天皇杯 決勝 鹿島アントラーズ戦 レビューとミニコラム
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
元旦。
吹田スタジアムで行われた一戦。
またしても初タイトルは鹿島に阻まれてしまいました。
悔しいの一言です。
試合中、大久保選手からは「絶対にタイトルをとる」という気持ちが強く伝わってきました。
”川崎のヨシト”としての最後の試合。
勝利で飾りたかったところです。
0-1で前半を折り返し、後半に小林選手の劇的同点弾が決まったあとは基本的にフロンターレの時間が長く続いてました。
そのなかで一本、小林選手のポスト直撃のシュートがありました。
結果論ですが、あれが決まっていれば。というところでした。
さて、本題に入らせて頂きます。
今回は3つのポイントに分けて解説していきたいと思います。
そして、大久保選手と中村選手のミニコラムを書かせて頂きました。
試合分析が少なく申し訳ございません。
ですが、これだけは書いてまとめたい。と思って書いたものです。
是非お願いします。
<目次>
1、決して悪いところはなかった試合。鹿島と何が違ったのか。延長戦の戦い方を分析。
2、エース金崎夢生がいない相手攻撃陣。なぜここまで簡単にセットプレーから得点を生み出させてしまったのか。
3、前半の登里。後半の三好。2人が今後のキーマンである理由。
4、”川崎のヨシト”。彼がいてくれたから今がある。
5、『また同じ景色で』。
以上の3つとミニコラムになります。
それでは!
1、決して悪いところはなかった試合。鹿島と何が違ったのか。延長戦の戦い方を分析。
前後半の90分間全くの互角の戦い方でした。
どちらも譲らない戦い方でしたし、なにより両チームともストロングポイントを出せていたので、年の初めから熱い戦いが見れてよかったです。
今回、相手の左サイドは柴崎選手でした。
その部分で田坂選手が徹底的に抑えていたということもあり、柴崎選手にあまりボールが行き渡っていませんでした。
そういうこともあり流れの中で守備が破綻するということはありませんでした。
実際、この試合で守備が破綻したというシーンはありませんでしたが、1本のコーナーキックで失点してしまいました。
2失点目もコーナーキックから作られた流れで失点してしまいました。
かねてからセットプレーに対して弱いイメージの方が強いフロンターレでしたが、最後の最後もセットプレーに苦しみました。
守備陣は良い選手しかいません。
しかし、セットプレーで簡単に失点してしまう。
来季のポイントになってくると思います。
前説でも書かせて頂いたように、1点奪い返してからはフロンターレの時間が長く続きました。
そこで点を決めれていたら。
本当にここだと思います。
1点が遠かったです。
結局、試合は延長戦に突入しました。
94分、ファブリシオの強烈なシュート浴びゴールネットを揺らされてしまいました。
106分、大島選手に代わり森本選手が入りました。
スコアは1-2と動かないまま時間は刻々と過ぎていきます。
フロンターレはいかなる場合でも、パスを繋ぎ崩していくというスタイルを 突き通します。
普段から行っていることですし、逆にこのスタイル以外のことをしたら崩れるのがフロンターレです。
ですが、失点以降のフロンターレは効果的なパスがなかったと思います。
パスを繋ごうとしても精度の問題が生じ、ボールを奪われ鹿島ボールになるシーンが徐々に増え始めました。
あの時間帯で森本選手が投入されたなら、パワープレーに徹してた方が良かったのかなと思います。
最前線の森本選手をポイントにボールを蹴り込み、こぼれ球を大久保選手などが拾いそこから崩して行った方がよりゴールに近づいたはずです。
一方、鹿島はシンプルなサッカーをしていました。
多くのチャンスを簡単に生み出していましたし、その攻撃を何回も焦れずにやり続けたからこそ、あのファブリシオ選手のゴールは生まれました。
ボールを保持し、一瞬の隙を狙う超攻撃的な風間サッカーでしたが、上に行くためにはシンプルなサッカーも織り交ぜていかなければなりません。
