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アルバム収録曲「Memories of You」について

  さて更新に間が空いてしまいました。大変すみません。マイペースにお付き合い下さればと思います。

前回までの記事で大きな目標や作風の傾向について書いてきましたが、ここからアルバム収録曲の詳細について書いてみようかと思います。

そして今回はやはりアルバムの柱となるM1の「Memories of You」について、作曲のプロセス、本チャンの使用機材まで幅広く振り返ってみます。

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 この曲は2019年に亡くなった僕の友人(一緒にバンドをやっていました。)に捧げています。しばらくショックを受けて過ごしていたのですが、何か書けないかなと思いましてギターを手に取ったところ、、、スルスル、っと出来てしまいました。本当に頭からエンディングまで。。

あまりにスムーズに出来たので、引っかかった箇所や悩んだ箇所、プロセスの記憶がほとんどありません。。サビのメロが最初に出来て、ヴァースのピアノメロ、Bメロ、ソロ前のヴァンプ、と順番に出来ていったように思います。きっと彼が手助けしてくれたんでしょうね。英語にGiftedっていう表現がありますが、今でもこの曲はどこかから頂いたような感覚でいます。

 お別れの曲なのに楽曲が明るいトーンに仕上がっている事を何度か質問されましたが、これもかなり無意識な結果で、恐らく彼との良い思い出が多いせいだと思います。

 音楽的にはですね、ピアノメロを入れるのが僕は好きみたいでして、ヴァースだったりをピアノに任せちゃうっていう曲を何曲も作っています。理由はずっとギターメロだと飽きちゃうでしょ?っていうのもありますが、単純にピアノならではのメロディの優雅さが好きなんだと思います。David Fosterのソロ作品などからの影響でしょう。それとSteve Porcaroの曲中のソロでしょうね。Lukeのギターソロの前に必ずキーボードソロが来ますよね。笑

 ピアノメロにはスチール弦のAGでメロをなぞらせています。右チャンネルにいるのがわかりますが、こうすることでメロがより前に出ると思います。AGはMartin D18です。レコーディング向きのバランスの良い音をしています。

 Bメロには少しエレキのエッジのある音を聴かせたかったのでリズミカルなプレイになっています。そしてヴァンプへと。。ここは変拍子なんですが、これも無意識です。浮かんだメロディが変拍子でした。

  ギターソロパートはバンド全体がドライブできる感じに"1発もの"的な進行にしています。A Dorian → C Dorianです。そしてバンドメンバーにも期待に応えて頂いて、グルーヴィなパートに仕上がりました。ここは竹本一匹さんのパーカッションもぐっと出していますので、チェックしてみて下さい。

 ギターに関してはあとはe-bowとtremoloのかかったトラックが肝かなと思います。どちらの音色もカウンターメロを担当していますが、高い音域をe-bowで、低いパートをtremoloで担当しています。こちらもチェックしてみると面白いかと思います。低音弦でのtremoloサウンドのカウンターメロディを入れるのが好きなんですが、恐らくShania TwainのアルバムでのDann Huffや、Michael Thompsonの影響かと思います。前に出てこないでもなかなか良い隠し味になりますので、チャレンジしてみると面白いかも知れません。(実はたまにJ-popでも入ってたりします!)

 メインのメロディは1998年製のSuhr Classic。初期のSuhrで今の製品よりもう少し個性的な音がします。パワーも少なめで繊細でいて、枯れた音がします。これを3+のCH2で歪ませてメインメロを弾いていますが、ソロに入るとこれをIbanez TS-10で少しだけブーストさせています。メロを作ってる段階でこの組み合わせで作っていましたので、本チャンもそのまま録音しました。曲に合った欲しいトーンがしっかり録れました。Suhr ClassicのボディはSwamp Ash、PUは Suhr V60が三つです。(SuhrのPUは当初V60しかなかったですね。)

 余談ですが、Suhrの新品が高くて手が出ないようでしたらUsedで98年〜2000年くらいの製造年のものを探してみると良いかも知れません。お手頃な値段で抜群に良い音がするSuhrを手に入れられます。ブランドを立ち上げたばかりのJohn Suhrご本人が本気で作っているので、悪いはずが無いですよね。

 話を戻しまして、、他にリズムギターもWah Play含め、たくさん入っていますが、この曲に関してはシングルコイルのギターしか使っていないと思います。またDelay類やTremolo、Chorusは全ていわゆるカケ録りしています。プラグインの空間系は主にReverbだけです。あらかじめカケ録りしたほうが僕が欲しいサウンドになります。

 Bassの道太郎さんの機材ですが、

DIがHUMPBACK ENGINEERING High Definition D.I

BassがTino Tedesco 5/21

太くドライブしている中で繊細さのある組み合わせでした。DIを2種類ご持参頂いたのですが、コントロールの方で両方聴いて、HUMPBACK ENGINEERINGを使ってもらいました。

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 そしてDrumsの矢吹正則さんのキットはYAMAHAのキットで

バスドラ22”(オーク)
タムタム12"(オーク)
フロアタム14”& 16”(オーク)
スネア14”(カッパー)

という内訳でした。乾いた中にパンチがあるトーンということで、オークを持参して頂けました。

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 リズム隊は新大久保のFreedom Studio InfinityのC studioで森田良紀さんが録ってくれました。お部屋もちょうどいい広さでタイトなサウンドが録れました。森田さんの持ち込んで頂いた大量のOutboard類のお陰もあってとてもパンチーな音でまとめることができました。

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 パーカッションのダビングは稲葉ナルヒさん。こちらはBST StudioのA Studio。Neve 1081 、1073を使ってサクサクと録っていって頂きました。

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 ミックスも含めて最初から最後まで、作曲当初のイメージ通りの仕上がりになりました。これはなかなか無いようなラッキーなことなのですが、プリプロダクションの段階でしっかりと方向性と世界観が出来上がっていたのが良かったのかなと思っています。そしてやっぱりGiftedな力が加わったとしか思えないような、自分にとっても不思議な曲になりました。

 そんな事を踏まえてCheckして頂いたら嬉しいです。ではまた。





 

 

 

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