初回:《健忘村》邦題未だなし。


日本で公開されていない映画を紹介するとして

 こんにちは、はじめまして。台湾の大学に留学している者です。挨拶代わりに2017年観た映画top10を紹介しようと思っていました。当初の予定では。
 というのも2017年映画私的top10には《健忘村》(監督・陳玉勳)や《紅衣小女孩2》(監督・程偉豪)など台湾の作品が何本か入っているのですが、いざ感想を書こうとしたところ、ふと気がつきました。この2作を始め大半の作品が日本ではどうやらまだ一般上映されていないらしい(“まだ”というか紅衣小女孩シリーズとかおそらく日本公開絶望的)
 これは困った。ネタバレに留意する以前の問題。日本ローカライズ(字幕とか吹き替えとか)されそうにない作品を日本語で紹介すること、しかも蔡明亮や侯孝賢ならいざ知らず当地でもB級とされる作品の感想などそもそも需要があるのだろうか?あんまり無いんだろうなぁ。けど台湾映画を紹介するのも留学している者の責務だしなぁ。一応《健忘村》のあらすじだけでも、次段で書いてみます。

《健忘村》 記憶を巡る闘い

 本作、ジャンルとしてはブラックコメディ。時代設定としては19世紀の終わりか20世紀が始まるぐらい。舞台となるのは、とある萎びた農村。萎びてるから別に村民も活き活きと暮らしているわけではなく、生活や人間関係には不満を持っています。そこへ胡散臭い導師(と言っても劇中では胡散臭い派手さ=荘厳さとして受け入れられてしまうんですが)がやって来て、村人たちの「悩み」を消し去ってやろうと持ち掛けます。「悩み」=「記憶」ということで、この導師は村人に鉄仮面VRみたいな宝具を被せて村人たちの記憶を文字通り「編集」します。この宝具の操作場面は動画編集ソフトっぽいインターフェイスで記憶をcutしたりdeleteしたりできます。《Get out》は催眠術や物理的な手術でしたが対照的です。最終的に村人は記憶を全部消去され、されると自我まで失って、村はこの導師の言うがままになります。さぁ、この村はどうなってしまうのでしょう。
 と、この後は村を潰して汽車を通そうとする地上げ屋勢力も現れ、村の存続と記憶を取り戻す闘いが繰り広げられ、ハッピーエンドかバッドエンドかは判断の別れる終わり方をします。そしてそこが最大のポイントなんですが、そこ書くと重大なネタバレになるので。うん。記憶を取り戻す闘い=記憶を奪った宝具を巡る闘いなので、ね。独裁者から権力を奪ったって別の独裁者が現れるだけですから、ね。
(公式ページがないので代わりに予告を https://www.youtube.com/channel/UCHPF04JnqYnqXNw8TEzi5_w)
 前半は薄気味悪さやグロテスクな描写があります。そこから徐々にコメディ色やはたまたアクション色まで強くなっていく感じです。寓話だから近代東アジアにおける独裁や革命や世変わりの凡そが当てはまるし、良い設定だと思いました。

映画とか小説とか紹介していこうと思います

 現在自分が在籍しているのは台灣文學與跨過文化研究所というところで、映画や小説を見るには恵まれた環境にあります。なのでこれは!と思った作品は日本訳されてなくても紹介していこうと思います。また台湾での生活などについてもそのうち書いてみようかと。あと

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