行く。
日雇い労働は、予定があるときに休み、予定がないときに働ける。
すなわち、ワーク・ライフ・チョイスができる身分なのだ。

12月10日

4日連続で飲み会は調子に乗りすぎた。
通帳の残高を見ると、20円しかない。
ワーク・オア・デッドだ。
チョイスとかじゃねえ、
ワーク一択だ。

12月11日

アイホンで11日って打とうとすると、☆が出てきて鬱陶しい。
って気がついただけの一日だった。
2018年ももうすぐ終わりだ。月日が流れるのは早い。

12月12日

永遠なんかないことを知りたい。
永遠なんて信じた瞬間に消えてしまうとわかっているのに、またどこかにあるのではないかと探してしまう。だから、頭じゃなくて心で知りたい。だけど、どこに行っても何もかもが永遠にあるような顔をして、そこにある。そうでないことを探しているのに。

『バンド・オブ・ザ・ナイト』著:中島らも
世界の混沌と自分自身の不確実さを書き尽くした小説。
文法がない様で、不安定な人間独特の文法がそこにはある。

いまメインで働いている仕事が来週で終わることが発表された。
年末と年が明けてから何をして稼ごう。

12月13日

日雇い労働者は、僕が知っていた世界とは違う文化を持っている。
クリスマスの話など、一切でてこない。
「有馬や、有馬や!」
その話題で持ちきりだ。(有馬=有馬記念。中央競馬の一年を締めくくるレース)

そんな賑やかな日雇い現場で、ある賭け事が行われようとしていた。

”焼きそばUFOを4つたべられるか?”

山田さんが勝負を受けるか受けないかで揉めていた。
そこで、僕にも質問が飛んできた。
「竜崎くんやったら、4ついける?」

僕は山田さんを煽ろうと思って、意気揚々と答えた。

カップやきそばなんか、ふたくちで食べれますやん!
「嘘を付け!」
ほんまですよ!
「いくらなんでもふたくちは嘘やわ。」
毎日やきそばたべてる僕が言うんやから、間違いないです。
「ほんまやな?」
(やばい、なんか僕がやる雰囲気になってきてる)

「ほな、やってな。」
やっぱり。
こうして、僕は明日UFOよっつをはちくちで食べることになった。

12月14日

決戦の金曜日。
机の上には、山田さんと僕の分を合わせてやっつのUFOが高々と積み上げられている。
ルールは簡単だ。昼休憩中に山田さんはUFOをよっつ食べられたら1000円をもらえる。食べられなかったら1000円を払う。僕は、よっつをはちくちで食べられたら1000円貰い、負けたら1000円を払う。

勝負事は勝たなければならない。
できあがった4つのUFOを前に僕は意気込んだ。

ひと掬い目で、三分の二ほどを掴むことができた。
(勝てる!)
その確信とともに掴んだUFOを口の中に放り込む。

(うぐっ)

口の中に詰め込みすぎた。
咀嚼するスペースがない。息ができない。
苦しい。
嗚咽とともに涙が両頬を伝う。

そこで、遠巻きに見ていたパートのおばちゃんの怒号が飛んできた。

あほなことしなっ!!

ドクターストップならぬ、おばちゃんストップ。
僕は詰め込んだUFOをカップに戻し、一口目で敗北が確定した。

敗北が確定したにもかかわらず、もったいないからという理由でUFO4つを完食させられた。いじめじゃん。

そんな日雇い仲間と、来週は忘年会に行ってきます。

12月15日

明るいってだいじだ。
しいたけ.先生が言っている、
「「借金はあるが、サンマは美味い」って分けて感じられる人が借金を返せる人だと思う。」
っていうのは、本当にそうだと思う。

〈武士は食わねど、高楊枝〉
っていうのを座右の銘にしようと思う。