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【夢日記】岡田彰布ボヤキ祭・惨殺の目撃者

【岡田彰布ボヤキ祭】

100人は収容出来るんじゃないかという大宴会場のド真ん中に、阪神タイガースの監督を務める岡田彰布が鎮座していた。そこが上座と呼ばれる場所なのか僕には分からなかったが、とにかく、ド真ん中に座っていた。岡田彰布を囲むように、阪神タイガースの選手と思われる人達が集結している。みんな若かった。コーチ陣やフロント陣と思われる人は見当たらなかった。選手と監督だけで催された宴会と思われる。

ところが、岡田彰布の横に座っている二人は、阪神タイガースの選手ではなかった。右側に座っているのが「MC」の宇佐見真吾。左側に座っているのが「ゲスト」の堀瑞輝。人選は不明だが、とにかく、彼らが両隣を陣取っていた。阪神タイガースの選手達を差し置いて。

「やっぱ結婚は早いうちにするのに越したことないで、おーん。ええカミさん見つけて野球に打ち込ませてもらってなあ。夫婦の思い出もなあ、はよ作らなあかんよ。老後の楽しみに取っといたらあかんで、ハッキリ言うて。年取ったら美味いメシも大して食えんくなるし、のお。旅行に行くにしても、ちょっとしんどいな、ゆっくりしたいな、とか思い始めて・・・。楽しいこと後回しにしたらあかんで。精一杯働いて精一杯遊ぶんや。それが後々の思い出になるんよ。何をするにしても一生懸命やらんとええ思い出にならんねん。若い頃の時間はかえってこんねんから。今やらんでいつやんねんな。せやろ?」

「せやろ?」と言いながら、岡田彰布は堀瑞輝に話題を振った。堀瑞輝は顔を引きつらせたような笑みを浮かべながら「仰る通りです・・・」とだけ小さく述べた。

岡田彰布は「のう。ワシももう、焼肉とか量食えんくなってもなあ。ええ肉やで?美味いなあと思いながら食ってんねんで?でもすぐお腹いっぱいになってしまうんや。ああ、若いうちにもっと色々やっておけばなあ、カミさんに申し訳ないのことしたなあ、そんなことばっかよ。ホンマになあ。そうならんようにせんとあかん。老いには勝てんからな。若い内に気付かなあかんぞ。カミさんは大切にしろよ。のお?」

「のお?」と言いながら、岡田彰布は宇佐見真吾に話題を振った。宇佐見慎吾は顔を引きつらせたような笑みを浮かべながら「はぁ・・・そうですね・・・」とだけ小さく述べた。

僕は、宇佐見真吾が、消え入るような声で「はぁ・・・そうですね・・・」と言ったのを聞きながら、元妻の高城れにのことを思い出していた。

【惨殺の目撃者】

僕は夜道を一人で歩いていた。駅から家へ帰る途中だった。イヤホンを着けて音楽を聴いていた。周囲の声は微(かす)かに聞こえるかどうかぐらいの音量で聴いていた。にもかかわらず、

「ちょっ・・・!」
「やめっ・・・!」
「んー!んー!」(口を塞がれたような声)

どこからともなく女性の悲鳴のような声が聞こえてきた。僕は反射的に声のする方に視線を向けた。するとそこには、フードを被った全身黒ずくめの男と、平愛梨によく似た美人な女性が居た。

全身黒ずくめの男は何も言葉を発さない。ひたすら無言で女性を拘束していく。女性は必死に逃げようとしてはいるものの、腕力では歯が立たないと見える。抵抗むなしく、徐々に自由を奪われていく。最終的には、イヤイヤと頭(かぶり)を振ることしか出来ない状態にされてしまった。

全身黒ずくめの男は、身動きが取れないようになった女性を見て、ニタリと不敵な笑みを浮かべたかと思えば、どこに隠し持っていたのか、ノコギリを取り出した。女性の悲鳴は、よりいっそう激しくなる。最悪のシナリオが頭に浮かんできたものと見える。一変した女性を見て、黒ずくめの男は再び、嫌らしそうに口角を上げる。その様子を見て、僕は、背筋がゾクリとした。口元以外は全て覆い隠されているにもかかわらず。

全身黒ずくめの男はノコギリを女性の額(ひたい)に押し当てた。女性は声を出すことも出来なくなったのか、身体をガタガタと震わせるのみである。その光景を見て、僕は、恐怖が極点に達したら人はどうすることも出来ないのだなあ、などと考えていた。自分自身に「どうすることもしない」のではなく「どうすることも出来ない」のだと、言い聞かせるように。

全身黒ずくめの男は躊躇(ちゅうちょ)なく女性の額を一刀両断しようと斬り掛かった。突如、女性の断末魔の声が辺りに鳴り響く。「鳴り響く」と言っても、声量自体は、大きくなかったかもしれない。僕の認識として、鳴り響いたように聞こえただけかもしれない。直後、女性の身体の震えが止まった。絶命したと見える。

全身黒ずくめの男は満足そうに口角を上げながら手慣れた手つきで後処理を済ませてその場を去っていった。辺りは、女性の惨殺死体と、はるか後方から眺めている僕の二人だけになった。そんな状況に気付いた僕は、ハッと我にかえったように、まるで自分が殺人を犯したかの如く、足早に去っていった。

僕は再び家路に向かう。依然として、女性の断末魔の声が、耳にこびりついている感じがした。それを振り払うように、頭をフリフリしながら、僕は歩くスピードを速めた。しかし、意識すればするほど、さっきの光景が、脳裏に焼き付いて離れようとしてくれない。

僕は一生、この記憶とともに生きていかなければならないんだな、と思い始めた。どうすることもしなかったのか。どうすることも出来なかったのか。答えが出ることのない自問自答を、延々と繰り返し続けながら。

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