見出し画像

# 38 3年半と2年 幸福のラブレターを君に書いてみたので

"着いたらラインして"

着いたらってあと五分で着くよ...

胃の中で蝶が舞っているような

慣れない感覚に襲われながら、

新幹線をゆっくり熊本で降りた。

 

降りてそこで見た君の横顔は、

生まれて初めて恋をして、

生まれて初めて

母親や父親以外と手をつないで

3年半、隣という居場所が
互いにあって

初めて失くしたあの君だった。

 


その横顔は私の肩の触れるところに
いつもあって
伏し目がちな表情、その睫毛が
いとおしかったんだ。

こんな感情をもっていた高校2年、
あのころはずっとずっと青かった。
 

__


 
初めてのデートは自転車だったよね
今は車。
始めてのデートの行先は
近所のゲームセンター
今日は二人で海に向かっているんだよ。

ふわふわの優しさをまとう
君の目に映る私は
どんな顔をしていたかな。

くしゃりと柔らかな髪

日本人離れした透明がかった茶色の目

「久しぶり。」
そう言ったその君の隣がまた
私になった。



圧倒的な幸福感。

幸福の2文字をを具現化してみたら、
こうなんだろうな。
きゅるきゅるとゆっくりと話す声も
たれ目でハーフに間違われる顔立ちも
まぶしそうな茶色の目も変わってなくてね、
なんだかとっても眠くなった。
 

釣りにいくのは初めてのわたしに
ひとつずつ

中国虫の真似して教えてくれるのも
車の中の寒さを気にしてくれるのも、 

チョコの包み紙で折った金色の鶴2匹を
取っててくれてたのも(落ち着きないからずっと何かいつもしてるのを楽しそうに笑ってた)


優しさのタグでまとめてちゃんと、
忘れないように書き留めておきたかった。

 

嬉しかったことを話すとね、


コーヒー屋さんに寄ってくれたとき。

自分はコーヒーは得意ではないのに、
豆の産地をググって、へーって  
何度もつぶやいたり

本屋さんで
私が手に取った好きな作家さんを
そっとケータイのメモに残していたこと。

それをする君の伏し目がちな表情を
何度みていたことかってね、ほんとうに。

その時がくる度に”ああこの景色だ”
横顔の次に好きな景色だって1人、
だよねって
過去の自分と答え合わせしてたんだよ。

 


離れていた2年そして
一緒に居た3年半の記憶のピース
 

 

ちゃんとはめていっていたそれを
壊したのは私。



こんなことあったね、覚えてる?
あったね、ここに行ったんだよ。
そうだった?
そうそう、君はこうしたんだよ
おかしいね。

ちゃんと持ってた記憶のピースを
二人で
はめ合って





幸福感 再来   

この感じ。




茶色くって透明な目、
そんな目に誰を映そうとも
隣に誰がいようとも、

もう大丈夫なので



また会ってください。



貴方宛の
ラブレターを書いてみたので

オワリ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?