moment98 side:unlimited
「あ、なつぐずってる」
すぐさま立ち上がる彼女をにのが止めた。
「オレ行くわ。ごはん食べてて。」
素直に彼女は席に着いた。
このふたりの無駄のない会話や動きがオレはなぜか好きだった。
「いや〜いいね。パパだわ」
翔さんがすかさず褒め称える。
「そうなんですよ。お仕事大変なのに、そんな顔一切しないで全部やってくれて。カイともなつとも遊んでくれるし、ちゃんと叱るときは叱ってくれるし。すごいんですよ。」
「もともと察しがいいからね、にのは」
「ほんとに助かってます。心底、この人と結婚してよかったって思います。ありがたいんですよほんとに…」
「よかったね…!」
「翔ちゃん泣くなよ!なんだよ!笑」
さて、本題に入ろうかな。
「そうだ、はるちゃん、話があってさ」
「はい」
「活動再開するにあたって、はるちゃんにも手伝って欲しいんだ。オレらのところで働いて欲しいと思って。もちろん、お給料も出る。会社の契約社員っていう位置付けなんだけど…」
「はい」
「どう…かな…?」
カイの誕生日を祝うのももちろん目的のうちだったけど、これも重要事項だ。
「それ二宮さんは知ってるんですか?」
「うん。打診はした。」
「でも、オレから頼むのは違うかなあと思って。言わなかった。」
なっちゃんを寝かしつけて来たにのが、喋りながらきた。聞こえてたみたいだった。
「…そうですか。
えーっと、…やりたいです。
やりたいんですけど、まず子どもたちをどうするか、ですね。あとは、まあ大したことはしてないんですけど、家のことと、そして仕事のこととって、一気にできるかなっていうのが、不安です。」
「うん。現場にみっちりいなきゃいけないとか、そういうのは無しにするし、できるだけ家でもできることとか、短時間で終わるとか、そういうふうにはしようと思ってて。完全にオレの指示の下だから、会社の人とかも関わってこないし。はるちゃんの無理のない範囲での仕事になると思うよ。」
「家のことはさ、別に大丈夫だよ。オレの母さんもいるし、岩手のお母さんもいるんだし。」
「今さら少しくらいミスしたって誰も責めたりしないしね笑」
「でも…なんか子どもたちかわいそうじゃないかなあ…寂しくならないかなあ」
「たまにはおばあちゃんと一緒もいいんじゃない?」
「…うん…」
「完璧主義すぎるんだよな。もっと楽にさあ」
そういうにのをよそに、彼女は話し始めた。
「…私にとって嵐はもうほんとに、大事なものなんです。同時にメンバーひとりひとり、そして二宮さん、カイとなつ。全部同じくらい大事なんです。何一つ、おざなりにしたくないんです。私が言う大事っていうのは、ほんとに命がけのやつなんです…!」
「わかってる。そういう性格だってこともわかってる。」
「あれ、大野さん起きてたの?ってか聞いてたの?」
「うん笑」
「…二宮さんが言ってたんです。いつかのコンサートのあいさつで。まだ私が客席にふつうにいたときです。嵐はオレにとって、一番大事なものだって。私感動したんです。この人は、大事なものがはっきりしてて、大事だということを言えて、大事なものを守るために必死なんだって。その覚悟がある人なんだなって。だから、二宮さんの大事なものを、私も大事にしたい。だから、中途半端なことはしたくないんです。」
「はるちゃん」
「はい」
「まずはさ、やってみたらいいよ。やってみてダメなところはみんなでカバーしてさ。きっと、カイもなつも、はるちゃんの仕事楽しみになるよ。そんなに気張らなくても大丈夫。」
「はい…
二宮さんは?どう思う?」
「やりたいならやったらいいよ。」
「じゃあ、頑張ってみたい。」
「やったー!よかった!ね!またみんなでわいわいしたかったもん!」
「相葉さん、仕事の話っすよ笑」
「そうだけどさ!ね!翔ちゃん!」
「よかった…!」
「まだ泣いてんの?!笑」
彼女がお手洗いに席を立った。
「ここ数年で会社の人間も結構変わったから大丈夫だとは思うけど、念には念を、彼女は会社にはあんまり置いておかないで、オレか、メンバーと行動できるようにするから。…はるちゃんは何も言ってなかったけど、やっぱり、トラウマみたいなのあると思うし。自分では大丈夫だと思っててもさ、無意識に出るかもしれないし。」
「ありがと。気遣ってくれて。」
翔さんが心配そうに言う。
「にのは…ほんとにいいの?前みたいにならないとは限らないし。それに、会社にもいないでオレらといれば、陰口叩かれる可能性もある。」
「そうね。オレもそれは思う。もうあんなのは、ほんとに嫌だよ。
…けどさ…。なんだろ。あいつ、こうなることを待ってたみたいな気がするんだよね。またいつか、やりたいって。口には絶対出さなかったけど、あいつのやりたいことは、紛れもなくこれなんだなって。」
「すごいいい顔するもんね。たとえ、傷ついても。余計に前を向くから。」
「まあでも、あのときみたいな無茶はさせないよ。子どもいるんだし。自分だけの身体じゃないんだから。」
「そうだね。てか、カイもなっちゃんも遊びに来ればいいよ。楽屋とかさ。そうすればはるちゃんとも一緒だし。」
「パパの仕事姿も見たいだろうしね。」
たしかに、心配事がないわけではない。過去あったことは消えない。また起こらないとも限らない。でもオレは心配よりやる気でいっぱいだった。彼女が戻って来たことを、絶対後悔させない。より良いものを作っていく。それだけだった。
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