moment86 side:unfold


「はるちゃん久しぶりだね。元気だった?」

彼女は楽屋にいた。

「元気ですよ〜ってかまだ打ち上げからそんなに経ってないけど笑」

「あ、そっか」

「大野さんは元気だった?」

「うん。」

「それはよかった」


「にのと仲良くやってる?」

「うん。ふつうに。毎日ふつうに過ごしてるよ」

「そう。いいことだね。」


「…とってもしあわせなの。」


彼女は下を向きながら静かに言ってたけど、すごく嬉しそうだった。心からの、言葉なんだと思う。

「ふふ。オレははるちゃんがしあわせなのが、しあわせだ。」


ソファで並んで話してたオレたちの前ににのが立ちはだかる。

「なにふたりで喋ってんの」

そう言いながらオレたちの間に割り込んで座ろうとしてきた。

「いや、ここは入れません。狭いです」

はるちゃんが半笑いで言う。

「やだ。ここがいい」

無理矢理にのが割り込んでくる。

「ちょっとー笑」


「あ、相葉さんだ!おみやげあけなきゃ!」

3人で笑ってたらはるちゃんが急に立ち上がって行ってしまった。


ぎゅうぎゅうに座っていたオレたちははるちゃんがいなくなった反動でちょっとバランスを崩した。

「…なんだよ急に立って…」

「でも、はるちゃん元気そうでよかったよ」

「んー。…でも、正直仕事してたほうがいい顔してたかも。」

「そう?今もいい顔じゃん。ほら。」

彼女は相葉ちゃんと楽しそうに話している。


「んー。…なんだろうね。

なんかこう、あいつの中で急に不安になったり、嫌な気持ちになったりすることがあるみたいでさ。あのときみたいに、例えばコンサートやらなきゃ!ってそこに突き進んでるときは、余計なことは考えないんだと思うんだよね。すごかったでしょ、あの向かい方が。あのときは悩んだりするの見たことなかったし。なんか…オレは何もできなくて。だから、何かやらせてあげたらいいのかなあって。夢中になれること、っていうか…」


「んー。でも、あの時くらいやることがあるかっていうと、オレらはね、今のところはね…」

「オレも家にいることそんなにないし…」

「でもほんとはにのと一緒にいたいんだと思うよ。」

「それは、わかってる。つもり。」

「にのといるときの顔が、全然違うんだよな。それこそ見たことない顔だよ。優しい顔してる。」

「そう?よくわかんないけど。」


確かに突き進んでいた彼女の魅力もよくわかる。だけど、あの弱さを散らしたあのときの彼女だって、十分に彼女だ。彼女が笑ってるほうが、嬉しいのはわかるけどね。

あ、そうだ。

「はるちゃんなんか欲しいものとかないかな?なんかあげたい。」

「なんのプレゼント?誕生日終わったよ?」

「なんでもないプレゼント。」

「あー…おさかながほしいんですよ、彼女は。」

「え?さかな?マグロ?寿司?刺身?」

「観賞用です。」

「あ〜。」

「でもあいつ世話とかできないと思うんだよね」

「なんで?」

「1000%めんどくさがりやだから。」

「はは笑 そっかそっか。」

「でも、大野さんからもらったって思えば、すげえ一生懸命世話すると思う。」

「それは、かわいいなあ笑」

「でしょ?かわいいでしょ?」

「大野さん、プレゼントしちゃお」

「あら、ありがとうございます」

「置く場所ある?水槽」

「あー…小さめで。お願いします笑」


そんなことを話してる間に時間が来た。
にのがはるちゃんを呼ぶ。

「はるかさーん」

「あ、私そろそろ帰る時間ですね。みなさん準備しないと。」

「うん。行こ。」


彼女が楽屋に遊びに来てくれた時は、必ず出口まで送っていく。

「じゃあみなさん、また!お疲れ様です!」

彼女が他のメンバーに挨拶をしていた。

「オレも行く」

「え?」

「いいじゃん」


楽屋を出た彼女が振り向いた。

「ん?送ってくれるんですか?」

「大野さんがついてきたいって」

「ありがとうございます笑」

「はるちゃん、おさかな欲しいんでしょ?プレゼントしてあげるよ」

「え!ほんと?!

