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コアラに恋した男たち

伊勢です、

今回の話は、あなたのビジネスの成長には
全く役立たない。

いわゆる、与太話(よたばなし:意味:
酔っぱらいのするような話)である。

誰も聞きたくない私のプライベートの
話である。

もちろん、これを読んでも人生が変わったり
することはないし、おそらく時間の無駄になる。

また、この話は事実ですらない妄想の可能性も
あるので、一切信じてはいけない。

もちろん、一切のクレームも受け付けないので
あしからず。

8月1日の深夜、私たちはオーストラリアめがけて
弾丸なみのスピードで空中を一直線に飛んでいた。

平たく言えば、飛行機にのっていたのだ。

オーストラリアに上陸するのは初めてであり
南半球に行くのも(たぶん)初めてなので
若干興奮していたのは事実である。

オーストラリアと言えば、世界で一番降雨量が
少ない国として有名である。

乾燥して雨が少ない土地は当然ワインがうまい
ということになる。

こんな話をすると、私のことをオーストラリア通と
思ったかもしれない。

しかし、この情報はわずかウィキペディアで
5分前に調べた情報だ。

情報とはそんな程度のものである。

以前、飲み会の席で、私が話した内容を2分後に
自分の話としてそのまま、そこにいた同じ
メンバーに語り出した有名な情報起業家の人がいた。

また、こんなこともあった。

私が話した内容を、後日、私から聞いたことを忘れて
親切に10分以上かけてとうとうと説明してくれた人がいたのだ。

このことから分かることは、
私の話の内容はおそらく素晴らしいということだ。

同時に私の存在感は空気よりも薄いということである。

私の特技は、2度目に会ったときに誰も
私のことを覚えていない、ということである。

世の中の人が、いかに人を中身ではなく
外見でしか捉えていないかといういい例である。

私ほど、中身が濃く、人として素晴らしい人格を
持った人間はいない。

しかし、私の見た目はあまりにも普通だ。

私が10回通ったお店で、村上さんは1度しか
行ったことがないにも関わらず店主はなぜか
村上さんのことしか覚えていないことがあった。

それ以来、私はその店に行っていない。

全ての原因は、私の見た目が普通過ぎることに
あるのだ。

かといって、整った顔立ちをしているわけではない。

まず、あごが出ている。子供時代はクッキングパパと
呼ばれていたことがあるぐらいだ。

次にヒゲが濃い。

以前、テレビ通販の電話受けのバイトをしたときには
こんなことがあった。

仕事内容は、かかってきた電話に出て
住所や名前を手書きで紙に書くだけである。

しかし、ものすごい勢いで電話がなり
200名ぐらいが電話を受けているので
騒然としていて、電話の声がよく聞こえないのだ。

周りの音がうるさく、電話の声が聞こえないので
私は必死に聞き取ろうと、受話器をほおに押当てて
なんとか住所を書き留めようとした。

懸命に、懸命に、聞き取ろうとし汗をびっしょり
書きながら、何度も聞き返し、出来る限りを
つくして正確な住所を聞き出そうとした。

その結果言われたのが、次の一言である。

「じょりじょりヒゲがうるさいんだよ!」

「紙ヤスリでこすってるみたいで
うるさいんだよ!」

私は驚きのあまり、言葉を失った。
恩を仇で返されるとはこのことだと思った。

完全にやる気がなくなった私は、ありもしない
適当な住所を書き殴り、永遠に届かないで
あろう商品を待ち続けてろバカ、と思ったのであった

オーストラリアの話をしなくては。。

オーストラリアと言えば南十字星である。

正直、星座なんか全然興味はないけれど
南十字星には男としてロマンを感じるのだ。

男性諸君。分かりますよね。

北斗七星と南十字星には男のロマンが
詰まっているのだ(特に30歳以上の男性)。

これは本当の話だ。

嘘だと思うなら、世の男性に問うてみるが良い。

「あなたはオーストラリアで南十字星が見たいですか?」と。

