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われわれは種をまくことしかできない

柿の木を見る。

たわわに実った
柿の実を食べたいと思う。

崩れ落ちるほどに熟した
柿の実をスプーンですくって
食べたいと思う。

私は、果実が欲しい。

だが、立ち止まって考える。

好きなだけ
果実を手に入れようと
思ったら、、、

何をするべきだろうか?

と。

そして、ひとつの結論に
たどり着く。

今、われわれにできることは
種をまくことだけだ。

果実が実るのは8年後。

だとしても、

われわれに今できることは
種をまくことだけなのだ。

たとえ8年もの長い歳月を
待たなくてはならないとしても、

今、種をまかなければ、
8年後にさえ、果実は手に入らない。

そういうものなのだ。

これは、ビジネスにおいても同じだ。

私たちは、豊かになりたい。

お金が欲しい。

自由がほしい。

フェイスブックを見ていたら
嫌でもたくさんの果実が目に入ってくる。

ミシュラン星付きレストラン
ばかりで、ご飯を食べている
友人がいる。

空港のラウンジで
シャンパンを飲む
おじさんがいる。

シャンパンはダサいから
あえてビール片手に自撮りする
思考が一周半周った女子がいる。

毎日ビーチにいて
毎日筋トレをしている
よくわからない若者がいる。

金持ちIT社長は、女優と付き合う。

そうやって、人の果実を
嫌でも目にする世の中だから
今スグにでも、その果実が欲しいと
思ってしまう。

でも、本当は、

今出来ることは
種をまくことだけなのだ。

そして、

どうせ種をまくなら、

どうせ、果実が手に入るまで
長い時間がかかるのであれば、

もっといえば、
長い時間をかけても
ものになるかすら
分からない種まきなのであれば、だ、

自分のためだけの種まきではなく、
それが、50年後、100年後の未来まで
果実を生み出し続ける事であればあるほど

気分が良いし、価値があると
私は、思うのだ。

自分の中に、そういう思考癖が
あることに、気づいたのは
日光東照宮に向かう道だった。

・・・・・・

日光東照宮の杉並木が好きだ。

花粉症だけど好きだ。

真っ直ぐにそびえ立つ
杉並木を見ると
神聖な気分になる。

そして、何に心を
打たれるかと言えば、

この杉並木は
今が一番、威風堂々と
しているという事実に
圧倒される。

江戸時代に植えられた
とき、杉並木は
今よりずっと質素だった。

細くて、頼りない
木々に過ぎなかったはずだ。

200年以上がたった今が
最も素晴らしい杉並木なのだ。

時間を経るごとに
素晴らしくなっていくのだ。

その事実に心を惹かれるし
圧倒される。

そして、巨木になることを見越して
200年後の未来を想像して
杉の間隔を設計した人がいるからこその
今の杉並木なのだ。

考えるとドキドキしてしまう。

そういう時間が経つほど
価値が高まるものを
生み出したいと
私は思う。

ウインドウズPCが
骨董品店に並ぶことは
ないけれど、

アップ2や、
初代マッキントッシュ
iMacは、骨董品として
値がついている。

PCとMacの違いは
そのまま作り手の
こだわりの違いだ。

書いていて、なんだか
少し気が重くなってきたけれど、

やっぱり、
それぐらいの気概を持って
何かを生み出して
いきたいと思う。

思考と想像力に
限界はないのだから。

2019年、皆さんが
チャレンジしていくことも
そんな思考で、考えてみると
見え方が変わってくるかもしれない。

そして、

200年後の威風堂々とした杉並木を
夢見て、思いを馳せながらも、

今、この瞬間に
私たちにできることは
種をまくことだけだ。

だから、未来に、種をまこう。

そして、粘り強く、育てよう。

伊勢隆一郎

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