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【推しの子】神話要素の責任ちゃんと取ってね?

推しの子、144まで見終わりました。
とかく不毛な神話要素の回収が急ピッチで行われるような次の話に期待しつつ、とりあえずではありますが
この作品の特異点である神話要素という不安定な伏線に形を付けてちゃんと推しの子キャラ達のヒューマンドラマを楽しみたい!

と思っているひねくれ者である僕は、とりあえず復讐をテーマに置いた上での【神話】という限りなくSFな要素が野放しにされるのが気持ち悪く、着地点をどう見据えて作り込んでいるのか予想して今後の展開に膨らみを持たせられるように思考の足場を作りたいと思います。。。妄想で。。妄想です!!

【神話】それは主に【芦原中国平定】を主体とした日本平定の物語。
簡単に言うと、俺ツエー系の主人公が敵をバッタバッタとなぎはらい、途中でメンバーの女の子が鬱病になったりする話です。

はい、神話とはすこぶる面白く無く外連味の欠片もありません。というのも、これらは歴史上の史実を元に描かれて脚色されていたり時の権力者の支持基盤を固める為に作られた創作だからです。
エンタメというよりは、改編された歴史書に近しい。

このオモロナイ要素を漫画に取り入れたのですから、漫画では超面白い展開になる!わけではありませんな……。

① 神話要素=転生=フィクションの地盤固め

【推しの子】のメインストーリーは転生ではなく、復讐や芸能界での不幸話からのサクセスストーリーという王道要素。
この中に『転生』というノイズが混入し、普通の物語をオリジナルへと変化させるスパイスとなっている訳です。
つまり、『転生』という要素と、復讐、サクセスストーは二分された要素を無理やり調合して縫い目を綺麗にしたのが【推しの子】の骨格と成し、オリジナル要素のノイズが予測不可能だからこそ作品は唯一無二になる。
なので、本来必要性の無い要素を回収するという責務がある。
アイドル殺害編 復讐編 に、神話回収編が付け加えられる。
この神話の中に転生という要素をうまく混ぜ込み、ない交ぜてフィクションの陳腐さを和風に誤魔化すという事案になっています。

② 神話関連とツクヨミ

ツクヨミはこれからどんどんいじられキャラとして確立していきプッツン女神になるご予定だが、このツクヨミが【月読】であるなば、役者を揃えるとなると登場するキャラは予測可能。

【アマテラス】太陽神、自己中
【ツクヨミ】博打の神 運命の神 
【スサノオ】俺ツエー系元祖、ちゃんと反省する子
【アメノウズメ】羞恥心ゼロの踊り子 芸能の神
【アメノカガセオ】不服従の頑固者 星神

役者は揃えられたのですが、赤坂アカあるあるとして関係有りそうなキャラの名前を持つ者が物語に端役としてしか登場しなかったりする。
という仕様なので、深くモブ登場人物の名前に注意を払いすぎないのが大事。例 鳴嶋メルトは素戔嗚尊というスサノオの別名から頂いたっぽい名前かな?彼事態はあまり意味は無いのでスルー。叢雲の剣をふるっていましたよねメルトは。

まぁ手筈通りでは
【アマテラス】=【カミキヒカル】
【アメノウズメ】=【大穴で星野アイ、もしくはツクヨミ】
【ツクヨミ】=【少女A】
【アメノカガセオ】=【星野姓】
【スサノオ】=【大穴でアクア】【メルトも一応】

ツクヨミ曰く、【神】とは【神秘】を持つ者。
なら転生者も【神】として然るべき。

転生という路順にいくつかの神秘の工程が加わっている。
144話で出てきた【魂】を操る神、【世界】を作る神、【不条理と理不尽】を愛する神、【人】を愛する神。

まず魂という形而上の存在は記憶を持つものは脳内物質という表現で表せる存在してのようだ。転生後記憶を受け継いでいる為。

世界を作るはイザナギノミコト、イザナミノミコト。として考える方が普通。

【不条理と理不尽】の神ですが、これは【邪神】ではないでしょうか?
この邪神は、【服従しない神】を表し
【蠅聲 サワエナ】というハエの羽音という表現で絶対悪として表されています。
代表格筆頭が【天津甕星 アマツミカボシ 別名アメノカガセオ】です。

もしくは【禍津日神 アマツヒノカミ】でイザナミが黄泉で嫁のみそぎをした後に産まれた神

多いので画像貼っときます

もしくは、理不尽さや不条理から【黄泉国】つまり死を表す言葉かもしれません。
まぁ…運命という不条理を言い表すのなら【ツクヨミ】こそが不条理と言えますね。

人を溺愛する神様は、日本神話の解釈としては特定不可能ですが、優しい神様ということであえて言えば
いなばの白ウサギ伝説の【大国主神 オオクニヌシ】というスサノオの子孫でしょうか?

はい。ここまで出てきて、そんなに意味を持たない事を謝罪したい。ここらへんはもはや趣味の領域で深掘りする要素としてではありません。

③神のカジュアル化

推しの子内ての神話的匂わせは、ある種の考察呼び水のように得てして惑わす要素ではありますが。
ツクヨミというプッツン神をカジュアル化し、エンタメの一分として織り混ぜていることを鑑みて、やはり神話要素に対して赤坂先生は不安定な物だと理解している。

なぜなら、【復讐】を実行する際に【神話】というSFが角を丸くして殺人犯と父と子の緊張感から、能力バトル系のラスボスと主人公というバトルフェーズにスイッチしかねないからだ。
こうなれば下策も良い所なので、あえてこの作品は【神話】には触れるけれど、ちゃんとは触れ無い。
設定もとかく作ってはいるけれど、本来見せる場所は【芸能界でのキャラの動向】と【転生という要素】を加味したルビー、アクアの違和感ある演出。

要するに、神話要素をこってりと出しても読者はそんなの望まないでしょ?

