moment84 side:unfinished



オレはいつも待ってる派だ。
遅刻したくないし
待たせたくないし。

それは単なる不安症なのかもしれないけど
いつも集合時間より早く来て
相手を待つ。
自然とそうなることのほうが多い。


今日はにのと彼女と3人でごはん。
打ち上げの打ち上げ?
なんでもいいんだけど、もう一回彼女とごはんに行きたかった。だって辞めるとか言うから。


「あ、櫻井さん!お疲れ様です」

「はるちゃん久しぶり!」

「あ、はい!」

「いや、おととい会ったじゃん」

「おーにのお疲れ〜」

「お疲れ様です」


「あれ?お前鍵は?」

「ん?あ、カバンに入ってる」



鍵?

小さい声だったけど聞き逃さなかった。
え、何その同じ場所から来たみたいな。

「え?にのどうやってきたの?」

「一回家帰ってから来たよ」


「はるちゃんは?」

「タクシーで。」


「へえ〜」


へえ〜?


ぼーっとしているとにのに促された。

「とりあえずなんか頼みましょうよ」

「あ、うん。そうだね」


「じゃあ、コンサートお疲れ様でした!おとといの打ち上げもお疲れ様でした〜乾杯!」


「それとって」

「ん」

「お前野菜も食えよ」

「二宮さんこそ。好き嫌いはダメですよ」

「いやお前口についてる…

ん、取れた」


えー何この距離感。

近くない?


「え?そんなに仲良かった?」

ふたりとも顔を上げた。
そしてお互いに顔を見合わせていた。

「仲良い?」

「そうかな?」


「普通ですけど」

はるちゃんはほんとに普通の顔で言っていた。


まあ、前から仲が悪かったわけじゃないし…


「わー手がべたべた!
ちょっと手洗ってきます」


彼女は席を立った。



「そんなに見つめないでよ翔さん」

「あ、ごめん。無意識。

彼女、辞めちゃうんだね。ってか辞めたのか。日にち的に今日はもう。」

「ね。」

「会えなくなるなー」

「そんなことないでしょ。今日現に会ってるわけだしね。」

「そうだけどさ〜楽屋にはるちゃんいないのなんかやだ〜」

「たぶん呼べば来るよ笑

…まあでも、正解なんじゃない?オレとしてはよかったよ。またなんかされる可能性だってあったわけだし。」

「…。それはね。否めないね。」

「それだけはごめんだ。もうオレが耐えられないもん。」

「それはオレだってそうよ。悲しいけどね。そんな、現場になってしまったことがさ。」



「オレもトイレ行ってこよ」

自分も席を立った。


トイレに行く途中にある水槽の前に彼女がいた。ああ、ここにいたのか。どおりで遅いわけだ。

「どうしたの?」

「かわいくないですか?おさかな。家に欲しいな〜」

「はは笑 これ見てたのか。
戻らないとにのさん怒るよ?笑」

「櫻井さんのこと待ってます」

「あ、うん」


かわいい。
待っててくれるのか…


あ、いやいや。



一緒に席に戻ると想像通りだった。

「どこまで手洗いに行ってんだよ」

「トイレですけど」

「はるちゃん水槽見てたんだよね」

「そう!おさかな!かわいい!」

「大野さんに釣って貰えば?」

「いや、どんだけおっきい水槽欲しいんですか笑」

「だってお前、世話できんの?」

「ううん」

「じゃあダメだ」


彼女は笑いながらえ〜っと言っていた。


なんかなあ
さっきから腑に落ちない。


「え?はるちゃんって今どこに住んでるの?」

「東京…?」

「え?前いたところ?それとも引っ越したの?岩手には帰らないの?」

「えーっと…」


彼女はなぜかにののほうを向いた。


彼女はにのに小さい声で、言っていいの?と確認していた。黙ってにのがうなずく。

「あー、…二宮さんちに、住んでます。」


はあ?


目を丸くしてにのを見る。

でもにのは何も言わない。


「え?

え? そういうことなの?」

「ご想像通りですよ」


マジか!

うわー!なんか負けた!
いや、それは違うか。

ちょっと悔しい!
けど、よかった!