もっともっとフロンターレは強くなれるはずです。
2、エース金崎夢生がいない相手攻撃陣。なぜ流れの中から失点せず、セットプレーで失点してしまったのか。
はっきり言って、金崎選手がいないというのはフロンターレにとってとても有利な状況だったと思います。
例えば鹿島のカウンターのシーン。
ドリブルを仕掛けて来られても、フロンターレのセンターバックを脅かすような動きをするフォワードが相手にはいませんでした。
金崎選手はこの作業ができますし、今まで何回も脅かされている経験があります。
前半に流れから失点しなかった理由はここにあると思います。
後半、鹿島は鈴木選手を投入してきたので危ないシーンはいくつかありましたが、何とか防げたと思います。
延長の失点ですが、はっきり言ってあれを止めるのは至難の技だったと思います。
単純にファブリシオ選手の調子が良かったのもありますし、その前の西選手が倒れたプレーでPKのような雰囲気になってしまい、鄭成龍選手の反応が遅れたのもあります。
ですが、その前のプレーでしっかり相手陣地にボールを蹴り込めばこうはなっていませんでした。
”クリアの質”を上げていかなければ、同じことの繰り返しになってしまいます。
今後の試合で重要になると思います。
3、前半の登里。後半の三好。2人が今後のキーマンである理由。
今回も登里選手がスタメンでした。
ここ最近急激に伸びてきた選手の一人です。
特に試合中のチェイシングなどは全力で前から追いかけ、コースを限定し、ボールを奪いやすくしてくれています。
元々ディフェンスの選手であるだけに、守備の1対1でもその強さを発揮することができます。
大久保選手との相性の良さも印象的です。
大久保選手が下がったら前に前線で相手のディフェンスを掻き乱したり、大久保選手が前に張っているならサイドに開きスペースを作ったり、と意思統一がしっかり出来ていました。
だからこそ、風間監督も三好選手との交代は非常に悩んだと思います。
後半からは、登里選手の位置に三好選手がそのまま入りました。
三好選手はドリブルが武器ですので、投入後早速チャンスを作りました。
登里選手とは違い溜めるプレーというのはあまり得意ではないですが、ワンツーなどで相手の守備網も打開できます。
あの試合展開だとドリブラーが必要になってきます。
三好選手は今シーズンたくさんの試合に絡んできました。
その中で得たものはたくさんありますし、印象的だったのが年上の選手にしっかり要求していたところです。
普段からすごく真面目な選手で、ファンサービスの時なども丁寧に対応してくれる三好選手ですが、1年目とは違い、「自分がチームを勝たせる」という意思がしっかりと出てきました。
今季はJ1初ゴールを決めたり、U-19日本代表でもしっかり試合に出場し、色々なことを経験しました。
来年は試合に多く出場してほしいです。
この2選手をどう使うのかも来季のポイントなのかなと思います。
まだ、2人とも年齢が若く今後がある選手です。
チームを背負っていくということを考えるとやはり、試合に出場して経験を多く積まなければなりません。
来季はACLがあります。
三好選手にとっては初ですし、アジアの舞台で躍動してほしいです。
今のところ補強の面でドリブラーは1人しか名前が挙がっていません。
ここで誰とは言及しませんが、登里選手と三好選手は2人ともドリブラーです。
風間サッカーを5年間見てきましたが、ドリブラーの存在は絶対に必要なのかなと思います。
以前、レナト選手が在籍していましたが、あそこまでのドリブルではなく、細かい局面を打開できるようなドリブルが出来る選手がいると作戦の幅は広がります。
だからこそ、今いる登里選手と三好選手はとても大事な存在だと思います。
この2人を来季どのように起用してくるのか。
とても楽しみです。
4、”川崎のヨシト”。彼がいてくれたから今がある。
この試合をもって大久保選手は川崎フロンターレを退団します。
以前からずっと移籍を示唆していましたし、ほぼ確実です。
