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HARD&SOFT全曲解説3「XUIMAXEN.」

Key: Em
Artist: RIZARDI
BPM: 125 (62.5)
タイアップ: キャンベルズイングリッシュアカデミー Web動画
「Let's 英語で道案内(応用編)」挿入歌(※架空の組織・動画です)

<外国人に正しく道を教えられますか?>

曲名の読み方は「すいません。」

外国人に英語で道を聞かれ、焦ってしまった経験はありませんか?

学校教育の英語ではしっかり「道案内」についての単元は用意されていて、「Go down the street」「Turn right at the next corner」のような言い回しを覚えることになります。

ただし、「読む」「書く」「話す」「聞く」というように英語のスキルは一つに留まりません。もっと言えば、”分かる”ことと”使える”ことは決してイコールではありません。これまで日本人の英語教育は、「読む」「書く」ができても「話す」「聞く」が弱いと言われており、ネイティブの人が授業に加わるALT(外国語指導助手)導入や小学校での英語教育などを推進する動きも出てきました。

日本語で聞かれるならまだしも、咄嗟に英語で話しかけられるとなると、慣れてない限り混乱してしまう可能性があります。私もそうでした。そもそも私、咄嗟に日本語で話しかけられても挙動不審にいいえ何でもございません仕切り直し。


道を聞く人は迷っているから聞く。なら助けてあげるべきなのに、自分の語学力が足りないばかりに力になれなかった…そんな無力感。己への嫌悪感。近年はラップやポップスに”孤独” ”痛み” ”苦しみ” ”メンタルヘルス” ”厭世”といったテーマを構える若いアーティストが多い認識があって、今ならそういうムードを出せるかもと思ってリリックの断片をひねり出したこの1曲。地元から出ないマイルドヤンキー然としたスタンスから「言葉が通じない→バベルの塔神への反逆」というオーバーな展開には要注目!です。

ラップは”Ryusei”より”RIZARDI”でよくやる手段なんですが、この曲の作詞者に登録したのは”Ryusei”の方です。”Ryusei”は音楽芸人を自称していて、さらに自称すると、新しいジャンルに挑戦する時は何かのパロディ・オマージュという可能性が高めです。上の段ではカッコつけて書きましたが、これも「日常の些細なことをエモラップ風に歌ってみた」的なネタに見えてくるのでしょう。

さすがにシャウト系は自宅では録れなかったので、ここにきて初めてRECに都内某所を使いました。ホント1曲で体力持ってかれまして、この先何十作もこれ系できない気がしてます。

スカー藩主

さて、インスパイアされたのは他でもないイギリスのラッパーScarlxrd(スカーロード)です。メタルコアバンドのボーカルからラッパーに転身し、重く歪み切ったトラップビートの上でメタリックなスクリームを放つ様には心を掻き乱されました。スクリームはともかくあの鬱屈とした空気を再現するため、Scarlxrdの音源をアナライザーに通したりして、少しでも鳴りを近づけられるようベストを尽くしました。

Scarlxrdという名前も含め、彼の曲は基本的に「O」を「X」と綴ります。さらに近年は大文字タイトル + .(ドット)というフォーマットも見受けられます。この曲のタイトルはここから着想したもので、「すいません」にはOがないため代わりに「S」をXに変え「XUIMAXEN.」となりました。結果辛うじて”すいません”と呼び得るだけでなく、xuimaxenという言葉は世界に存在しないので強力な検索除けとしても機能しています。


※なんと記事を公開した2月5日、Scarlxrdは新作アルバム「DXXM II」を投下した模様。21曲って多作すぎます。聴かねば。


C.V.

さて、言ってしまえばこの曲は、コロナ禍がなかったら生まれなかった曲かもしれません。XUIMAXEN.の要旨は、日本を訪れる外国人観光客(インバウンド)が増えて、道を聞かれる可能性が上がってこそリアリティを増します。しかしご存知の通り、今はバシバシ入国制限がかかったりして、航空会社も青息吐息どころか阿鼻叫喚レベルで外国人観光客の数は減っています。

ここは地元(インバウンド)
今じゃねえ話(シー・ヴィー)

そういう意味で、曲中こう言及しました。あえて今”外国人に道を聞かれた”歌を出すことで、また特別なメッセージがトッピングされてお届けできるのかなと腹積もりました。

C.V.という略し方はScarlxrdの「C. V FREESTYLE.」から来ていたりします。

<本当に謝罪しなければならないこと>

CD版「HARD&SOFT」販売後、この曲について音源のミスが発覚しました。

具体的には、サビにあたるパートであるはずだったハイハットの欠落など。リリース前の試聴音源も同様の状態でした。M3への出展が終わって早急に修正し、修正版はSoundCloudからストリーミング・ダウンロードを無料でできるようにしました。上のYouTubeのリンクも、修正版音源が聴けるようになってます。

サブスクでの配信は当初の予定から延ばさざるを得ませんでしたが、正しい音源でのリリースとなっています。CD版についても、再販の機会ができればすぐ在庫分のディスクを差し替える予定です。

CDを購入して頂いた方々につきましては、大変申し訳ありません。


次回はまさかの料理番組!?「Interlude 〜新感覚料理番組・ジュージ飯!〜」をお届けします。

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