オルタードスケールと見せかけて…?ブレスオブザワイルドの音楽に学ぶ「緊張感のあるフレーズ」

こんにちは。
吉岡(@ryuchan_GGWL)です。

今回はゼルダシリーズの傑作「ブレスオブザワイルド」のBGMから
緊張感のあるフレーズの作り方を見たいと思います。

ブレスオブザワイルドの音楽


ブレスオブザワイルドは
普段各地を冒険しているときは環境音が中心で
あまり主張の強いBGMは発生しません。

戦闘中や馬で襲歩している時、寒冷地や火山地帯など一部地域に入った時
以外はたまにピアノが鳴り響くくらいです。

ですが何かのイベント時や特定の町やロケーションにいった時には
それぞれのBGMが発生するようになっています。

毎回ゼルダのBGMは非常にクオリティが高く、
またゲームに寄り添ったインタラクティブな演出にも
大変優れているように思います。

このゲームをインタラクティブミュージックの側面から見た
素晴らしいnoteが既に書かれております。
一時、一部界隈で話題になっていた覚えがあります。
その素晴らしいnoteがこちら。僕も楽しく読ませていただきました。

と、まぁ既にゲームの音楽としての素晴らしさは
こちらで存分に語られておりますので、
その方面での解説ではなく
純粋にイチ音楽として僕が「なるほどな〜」と学んだ
音楽的な手法について話してみようと思います。

神獣ヴァ・メドー戦は天空の戦い


このゲームはどういう順番で攻略しようが自由ですが
各地にいる4体の大ボスを撃破し、
神獣という巨大な古代兵器を奪還するのが
ストーリーの大きな目標の1つとなっています。

そしてそのボスの前に、
必ずそいつがいる「神獣」に乗り込みに
カチコミをかけるイベントがあります。

神獣は乗っ取られているので
リンクたちに敵対行動を取ってきます。
なのでボスに挑む前にまず神獣の攻撃をかいくぐり、
中に乗り込む必要があるわけですな。

神獣ごとにシチュエーションは様々ですが
この「ヴァ・メドー戦」は
空中での戦いとなります。

リト族の戦士テバとともに空を飛ぶ神獣ヴァ・メドーの
固定砲台とバリアを破壊する戦いでのBGMが
今回のお題曲です。

音楽はコチラ

ストリングスとブラスが主体となった
勇ましくも緊張感のある曲ですね。

空中戦という個人的に大好きなシチュエーションもあって
プレイ時は楽しく遊ばせていただきました。

この曲はAマイナーキーで、
ベースを固定したまま楽曲を展開するのも
ある種の緊張感を出すための手法として古くから用いられています。

が、今回着目したいのはその最初の部分ではなく、
その次、動画でいう18秒あたりから。

ベースがB♭に上がり、新しい展開がやってきます。
が、ここで上で鳴っているメロディにご注目。

なんだかどのキーにも当てはまらないような
妙なスケールを使っているんですよね。

どういうフレーズかというと、
こんな感じ。

一番上がメロディ、その下の16分のアルペジオがストリングスの刻み
低音部がベースやパーカッションのアクセント的リズムフレーズです。

そもそも音の記譜からして合っているのか微妙ですが
このメロディで使われている音程を並べると

B♭、C♭、C#、D、E、F、G、A♭

となります。なんでC♭とC#を
わざわざこんな読みにくい書き方しているかというと

僕は最初聞いた時、このスケールがB♭の
オルタードスケールなんじゃないかと思ったんですよ。

オルタードスケールは
ドミナントコードに必要なRoot、3rd、7thの
間に入る音を全てオルタードテンションで賄うスケールです。
♭9、#9、#11、♭13が上3つの間に収まるスケールとなります。

ジャズなどでよく使われるかなり癖の強い響きのするスケールです。

ですがオルタードスケールをご存知の方ならば
もうお分かりだと思いますが、上に書いた音の羅列は
オルタードスケールではありません。
そもそも使われている音が8音ある時点でおかしい。

前半は完全にオルタードスケールですが
後半がオルタードならF#が正解で、Gは存在しない。
従来のオルタードスケールなら
B♭、C♭、C#、D、E、F#、A♭が正しいスケールです。

どういうことなんだろう?と思ったのですが…


出だしだけオルタードからのスケールチェンジ?


これはあくまで僕の考察であり、
絶対に正しい!という話ではありません。

僕が思うにフレーズの最初のみオルタードスケールを採用し、
その後は元のダイアトニックに準ずる
メロディ優先のスケールにしたのではないかなと思いました。

先ほども書いたようにオルタードスケールは
かなり特徴的で癖の強いスケールなので
これで聴きやすいメロディを書くのは
なかなか大変だと思います。

そこで、出だしに特に緊張感の出るような
オルタードを活かしたフレーズを作り、
その後はより曲のキーに寄り添ったスケール音を
採用したのではないかな?というのが僕の予想です。

作家さんに聞いたら「ノリで書いた!」
とおっしゃられる可能性もありますけど笑

曲の途中でスケール(モード)を切り替えて曲を展開するのは
別に珍しい手法ではないと思いますが
今回はその切り替えがかなり早い使われ方をしていたので
なんかとても印象的で今回取り上げてみました。

・緊張感あるフレーズにしたい
・でも口ずさめるようなキャッチーさも欲しい

そんな方はぜひこの出だしだけオルタードスケール、
試してみるといいかもしれません!

といったところで今回はこの辺で!

ここの解説、こうじゃないかな?自分はこう思うのだけど!
などといったご意見は大歓迎です!

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