99%の男性は

「そんなものより、金髪美女のビキニ姿が見たいです。」

と答えるであろう。

もしくは

「オージービーフのステーキが食べたいです。」

と答えるであろう。

そういえば、村上さんに旅行中こんな
ことを大声で聞かれました。

「オージービーフっていうよね」

「でも、オーストラリア人のことも
オージーっていうでしょ?」

「良くわからないんだけど、
つまり、オージーって何?」

「牛なの人なの肉なの?」

「オーストラリア人牛、ってこと?」

かなりの混乱が見受けられました。

オーストラリアのゴールドコーストに
“サーファーズパラダイス”という場所がある。

これは、大阪のアメ村や上野のアメ横などのように
俗称でも呼ばれているわけではなく行政的に認められた
れっきとした街の名前である。

なぜ、このような街の名前になったかというと
最初からそう呼ばれていたわけではない。

元々は真っ白できめが細かい砂浜が数十キロも
続く天然のビーチと、嫌みなほどに青い美しい
紺碧の海がある、ただの田舎だったのだ。

当然、観光客などやって来ない。

ただし、無駄と言えるほど、空と海と砂浜が美しい。

しかしその恩恵を受けているのは村人
だけで1円のお金にもならない。

元々はそんな場所だったのである。

そこで、なんとか人をこの素晴らしい場所に
観光客を呼べないだろうか、と村長さんあたりが考えた。

「そうだ、街の名前を変えちゃおう」

そして、彼らは思い切り大胆に半ばやけくそに
「サーファーズパラダイス」という街の名前に
したのである。

「さすがにちょっと恥ずかしくないか?」

「いや、これくら大胆にいかないと意味ないし」

「うんうん、やっぱ、さーふぁーずばらだいす、だべ。」

というやり取りの末、きっと決まったのだと思う。

少し恥ずかしかったかもしれないが
やけっぱちでこのような名前をつけた結果
世界中から観光客が集まるようになったのだ。

今や世界中からサーファーが集まり、観光客も
わんさか訪れる場所になったのだ。

やはり名前というのは初期のマーケティング段階で
極めて重要であることがここに証明されたのである。

この一件を参考に、日本の町おこしも町名を変える
ことから始めると良いかもしれない。

餃子の消費量日本一、などの日本一で
争うよりも市そのものの名前を変えてしまうのだ。

栃木県餃子市。

いや、

餃子県宇都宮市、でもいいかもしれない。

名前を変えてしまえば、1位から陥落して落ち込むことも
ないし、そこまで体を張っているのだから、もはや
順位などは超越した存在になることができる。

もはやライバル不在である。

私の会社のある高田馬場などは実に
簡単に名前をつけることができる。

東京都新宿区ラーメン。

隣町は

東京都豊島区つけ麺。

ラーメン激戦区日本一、などと分かりづらい指標で
競っている暇があるなら、ラーメンという町名に
してしまえばいいのだ。


そういえば、私のビジネスパートナーで
コピーライターの神崎氏は、こんなメールを
送ってくることがある。

・・・・

伊勢さん、

こんにちは、ラーメンです。

・・・・

ラーメンが好きすぎて、いつの日からか自分と
ラーメンを完全に同一化してしまったという悲しい
エピソードの持ち主なのである。

そんな彼だが、仲間内で怒りとともに言い継がれて
いることがある。

それは「旅行中の感想を奴に聞くな!」
ということである。

彼の感想はいつもこんな感じだ。

インドのタージマハールを見に行ったときは
次のような感想であった。

Aさん「神崎さん、タージマハールどうでしたか?」
神崎さん「お腹すきましたねー。」

今回コアラを見に行ったときもこんな感じだ。

Bさん「神崎さん、コアラどうですか?」
神崎さん「ラーメン食べたいです。」

水族館に言ったときはこうだ。

Cさん「神崎さん、水族館どうですか?」
神崎さん「焼き魚がいいです。」

基本的に、お腹すきましたねーか
眠いですねーか、暑いですねーなど
個人的な事情しか言わないのだ。

観光に行くだけムダ!なのだ。