「えっと!なんだろ!にの、おめでとう!よかったね!!」

「え?なんで?」

「翔さん!」


「え?だってにのはるちゃんのこと好きじゃん」

「え?櫻井さん知ってたんですか?」

「え?うん。みんな知ってるんじゃない?」


「あーもう余計なこと言わなくていいんですよ…」

「いや、二宮さんがそういう話他の人にもするんだって、ちょっと意外でした笑」


「いや?されたわけじゃないけど、なんか。言動と行動でわかるよ。」


「いや翔さんだってそうじゃん」

「今それ言う?!」


「ん?どういうことですか?」


「なんでもないなんでもない!!」



「あ、でもあれですよ、住んでるって言っても別に引っ越したわけでもなく…ね、これからみたいな。」

「あ、そうなの?」


「自由にすればいいよ。別に来たいときに来て、帰りたいときに帰ればさ。」


「優しいですよね〜二宮さん」

「そうね〜にのは優しいんだよ。そうなの。」


「いいから。そういうのは!」


彼女はお手洗いに席を立った。


「にの〜最初に言ってよ〜」

「今日言うつもりは全くなかったんだよね」

「みんなは知ってるの?」

「いや?知らないと思う。あとで報告するよちゃんと。」

「そっか〜でも、ほんとによかったよ。にのでよかった。安心だよ。それにはるちゃんにも会えるし。」


「そこね?笑」

「だって岩手に帰ったらなかなか来れないでしょ?」

「そうね〜。

…でも、これからだよ。全然だもん。物理的にというかさ、一応カタチとしては近づいたことになるだろうけど、まだまだ、心の距離は遠いっていうかさ。」

「でも、心を許したってことでしょ?」

「んー。そうなんだけどね?

あいつ、愛されるのが怖いんだよ。」

「愛されるのが怖い?」

「ほら、翔さんだってシャッター降ろされたでしょ?

大事だって認識してしまうと、失った後のことを一生懸命考えちゃうわけね?だから、大事にしないように、その線を超えないようにしてるんじゃないかな。たぶん、無意識に。」

「それは…なんだろ。ちょっと、にの的には寂しいんじゃない?」

「いや、かわいそうなのはあいつだよ。でも、あいつも自覚できてる部分もあるんだよね。きっと。ちゃんと言ってくれたよ?うまくできないと思うから、おかしいところがあったら言ってねって。

オレがブレないでいないと、あいつわからなくなっちゃうだろうから。」

「うわ〜かっこいい。」

「ほんとにそう思ってる?」

「いや、マジで。オレには到底無理。」

「あいつなんかあったら、オレじゃない人に連絡する可能性もなくはないからさ、その時はよろしくね。」

「うん。任せて。それは大丈夫。

てか遅くない?」

「またあいつ水槽見てるよきっと」

「連れてくる笑」

席を立って水槽のほうまで歩くとやっぱり彼女はそこにいた。


「はーるーちゃん」

「あ、櫻井さん…、」

「どうしておさかな気になるの?」

「…何考えてるのかなーって。」

「…なんだろうね」


「はるちゃんはにののどこが好きなの?」

「どこ?…どこだろう」

「え?なくないでしょ?笑」

「強いて言えば…全部…だし、あとは、存在?あと温度。」

「温度?」

「あったかいんですよ〜」

「体温が?」

「こころが、です」

「へえ〜こころが…」

「戻らないと!行きましょ!」


「おかえり」

「ただいまー」

だいぶ彼女は酔っていた。
まあ、弱いだけなんだけど。

「翔さん、見ての通りこいつこんなんなので、そろそろ帰りますね」

「うん笑 気をつけてね。 にのまた明日!」

「んじゃねー

ほら、帰るよ」

「櫻井さーん、また!」



いつかのように、彼女はにのに付き添われて店を出て行った。




温度か。


彼女にはわかるんだな。


水槽を泳ぐ魚を見て
何を考えてるんだろうって
思ったことがない。


ほんとに
見えないものが見える。



不思議だな。


ただ愛しい。それはわかる。


にのが大事にしたくなる気持ちはよくわかる。



壊れそうなんだよな。
いつ壊れるかわからない。
すごく脆いんだ彼女は。


一見強そうな子だなと思わせるシチュエーションはいっぱいあった。だけどあれは、ある種その時だけの力であって、感情の高ぶりと共に現れる力、というか。


そうじゃなかったら彼女はほんとは弱いんじゃないかな。

ほんとのほんとは、
誰かに守ってもらいたい


病院に運ばれて
ベッドに横たわる小さな身体
いつもの彼女とは思えないほど弱々しかった。



そんなことを思い出していた。



きっと感情の振れ幅が大きいから
オレじゃ全然わかってあげられないと思うけど

でも、
彼なら、きっと。





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