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バニュ・ピナロ~パゲルウェシの日のお供え物。

サラスワティから5日間続く一連の儀式のお供え物について (リンクをクリック、二日目のバニュ・ピナロから最終日のパゲルウェシについて、まとめてみました。

★サラスワティのお供え物については、サラスワティの日のお供え物。 をどうぞ!

【Banyu Pinaruh バニュ・ピナロのお供え物】

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バニュピナロはサラスワティの翌日の儀式です。
サラスワティの日がバリの暦・ウク歴の最終日で、翌日のバニュピナロが、次の新しいウク歴の最初の日にあたります。
この日は自身の浄化の日です。
自分を目覚めさせて体と魂を浄化し、神聖なものに立ち返って、新しい暦で人生を続けるプロセスを始める日です。
Banyu とは水、Pinaruh あるいは Pengeruwuh とは、気づいている、知識がある、という意味だそうです。
この日、人々は泉や湖、滝や川や海などで体を洗い、洗髪します。

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人間の体にこびりついたネガティブな思考を、知識という水で洗い流す、という事を象徴しています。
早朝にマンディと洗髪をし、クムクマン水(数種類の花、香りのいい花を一晩水に浸した水。フラワーバス)で仕上げます。
labaan nasi pradnyan(ナシ・クニン、黄色いごはん)jamu sad rasa (6つの味のジャムウ:キンマの葉、ターメリック、ポメロの葉、ザクロ、などなどから作られる)とkumkuman水を、各祠に供えます。
その後、お祈りをし、お下がりを戴き、バニュピナロの儀式は終了です。

みんな大好きなナシ・クニンは、サンヒャン アジ サラスワティへの供物を象徴するナシ・プラドニャン(プラドニャン=知性)と呼ばれます。
これをお供えすることで、私たちの知識と知性に祝福がもたらされます。
ナシ・クニンは、ナッツ、新鮮な野菜、エビ、ウナギ、アンチョビ、卵などが混ぜ合わされています。鶏肉や鴨肉を追加する人もいます。  

【Soma Ribek ソマ・リバッのお供え物】

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この日は、Ida Bhatari Sang Hyang Sri Amertha(豊穣、繁栄の女神、バタリ・スリ)にお供え物をして祈る日です。
バリ・ヒンドゥー教徒はこの日、必ず、納屋、お米の入った米蔵、お米の保管場所で供物を捧げます。
この日は、繁栄、豊穣に感謝する日で、農民としてのバリ・ヒンドゥーの人々は、米を搗いたり、米を収穫してはいけません
これに違反すると、飢餓が長引くと信じられてきたようです。
また、この日は、昼寝をしてはいけない、と信じられてきました。その理由は、この日の昼間は、Ida Bhatara Sang Hyang Paramesti Guruイダ・バタラ・サンヒャン・パラメスティ・グル がヨガをしていると言われているからです。世界の調和のためにヨガをしている神を常に尊重しなければなりません。
この日のお供え物は
1. Banten nyahnyah geringsing、geti-geti
2.pisang emas, canang lengewangi
ですが、我が家では、canang merakaという、チャナンの中に、薄くスライスしたバナナ、ジャジョ・ギノ、ジャジョ・ウリ、カチャン・サウル、お米、ティパット・サリをセットした、小さなお供え物を、食べ物に関係する全ての場所と、敷地内の各祠に供えます。

【Sabuh Mas サブ・マスのお供え物】

Sabuh Masは、貴金属(金、銀)、宝石、ビーズなどの、宝物の財産にお供え物をすることによって、私たちに繁栄と幸福を与えてくれる、富の支配者マハ・デワを崇拝する日です。
このサブ・マスの日には、所有する貴金属などをきれいに清め、チェックをしてちゃんと保管されていることに感謝をします。

サブ・マスのお供え物は
Banten suci, daksina, canang lenge wangi, burat wangi, peras penyeneng dan reresik、をピアサンあるいは家寺にてお供えします。
ですが、我が家ではこの日はお供え物をしないので、写真はありません。

サブ・マスの日に覚えておくべきことは、自己の浄化を心掛け、財産を持っていることに傲慢にならず、今現在手にしているものは全て、私たちの源であるサン・ヒャン・ウィディから与えられたもので、この世に生きている間に借りているだけであり、この世から私たちが去る時はどこにも持って行けないということを認識することです。
ダルマの道で賢く使用された場合、富はさらに明るく、より豊富になり、光り輝く金銀になります。しかし、アダルマの道で恣意的に使用すると、富はますます鈍くなり、腐食した鉄のようになります。

【Pagerwesi パゲルウェシ のお供え物】

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パゲルウェシとは、”鉄のフェンス”という意味で、サンヒャン・パラメスティ・グル(全ての存在の最高の教師)としてのシヴァ神に祈りを捧げる日です。
我が家では、ポクリアン、と呼ばれるこのお供え物(下の画像)で、敷地内を清めて回ることから始まります。

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Pagerwesiの言葉には、”フェンスで囲まれた何か”の意味を持つように、フェンス(忍耐力と一貫性)で囲まれたものが強固になること、また、フェンスで囲まれたものは、損傷や妨害を受けない、という意味合いが込められています。

この日は夜(真夜中)にヨガや瞑想をすることが勧められています。

パゲルウェシの儀式に関しては、2つの主な供物があります。
司祭の儀式のためのSesayutPanca Linggaと、一般の人々のためのSesayut Pageh Uripです。

司祭(Purohita)のための供物、Sesayut Panca Linggaは、
Daksina,ダクシナ
Suci Pras penyenengとBanten Penekです。

Pagerwesiとは本来、司祭・僧侶(プロヒタ)にとっての儀式・ヨガ、サマディ(瞑想)ですが、しかしながら、一般の人々も、自分の能力に応じてこの日を祝う義務があります。

一般の人々にとっての供物は次のとおりです。
natab Sesayut Pageh urip、Prayascita、Dapetan、ダクシナ、チャナン、Sodan。
そして、以下のものはSang Panca Maha Bhutaに供えられます。
Segehan Agung manca warna (menurut urip)  、arak あるいはberem(お酒)。
これらは、パンチャ・マハー・ブータが私たちの手助けをし、 あるべき”真の自由”に到達するまで安全に進むように導いてくれるように、という願いが込められています。

パゲルウェシの日は、アートマンが真の教師としてのブラフマンに近づくのに最も良い日である、と言われています。
真の知識は、実際にはこの世界で私たちの生活を守るための「鉄のフェンス」となるのです。





  


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