彼にとって世の中のできごとはカロリーを
「消費するか」「摂取するか」のどちらか
でしかないのだ。

物事を2つの判断基準でしか見られないのだ。

かわいそうに。

しかし、お腹がすくと省エネモードに入って
何もしゃべらなくなるので、我々は3時間ごとに
えさを与える、じゃなくて食事の機会を与えるように
心がけている。

オーストラリアと言えば、コアラだ。

日本人旅行者のほとんどは、コアラを抱っこする
という目的のためだけに、はるばる12時間以上を
かけて、オーストラリアまで行くのである。

わざわざ抱っこをするために、何万人もの人が
オーストラリアまで飛んで行くのだ。

恐るべし、コアラの魅力である。

「そこまでして、抱っこしたいか、コアラ。」

「はい、抱っこしたいです。」

ということで、私たち一行もコアラを抱きに
行ったのだ。

柔らかかった。かわいかった。
ずっと抱きしめていたかった。

本当に愛らしい。

しかも、抱っこまでできるなんて
素晴らしすぎて。。

ふさふさの毛は柔らかく
指にふわっと食い込むのだ。

コアラを抱っこするためにオーストラリアに
行って良かった。

コアラというのは世界一ぬいぐるみに近い
生物と呼ばれているのですが、実際に
見た感想もそのままだ。

全体的に覇気がない。
されるがまま、なのだ。

しゃきしゃき動いたりは決してしない。

つたない手で、ユーカリをえり好みして
もぐもぐと食べている。

コアラは1日20時間も寝る。

一生のほとんどを寝て過ごしているのだ。

起きている時間は、もぐもぐとユーカリを食べて
あとは、時折うんちをするぐらいのものである。

なぜ、そんなに寝るかというと、ユーカリの
葉には毒素と油が含まれていて、消化するのに
結構なエネルギーがいるのですね。

さぼって寝ているわけじゃないのです。

コアラなりに懸命にがんばっているのだ。

コアラはああ見えて忙しいのだ。

だから、人々に抱かれている場合ではないのです。

「もう、寝させろー」
「見せもんじゃねーんだよ」
「おばさんうるさい」

それが本心だと思う。

かわいく生まれるというのは得だなと
思っていましたが、

かわいく生まれたなりに普通の人がしなくていい
色々な苦労をしてきたんだね、

おれは普通でよかった、としみじみ思ったのであった。

しかし、この写真を見せると

「伊勢さんとコアラはそっくりですね」

「どっちがコアラか一瞬分かりませんでした」

と、良く言われる。

ふざけるな!と言いたい。
どこが似ているのだ。

「良く寝るところもそっくりですね。」

「ビデオで村上さんの横でいつも寝てますもんね。」

・・・それは否定しない。

以前、香港に村上さんといったときに
財布を忘れて、中国本土から取りに帰った
ことがある。

しかし、間が悪いことに、財布を回収し電車の
乗り場に帰ると、終電が行ってしまった後だったのだ。

ただでさえ、その時点で飛行機を1日乗り遅れて
いたので、何としても夜のうちに中国に帰らなければ
ならなかった。

私は大いに焦り、「どうしよう、どうしよう」
と慌てふためいていた。

そんなとき、村上さんがこんなことを言いました。

「大丈夫だって。おれら二人なんだから、絶対になんとか
なるって」

この言葉は、しみじみうれしかった。

村上さんは本当におれのことをそう思って
くれているんだなと感じられたのだ。

そして、

「そうだ、おれら二人なら絶対になんとかなる」

「今までだって村上さんと一緒にやってきて
全部なんとかなってきたしな」と

妙に落ち着いた気持ちでそう信じられました。

実際に、大変な思いはしたけれど無事に
中国に帰ることもできました。

旅も、ビジネスも大事なのは人だと思う。

どこにいくかよりも、誰と行くか。

何のビジネスをするかよりも、誰とするか。

結局、旅もビジネスも大切なことは
一緒なのだな、と思いました。

なんとなく、いい話でまとめてみました。


伊勢隆一郎

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