moment91 side:unkown


起きると彼女がいなかった。


「病院に行ってきます」
という書き置きだけが残っていた。

病院?
どっか具合でも悪かったかな?
元気そうだったけど。



謝ろうと思ってたのに、いないのか。



仕方なくそのまま支度をして仕事に出かけた。




夕方くらいに電話が入っているのに気づいた。

メッセージには
「お話ししたいことがあります。今日は何時に帰ってこれますか?」と。


ふと、昨日の今日だから


ちょっとビビった。

いや、まさかね。


話したいこと、って、ねえ。


「にの、どうしたの?」

相葉さんが目ざとくこちらに向かってくる。

「あぁ、いや、」


「そうだ、はるちゃん元気にしてる?この前もらったお土産すごくおいしくてさあ〜」

「…」

「ん?どうしたの?」

「昨日、ちょっと。ケンカ…じゃないか、オレが一方的に不機嫌になっただけなんだけど」

「あら。仲直りしたの?」

「ううん。謝ろうと思ってたんだけど、朝起きたらいなかった。でも、話したいことがあるって、連絡が入ってる。」

「はるちゃんどこにいるかわかるの?」

「病院に行くって、書き置きがあった。もう、帰ってきてるんだと思うけど。」

「病院?早く帰ってあげなよ」


「…別れ話だったらどうする?」


「は?

それはない。」


「なんで言えるの?」

「はるちゃんはにののことが大好きだからだよ」

「…どうして相葉さんにわかってオレにわからないんだろ」

「待ってるだけじゃダメ。前も言ったでしょ?笑って欲しいなら自分が笑わせるんだよ。ほら、早く行きな」



とりあえず家に向かった。
もうすぐ帰れると連絡をして。


「ただいま」

いつもはなんの音もなく現れるのに、今日はやけにどたばたお出迎えに来た。

「おかえりなさい」

彼女は不安そうな顔だった。


早く謝ろ。

「あ、昨日は、」


「二宮さん、こっち座って。」

彼女はオレに喋らせないでソファに促した。


「二宮さん、私お話しするから、聞いてて。」

「あ、うん」


なんだろ。

いやに緊張感があった。


「えーっと、まず、昨日のことからね。最近ちょっと体調が悪くて、気分も悪くてね、それで昨日二宮さんに、オレといて楽しい?って言われて、ああ、私不機嫌に見えるのかなあって思って。で、体調が良くなくてっていう話をしようと思ったんだけど、大野さんから電話くるし、そしたら二宮さんなんか怒ってるし、どっか行っちゃうし、結局話せずじまいで。」

「あ、ごめん。あれはオレがただ拗ねただけ…ごめんね。」

「…でも、私が二宮さんといて、すごく、とってもとっても楽しくて、幸せで、そういうの伝えたいんだけど、なんかうまくできなくて、やっぱり伝わってなかったんだって思って…とにかく、とりあえず体調を整えようと思って、今日病院行ってみたんだ。」


具合が悪かったなんて、全然わからなかった。

「…どっか悪かった?風邪?それともおなか?ごめん気づかなくて、」

「違うの、あの、

落ち着いて聞いてね。」


え?そんなに重大な病気なの?



「赤ちゃんがね、いるんだって」


「は?」


「おなかの中に、赤ちゃんが、いるんだって。」

「…」

黙ってるオレを見て彼女はすごく戸惑っていた。


「えっと…どうかな、なんか…やっぱりダメだったかな、とか、ほら、お仕事に影響するかな…とか、いろいろ考えちゃって、

…喜ばれるかちょっと不安もあって…」


「どうって、…そんなの、」


「あの、その、だからね、えっと、一番言いたいことはね、私が二宮さんのことを愛してるっていうのが、これで証明できたんじゃないかなって…」

「…」

「だって、私が愛してなかったら、私たちが愛しあってなかったら、赤ちゃんは来てくれないでしょ?」


困った顔で覗き込まれて、愛おしくて仕方なかった。いつも、彼女はオレを想ってくれてる。わからなくなってるのはいつもオレの方だ。


彼女を抱きしめた。

なんだか涙が出た。


「うん…。そうだよ。そうだよね。ごめん。何にも、何にもわかってやれてなかった。ごめん。でも、ほんとに、オレ、すごい嬉しい。大好き。愛してる。」


「…産んでもいいの?」


「もちろん。てか、そんなこと言わせて…。

あの、お願いします。こちらから、お願い申し上げます。」


「は〜。よかった。よかったよかった。全部よかった〜」

彼女はほっとした顔で、力が抜けていた。


「オレのことは気にしないで大丈夫。全部ちゃんと準備するから。うわ、やることたくさんだ!まずご両親に挨拶に行って、あ、結婚式してないじゃん!てか、結婚してなかったね!それもやって、あとメンバーにもお知らせしなきゃ!オレの家にも行って…あと買い物もしないと。え?引っ越す?スペース足りるかな、」

無意識に立ち上がってうろうろしていた。


「二宮さん」

「ん?」

「焦りすぎ笑」


「とりあえずもう一回座って」


「いつも私ちゃんと喋らないから、今一生懸命話すね。赤ちゃんがどうのこうのの前にね、私はちゃんとしあわせだよ。私はどこにも行かない。二宮さんとずっといたい。二宮さんといて楽しい。幸せ。あんまり表情に出なくてわかりづらいと思うんだけど、もし、またわからなくなったら聞いて?なんでも、なんでもいいから、伝わるようにするから。」


「うん。ただね、ちょっと拗ねてただけ。ごめんね。ちゃんと昨日話を聞いてれば、一人で病院行かなくてもよかったのにね。体調悪い時は言って。もう一人だけの身体じゃないわけだし。」


「まだね、ちゃんと産まれてくるって決まってるわけじゃないから、体の管理をしなきゃいけなくて。ちょっと今までより、まあ今までも特に何もしてなかったけど、動けなくなるかもしれないから、ご了承くださいね」


ああ、なんて愛おしいんだろ。
また彼女を抱きしめた。

「オレ、お前のこと大好き。愛してる。」


「うん」

くすぐったそうに笑いながら、
彼女は返事をしてくれた。




しあわせって
これのことかな。



そう、ふと思った。









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