…あーでも、二宮さんがね、世話できないんだからダメって。」

「お前大野さんにもらったおさかなの世話なら、ちゃんとするでしょ?」

「する!一生懸命するよ!」

彼女はキラキラした顔で言った。

「はは笑 ほんとに、言った通りだね」

「なにが?」

「ほんとにキミたちは、お似合いだ笑」

「んー?」

「まあ、よかったじゃん。」

「今度おさかな選びに行こうね」

「え?!いいんですか?」

「別にそれくらいねえ、いいでしょ。」

「大野さん、マジで変なことしたらガチで許さないから。」

「そんなに心配ならにのも来ればいいじゃん」

「え?なんの心配?さかなの大きさとか?」

「あははは笑」

「お前は…ほんとに…」


彼女を見送って楽屋に戻る。

「ふたりっきりはダメだよ」

「デートできると思ったのに〜」

「あなた前科あるんだから」

「それはにのと付き合う前だからいいでしょ?」

「…オレも意外と余裕ないのよ。嫌なの。」

「わかった。にのも一緒に行ける日にするから。てか、はるちゃんがちゃんと、にのに確認取ったりするでしょ。冗談だって。」

「…ごめん。なんかさあ、意外とふら〜っとどっかに行っちゃいそうで。怖いんだよね。」

「彼女はそんなことしないよ。散歩にふらっと出ることはあってもさ。それって男女間のってことでしょ?それはないよ。はるちゃんの目、思い出してごらんよ。まっすぐでしょ。

…ていうか、よっぽどかわいいんだね笑」

「そうだよ。」

「いいね。愛だね。そういうにのがオレは大好きだね。」

「気持ち悪いよ」


にのは心配性だ。

「はるちゃんねえ、とってもしあわせですって言ってたよ」

「え?」

「だから、オレははるちゃんがしあわせなのが、しあわせだって言った。」

「そんなこと言ってた?」

「嬉しそうだったなあ。あ、ほら、わかる?うれしーっ!っていうやつじゃないやつね。すごく静かに言ってたけど、はるちゃんなりのしあわせってさ、そんなに派手なもんじゃないんだと思うんだよ。でも、すごくほんとにそう思ってるんだなって感じだった。」

「そっか…」

「はるちゃんだってさ、悩んだり落ち込んだりするさ。それもはるちゃんの一部だよ。毎日あのときみたいに突き進んでたら大変だよ。悩んでるところ見ると、助けたくなる気持ちはわかるけど。そんなに心配しなくても大丈夫じゃない?彼女、すごくしあわせそうだよ。」

「うん…。」

「そういう、悩んでる顔とか、嫌な気持ちだとか、そういうのにのに見せてるってことはさ、すごいことだと思うよ。はるちゃんそういうの嫌がるじゃん。にののことを、すごく信頼してるよね。そういうのを隠そうと、頑張らなきゃっていう鎧を外してるから、そういう気持ちの揺れが見えるわけでしょ?」

「…なんでそんなにわかんの?」

「直接聞いたわけじゃないからわかんないけどさ。なんか、なんとなく、ね。

…オレたちはオレたちのやるべきこと、できるとをやったらいいさ。オレら4人だって、彼女のこと大切に思ってるし、なんなら助けるし。」


「ありがと。ゆっくり、やってくわ。」




きっと言葉にするのが苦手なんだな。
どっちもさ、人の気持ちが読めてしまうから。

でも微笑ましくも思えた。
どっちも不器用で、
でもすごく愛していて。

ふたりとも当然仕事もできるし、人の気持ちもわかって、そういう意味では器用な人たちなんだけど、自分のこととなるとね。

相手が大切すぎて、大事すぎて
空回りするのかな?


ふたりがしあわせならそれでいい。
ふたりにしあわせがいっぱいありますように。



ただ、それだけ。






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