見出し画像

バリ人の通過儀礼。

日本滞在も半年になった。お盆頃にワクチンを2回打ち終え、日本生活も本格的に始動、バイトのかけもちがちょっとオーバーワーク気味な今日この頃、現実逃避で久しぶりにnoteを。

最近、バイト先で、子育ての話になって、やはり、日本とは出産、子育てはかなり違っていたのだなあ、と思うことが多い。

結婚する直前に、流産したことがある。その時の妊娠で慌てて、最小限の結婚の儀式を行ったのだが、残念ながら11週で流産してしまった。

※その時のことは、こちらのブログにて

バリ人にとって、妊娠とは、結婚への重要な要因である。
結婚して初めて、村のメンバーとして正式に認められ、社会活動に参加する。人生おける一つの節目なので、結婚式は、人生において非常に重要な通過儀礼の一つである。
なので、私の知っているバリ人の夫婦は、殆どが出来ちゃった婚だ。
これはうっかり型出来ちゃった婚ではなく、計画的出来ちゃった婚である。
結婚する、と決めた相手と、子供が出来なかったら結婚する意味がない、と考えているバリ人は未だに多い。家寺の後を継いでいかなくてはならないバリ人にとって、子孫を絶やさないというのは、最大の使命でもある。

今日はバリの通過儀礼についてご紹介しよう。

人生の通過儀礼のことを、バリ島では、Manusa yadnya マヌサ・ヤドニャと呼ぶ。生まれてから、人間としてよりよく生きるための、神聖で重要な儀式のことである。

バリ人が生まれてから通過儀礼として行われる Manusa yadnya は、

①Upakara/upacara bayi selama didalam kandungan (Garbha Wadana / pagedong-gedongan )赤ちゃんがまだおなかの中にいるときの儀式
②Upakara/upacara bayi yang baru lahir kedunia
Upakara/upacara bayi kepus puser へその緒が外れた時の儀式
③Upakara/upacara bayi berumur 42 hari (Tutug Kambuhan) 一般に、ウパチャラ ・サトゥ ブーラン ・トゥジュハリ、バリの暦で、一か月と七日め(西暦で42日め)の儀式という。
④Upakara/upacara bayi berumur 105 hari (nyambutin) atau biasanya di sebut telu bulan karena lama nya hari itu 3 bulanan wuku bali 一般に、ニャンブータン、あるいは、ウパチャラ ・ティガ ブーラナン、バリの暦で三か月め(西暦で105日目)の儀式と呼ぶ。
⑤Upakara/upacara oton (otonan) yang biasanya di rayakan setiap 6 bulan sekali di dalam kalender wuku bali . オトナン。バリの暦で6か月(西暦で約7か月)ごとに行われるバリ暦の誕生日の儀式。
⑥Upakara/upacara potong gigi (Mepandas , metatah , mesangih) ポトン・ギギと呼ばれる、犬歯を含む前歯を削る儀式で、成人式のような意味合いがある。14歳以上の、永久歯が生えそろった年齢から上が対象で、いつ行ってもよいが、大概は、家族(兄弟姉妹)一緒に行われたり、合同葬儀の際に、一緒に行う。
⑦Upakara/upacara perkaeinan 結婚式

だいたい、大まかにこんなもんである。他にも色々あるのだが、とりあえず自分の目が黒いうちに、子供たちにこの儀式だけは済ませてやらねばならない。うちの子供たちは、あとはポトン・ギギと結婚式だな。

バリ島では、人間は人間に生まれるのではなく、生まれてから「人間になっていく」のである。
顕著な儀式としては、⑥のポトン・ギギ、犬歯を削って前歯をまっ平にする儀式、というのがある。これは、人間の獣性の象徴である犬歯を削ることによって、本能のまま、欲望のまま行動するのではなく、知性をもった人間となる、という象徴的な儀式で、死ぬまでに必ず行われる重要な儀式だ。
もし、ポトン・ギギを済ませる前に死んでしまったら、最後のガベン、ngabeng(火葬式)の儀式のときに、遺体にポトン・ギギを施す。
なぜなら、ガベンは「人間」にのみ許された儀式で、「人間」として葬るためには、ポトン・ギギを済ませていなければならないのだ。

このように、「人として」完全に生を全うするには、漫然と生きているだけではいけないのであるよ。
まあ、儀式を済ませりゃあいい、ってもんではないのだが、ひとつひとつの節目に、人間としてどう、よりよく生きていくか、というステップとして、このような通過儀礼がある。

では、人間と動物の違いとはなにか?

それはまた稿を改めて。



サポートいただける事は、今後の書くこと・生きていくことの、大きな励みになります。 いただいたサポートは、有難く、バリ島がこれからも祈りの島であり続けられるよう、宗教行事のサポートに使わせて頂きます。