2024/4/18

夜明けのすべて、という映画をみた。心を深く揺さぶられる作品だった。

主人公は、月経前症候群(PMS)の28歳の女性と適応障害を抱える25歳の青年。

その女性は、PMSの症状により急にイライラして人を怒鳴りつけることがあった。それにより最初の職場で多くの失敗をした。病院に行き、症状を抑えるための薬をもらうが副作用により強い眠気が生じ、仕事中に寝てしまうこともあった。仕事でうまくいかないたびに、彼女の母が彼女をサポートしてくれた。

彼女は転職し栗田科学というプラネタリウムを作成する小さな町工場で働くことになる。その職場にいても、PMSの症状で苦しむことがあった。

その職場には25歳の青年が働いていた。物静かで、いつも炭酸水を飲む青年。ある日、彼女は青年の飲む炭酸水の音にイラツキ彼を怒鳴り散らしてしまう。

翌日、怒鳴り散らしたことを後悔したまま出社した彼女は、給湯室でパニック発作の薬が落ちているのを見つける。彼女は以前同じ薬を飲んだことがあったのでそれが何か知っていた。

突然、事務室で大きな声が聞こえた。青年がパニック発作を起こしていた。急いで彼女は薬を処方したので彼の発作は治った。彼は早退し下宿に帰った。

心配した彼女は、彼の下宿に行き、食糧を持っていく。その際に、自分もPMSに悩んでいることを伝えるが、彼からパニック発作の苦しみを知らないで勝手に同情しないでほしいと言われる。

彼は2年ほど前からパニック発作に苦しんでいた。彼は有名大学を卒業し外資系の大企業で働いていたが、ある日パニック発作を起こし出社できなくなった。彼の上司と栗田科学の社長は、共に親族を自死で亡くし、グリーフケアの会に入っていたので知り合いだった。彼の上司が栗田科学の社長にお願いし、彼は病気と付き合いながら、そこで働くことになった。エリート街道を走っていた彼にとっては大きな挫折だった。

同じ職場で付き合ったいた彼女は、彼のことを心配しメンタルクリニックに付き添ったり下宿に行き差し入れをしたりしていたが、彼女はロンドンに移動することになり、別れることになった。

パニック発作によって、彼は電車やバスに乗ったり外食をしたりすることができなくなった。生活の範囲が徒歩圏内だけになった。彼は人生の希望を失っていた。

PMSをもつ同僚は、パニック障害のことを調べ、彼の苦しみを理解しようとする。彼に自転車をプレゼントするが鬱陶しがられる。ある日、下宿に行ったら彼が髪を切っていたので、その彼女が切ってあげるといたが、失敗してしまった。でも、そんな交流が彼の気持ちを少しずつ回復に向かわせてもいた。

メンタルクリニックに受診したある日、彼は女医にPMSのことを訪ね、PMSについて説明された本を貸してもらう。彼も彼なりに同僚の苦しみを理解しようとしていた。

ある日、PMSの同僚がイライラしている様子を見た彼は、本で学んだ知識をもとに、彼女を外に連れ出し、症状を抑えた。彼は自分のパニック障害の発作はどうすることもできないが、他者の苦しみなら理解し対応することができると言った。

ある日、パニック障害を抱える青年とPMSの女性に、社長から、移動式プラネタリウムの上映会をするので、そのイベントの運営を二人でしてほしいと頼まれた。プラネタリウムを開設する文章は青年が担当し、そのイベントの補佐を女性が行うことになった。青年は解説の文章をあれこれと思索するがなかなか良い文章が書けない。そんな中、社長から、栗田科学で働いていた自死した弟が三十年前に吹き込んだプラネタリウムの解説のテープを聞かせてもらう。

ぐいぐいと引き込まれる語りだった。彼はそのテープをもとに文章を作成していく。






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