という事。

赤先生は、インスタントバレットでも分かるように。
ヒューマンドラマのエンタメ作品には天性の才覚があるが、フィクション要素には不慣れで扱い方が下手です。
かぐや様での【キューバファリカンチモ】のようなフィクション要素を省いたのも、作品としての仕上がりに不満があった結果でしょう。

キューバファリカンチモは命を持ったチョコですが、要らないでしょ?その要素。という。
只、事後結果としてのエピソードならば合格であるためにない交ぜることもノイズとして面白くなっています。

④結局、一番怖いのは生きている奴だけ。

神や悪魔と言われても、結局の所一番登場人物に影響を及ぼすのは【生きている人間】です。
例えば、ツクヨミが肉体を持たずに、【アクア】と【ルビー】の幻覚として彼らの危険信号の記号化として描かれるのであれば、それは面白い演出だったと思います。
それは生きているからこその【歪み】であり、悩ましい現状を謎の少女という妄想で表せられるとても面白い要素です。

しかし、映画での子役が必要になったという事で彼女を実在化しよう!と思い立ち、キャラがたっていることと読者の裏切りを兼ねて、ピックアップしたのも容易にわかります。

結局は繋がっていて、現人神として登場させたのだからエンタメ要員になってもらうよ?
という決断に至ったのでしょう。
そしてそれは赤坂マジックによってちゃんと成功していますね。

結論  

推しの子という作品では、神話は記号化されたカジュアル要素であり。しっかりと作り込んだ設定も多少はあるのでしょうが、作品の大枠としてだけ機能して、結局面白いのはキャラクターの身の上話なので悪しからず。というような作りになっている。

ここに来て神話要素が嫌な意味でのノイズになっているのが少し気がかりで、
有馬かなと星野ルビーの仲直りのシーンでもどこかふわふわした感じになっちゃったなぁと内心不安です。

【私はママみたいにはならない】

このセリフ、星野ルビー17歳が言うからこそ現実味を帯びるがもはや最近のルビーは天童子さりなという30歳の女性という成熟さも見え隠れしているので、ピユアピュアな30歳というあえて言えば【大人になれよ三井状態】な違和感も持っているのが事実としてあります。

それに、兄妹恋愛というクセ強ラブコメの文化レベルの高さから、読者の意識がちょっとモラルとせめぎあうような?感じも無くもありません。

アクア、お前本当はルビーとキスしたかったんじゃないのか?!

という下衆の勘繰りを押さえきれない…。
別の役者使えば良いだろッッ!

というのが奴の発想として無かったんで、やっぱりあいつはムッツリ変態野郎です。

妹の初キッスは兄である僕が奪う!

そもそもロリ女の子に近づくという時点で、五朗も変態野郎です。

恋愛に行きたいのか?!復讐に行きたいのか!?
それとも、友情として落ち着くのか?!
それが今作のある種の見所です。

結論のまとめとして、やっぱり一番強いのは生きている人間だけです。
神だの悪魔だの、神話上の存在が突然日常に悪事や幸運を運ぼうがそれは普遍的な日常にも存在しうる要素としてあるために神秘性よりも不自然さを残す結果となります。
【殺人鬼】と【神】ならば、人間にとって最も厄介なのは【殺人鬼】に違いありませんから。

ツクヨミ、ちゃんと演技できるかな…。
【出来るし!舐めんなッ!】


このやり取りは人間として産まれ落ちた結果、感情が不安定になっているから。
もしくは、同類の神に言われると神でもムカつくということか?

【わかんねぇしッ!舐めんなッ!】


安岡力也、舐め猫、ツクヨミ。この三大舐めんなよキャラクターが出揃ったということでしょうかね。


PS
神話要素と赤坂アカについて話ましたが、私は赤坂作品の一番上手いなと思った神話要素の回収が。
前作【かぐや様は告らせたい】で、【石上優】と【子安燕】の関係性の着地点が【解無し】。
つまり、彼らの行動次第でどうとでもなるのだ。
と終わったのですが、
【解無し】とは【甲斐なし】のもじりで

かぐや姫に無理難題を言い渡された石上麻呂が、子安の燕貝を取って来るように求められました。
石上麻呂は屋根にある燕の巣に梯子をかけて貝殻をとってこようとします。
しかし貝殻を掴んだつかの間、梯子から落ちて骨折し、よく見ると掴んだのは燕の糞というさんざんな結果として終わります。
この事から、残念な結果を【甲斐無し】つまり【貝無し】というようになった説があります。

石上と子安先輩は、【甲斐無し】の関係性に落ち着いたのでしょうか?それは分かりません。なぜなら【解無し】だから。
という美しいメロディラインでした。
以上です。

PS
『キューバファリカンチモ』ではなく、『キューバリファカンチモ』との事です。
『デグチャレフ』を『デグレチャフ』と言ってしまうアレですね。
訂正とお詫びを

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