見出し画像

ROCKMAN XPRの話


このギターのプリアンプを初めて知ったのは、私が中学生の頃、1992~1993年頃のことである。

1992~1993年頃といえば、当時バンドブームの真っ只中。

私の学校ではX、BUCK-TICK、LUNA SEAなどビジュアル系バンドと並行してビーング系のアーティストも流行っていた。

B’z、ZARD、T-BOLAN、DEEN、大黒摩季など、ビーング系といえば上手いボーカルとクオリティーの高い楽曲の数々。

新曲を出せばドラマやCMのタイアップがつき、CDが飛ぶように売れていた。

CDの売り上げが100万枚を超える「ミリオンセラー」という言葉を毎月のようにメディアを通じて見聞きしていたような気がする。

そんな華やかで景気の良い音楽業界の時代だった。

さて、話題を戻してROCKMAN XPRである。

ご存じの方もいらっしゃるかと思うが、これはBOSTONのギタリスト:トム・ショルツ氏が作ったギターのプリアンプである。

このプリアンプをB’zのギタリスト:松本孝弘氏が初期の頃のB’zで使用していた。

これを知ったのは、まさに1992~1993年頃。

※出典:GiGS 1993.1月号


当時、友人の勧めでGiGSという音楽雑誌を毎月愛読し始め、たまたま松本氏の機材紹介の記事のなかに写されていたこのプリアンプの姿に目が留まった。


※出典:GiGS 1993.1月号

黒や銀色のラック機材のなかに小さなランプやボタンがたくさん付いていて、ひと際異彩を放つ水色の機材。

このとき初めてB’zのCDで聴けるあのギターの歪んだ音色は、このプリアンプから作られているのだと知った。

自分でこのプリアンプの音を実際に弾いて聴いてみたくなった私は、当時地元のいくつかの楽器屋めぐりをしてXPRを探してみたのだが、田舎の楽器屋には置いてなくて試奏することが叶わなかった。

また雑誌でXPRの価格を見ても裕に10万を超える金額。

とても中学生には手が届くような機材ではなかった。

この歪みの音色は独特な響きで、巷の一部のギター愛好家の間では「鼻が詰まったような音」と表現される。

その「鼻が詰まったような音」はB’zと並行して当時よく聴いていたXのギターサウンドとはまた毛色が異なる不思議な音で、とても魅力的に思えた。

大人になってから気づいたのだが、1992~1994年頃のZARDやKIX-Sなど他のビーング系アーティストの楽曲でもこのXPRの音色が使われていた。

また、PAMELAHの小澤氏のラックにもXPRの姿が確認できることから、当時のビーング系のスタジオにはXPRが常に使える環境にあったのかもしれない。

※ラックの上段、紫色のSoldanoの上にあるのがXPR

この90年代前半の時期、10代の多感な時期にXPRの音色をCDで毎日のように聴いて過ごしてきたせいか、妙にこの音に愛着感というか、親近感を覚えてしまう。

そんな経緯もあり、大人になってから中古市場で見かけた100v仕様のXPRを購入。

ついに念願叶ったという喜びが湧いた。

実際に使ってみると、アナログ的な温かみのある音がした。

歪みの音も素晴らしいが、クリーンの音もまた素晴らしい。

独特のコンプレッションが掛かった上品で煌びやかなクリーンサウンド。

このプリアンプはホントに素晴らしい。

これを開発したトム・ショルツは偉大な存在だと思った。

ちなみに、上記で取り上げた動画は私が【Mikenekomaru GT】名義で個人的に作ったYouTubeチャンネルから出典したものである。

おもに「ROCKMAN SOUND LAB」をテーマとしてROCKMANの音色を紹介した動画をいくつかアップしている。

ご興味のある方は是非ご視聴ください。

BOSTONファンがROCKMANサウンドに耳馴染んだように、私の世代はB’zの松本ROCKMANサウンドで耳馴染んだ。

時代を超えて、世代を超えてもこの音色を愛する者は、この先も現れ続けるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?