大久保選手本人はずっと「このサッカーでタイトルを獲りたい」と言い続けてくれました。
無我夢中にボールを追いかけ、時にはチームに喝を入れたりしながら、ベテランらしくチームを引っ張ってきてくれました。
大久保選手がフロンターレに在籍した5年間で潜在能力を引き出した選手はたくさんいます。
代表的なのが、今季、クラブ史上初となる背番号10を背負った大島選手です。
いつも難しいところに要求し続けたり、パスが出せるのに出さなかった時には何回も身振り手振りで大島選手に要求していました。
今シーズン大島選手はリオ五輪の本戦メンバーに選ばれました。
3試合戦って奪った得点のほとんどに大島選手が関わっていました。
それは、普段からJリーグ屈指のアタッカーの要求に応え続けてきたからです。
「いつも出しているところにボールを出せばチャンスになる」。
そんな感覚でサッカーが出来ていたのかなと思います。
残念ながら、U-23日本代表はリオ五輪で納得のいく結果を出せませんでした。
だからこそ、大島選手は帰国後も常に高い水準のプレーもし続けましたが、結果的にはタイトルに”あと一歩”というところで力尽きてしまいました。
大島選手は天皇杯準決勝の大宮戦から戦列に戻ってきました。
決勝はスタメン復帰をし、コンディション的な問題も特になかっただけに悔しかったはずです。
表彰式の時大久保選手の表情は一生忘れないと思います。
本気で、すべてを懸けて戦った上での負けは正直、立ち直れないくらい悔しく、なにかを失った感覚になるはずです。
ですが、今までたくさんの壁にぶち当たり、たくさんの挫折を経験してきた中で、圧倒的な結果を残し続けた大久保選手は前を向いていました。
「結果的に川崎はなにも得ていない」。
こういう風に言う人がいると思います。
しかし、それは間違っていると思います。
風間監督がこの5年間で自身の知識や思想をチームに還元し、大久保選手が残したものは、かつてのジュニーニョ選手のようにずっと受け継がれます。
準優勝。というのは本当に悔しかったはずです。
ですが、また同じ景色で試合が出来るようにするための1年間がすぐ始まろうとしています。
大久保選手が残したものを大切にし、それを次の世代に繋いでいく。
来季、フロンターレで戦う選手の使命だと思います。
ありがとう。大久保嘉人。
5、『また同じ景色で』。
長い時間、ずっと14番を付けて戦う中村選手。
酸いも甘いも様々なことを経験してきました。
その中で、”あと一歩”で栄冠を何回も逃してきました。
「悲願、悲願」。と毎年のように同じ言葉が繰り返される。
はっきり言って、プライドが許さないと思います。
今シーズンは本当にタイトルが近かったです。
リーグ戦もクラブ史上最多の勝ち点72を得て、今回の天皇杯では史上初の決勝まで駒を進めました。
中村選手個人としてもJリーグ年間最優秀選手賞を初受賞し、足りないものはタイトルだけでした。
しかし、フロンターレの前には常に鹿島が立ちはだかります。
CS準決勝ではホームで泣かされました。
だからこそ、この天皇杯で絶対にリベンジを果たす。
強い決意はチーム全体で意思統一されていました。
結果的に、また鹿島がフロンターレの一段上を歩くことになってしまいました。
今回中村選手は試合後、すぐに自身の公式ブログを更新しました。
CS準決勝後には、『話せなかった』くらい大きな失望感があり自身の気持ちを公にするまで時間がかかりましたが、今回は全く逆の行動でした。
『2017.1.1』。
と題されたブログには来季の決意が強く書かれていました。
その決意の通り、また同じ景色でサッカーが出来るように。
長いシーズンはすぐそこに迫っています。
(RYUJI ICHIYA)
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
なお、今回は川崎フロンターレの公式サイトを参照させて頂きました。
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