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Stairs 2

【地政学について】

政治的戦略やビジネスにおいて、地理的な優位点をいかにつかみ他に対してのアドバンテージを保持できるか。習近平の掲げる一帯一路構想は誰しもが耳にしたことがあるが、これもまさに地政学に基づいたものである。

「海を制する者は世界を制する」

一般大衆に浸透しやすく、指針としても機能する非常に優秀なパワーワードである。近年では多くの軍事産業がその幅を宇宙にまで伸ばしていることから「宇宙を制す者は~」へと変化を遂げているようだが、少なくともビジネスにおいてはまだ先の話であるように思う。

「海を制す」、ことは古来より各国が躍起になって取り組んできたことで、後の海洋戦略の礎となっている。
かつて北ヨーロッパを苦しめたバルト海の怪物ヴァイキングの台頭、北アメリカから香港・インド・アフリカと数々の港湾都市を侵略した「太陽の沈まない国ーイギリス」、等。
歴戦の憂国たちはもれなく海にいた。

このように「海を制す者」というのは古の頃よりの定説であり、貿易が必須な現代においてもその優位性は変わらない。

弊社にはすべての部屋に世界地図が飾られている。
そこに自分たちの拠点がある場所に青いピン、その近隣で需要がありそうな地域に黄色ピン、注目している競合企業の拠点に燈色のピンを指している。
その位置関係を見ながら「ああでもない、こうでもない」と、半分遊び感覚で展望のすり合わせを経営者同士で行ってきたわけだが、そうすることで自社の特質も見えてきた。

弊社は紛れもなくランドパワーである、と。

一番の競合他社はもれなく港湾都市を取り揃えているのに対し、見事に内陸が多いのである。泥臭さ滲み出るマス取りをしてきたわけだが、それはそれで地道さや堅実性が育まれたと思いたい。

今回の話を聞いた際、中国はシンガポール・マラッカ海峡を経てヨーロッパまでの航路を築くとあったが、確か私が当時読んだ本では混雑・海賊リスクを恐れこの2つを回避すべくタイ・ミャンマーの鉄道網へ投資しミャンマーダウェー港からの輸出経路を確保するというものであった。
小さな変更点なのだろうが、やはりその時々の流れによって戦略は刻一刻と変化する、何が言いたいかというと、これに常に新鮮さを保っていられるかは非常に重要であると感じた。

入社時より、経営者同士の展望のすり合わせは地図上で行われてきたわけだが、その地図を「新鮮」に保つ為に日々アンテナを張る必要がある。
こと物流企業にとって、地政学的考えが重要であり、戦略を考慮する上で大事なエッセンスの一つといえる。

「次はどこにピンを指そうか」

侵略はいつも地図上から始まるのである。


【コミュニケーションに基づく組織形成】

いい組織を作る、経営者でこれを目指さない人はいないだろう。
今回の内容はいかにして社員の自由度を確保するか、理解できない部分はなく、ある意味当たり前に認識はしている内容で、誰しもが対人で悩む中で自ずから気付きを得ることだと思う。
しかしこれほど単純明快であり、簡単でないものはないだろう。実際今回聞いた時、考えさせられまた反省した。

前職の社長からは「2・6・2の法則」、必ず出来不出来はバランスを保っているのだと聞いた。
いかに6の部分を底上げできるか、ここに注力する必要があるとし、当時から話題になっていたコーチングの研修に参加させて頂いたり社内改革に携わらせて頂いたりと、本当にお世話になった。

さて、このコーチングの理論なのだが、私には非常に理解度が及ばず苦戦した。健やかなるときも病めるときも上司は部下を尊重し、とか、「エンパワーメント、エンパワーメント、エンパワーメントだ!」とか。
当時の私には理解がし難い内容であった。

現会社に入社後、関東での事業所立ち上げを任されたことがある。事業所の開設・人事、すべてに携わり自分の城を構築することができた。弊社としては珍しく闘争心の強い組織になり業績も右肩上がりで、私の中ではうまくいったのではと思っていたが、ある夜に社長から電話が入り指摘を受けることとなる。
「事業所の雰囲気、特に君の顔が怖いよ」

分かってはいたのだが、当時の私はある意味これでいい、区別の先の競争に打ち勝つには、必死なればこそ、と自分に言い聞かせていた。(おかげで眉間に消えない皺ができた)
1時間ほどの電話は納得することしか出来なかった。自分のあるべき姿や目指したい方向は、言うまでもなく、なのだった。

話の中で、まず実践すべきは挨拶だとの結論になった。良好なコミュニケーションは挨拶から始まり、挨拶に終わる。
気持ちのいい挨拶を交わせば、お互い自ずと顔が晴れやかになり、会話も生まれる。
できることからコツコツと、本業と同じく、コミュニケーションにも目標を掲げPDCAを回しながら改善が必要だ。
時にぶつかり、時に譲り合い、感謝の先に前進があるのだろう。

飲みの席、仕事で一番大変だったことは? と前会長に聞いたことがある。
「人(従業員)や。真摯に向き合い笑顔を忘れちゃあかん、あんだすた?」

時にユーモアも。

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