見出し画像

音楽業界2.0 ―「分散型音楽業界」という未来

!このnoteは100円の有料noteですが、ほとんどを無料で読むことができます。「どれだけ売れてくれるのか」というおためしですので、もし気に入って頂けたらポチってくださるとモチベーションになります。

こんにちは。バーチャル音楽Webブロガー大学生・さいとう(@S41T0H)です。全方位型音楽Webマガジン「KOYA-SUS」を運営しながら、フリーランスの音楽プロデューサーを目指しています。

KOYA-SUS | 耳を肥やさす音楽マガジン。

ところで、みなさんは「ミュージシャンにとっての成功」とは何だと思いますか?


そう、武道館コンサートですよね。TVアニメ『けいおん!』でも言ってましたし。

世の中には大きなステージでライブをすることを目標に、星の数ほどのミュージシャンが日夜「ライブハウス」で消耗しているのです。

彼らはメジャーデビューを目標にして試行錯誤しているわけですが、ご存知の通りメジャーデビューできるミュージシャンなんて一握りなわけです。

ところで、最近の日本のメジャー音楽シーンどう思いますか? 本当に実力があって評価されるに値するミュージシャンばかりでしょうか。

みなさんも「好きなミュージシャンがTwitterで突然メジャーデビューを発表した!」という経験があると思います。メジャーデビューに至る交渉は水面下で行われているので、その基準を推し量ることは我々には不可能なわけです。

しかしその不明瞭なプロセスによる「メジャーデビュー」とやらをしなければ、大々的な広告を打ってもらうことも、大規模な会場を押さえることも、音源のリリースや物販も、メディア露出も難しい、というのが定説です。

これって、前時代的だと思いませんか? 古臭くてナンセンスですよね。

さらに最近、事務所絡みのトラブルが多く見受けられます。これも全て、旧態依然の事務所やプロダクションが持つ既得権益によるものです。

そこで僕が提案したいのが「音楽業界2.0 — 分散型音楽業界」というものです。

このアイデアによって、ミュージシャンが巨大資本に縛られることなくもっと自由に活動できて、実力あるミュージシャンが正当に評価されるようになるのです。

目次
1. はじめに
 1-1. 「ライブハウス」という魔窟
 1-2. 消耗するアマチュアミュージシャン
 1-3. 飽和する音楽コンテンツ
2. 音楽業界の現状
 2-1. 中央集権型な音楽業界の構図
 2-2. メジャーミュージシャンの「サラリーマン化」
 2-3. 「テレビ」による訴求の疲弊
3. これからの音楽業界「音楽業界2.0」
 3-1. 音楽業界の「分散化」
 3-2. マネタイズの手段の多様化
 3-3. クラウドファンディング、そしてVALU
 3-4. トークンエコノミーの導入

はじめに

「ライブハウス」という魔窟

アマチュアのミュージシャン(インディーズミュージシャンと呼ばれます)の主たる活動の舞台はライブハウスです。

たとえば新木場コーストやZepp東京といった大規模なライブハウスに行ったことがある人は比較的多いかもしれませんが、もっと小さい下北沢や渋谷のライブハウスに行ったことがある人はそれほど多くはないのではないでしょうか。

そういった小規模なライブハウスは、騒音対策のため穴ぐらのような雑居ビルの地下にあり、薄暗い妖しい雰囲気とヒッピーのような外見のまばらな客(大抵は出演者の友達か親戚)、煙草の煙で酸素も薄く、まるで魔窟の様相を呈しているわけです。

もちろん出演バンドも全員が知らんバンド。そんな知らないバンドのライブに3000円+ドリンク代を支払って入るのって、なかなか敷居が高いですよね。そういうわけで、小さいライブハウスにはますますお客さんが入らない、というのが日本のインディーズ音楽シーンの現状です。

消耗するアマチュアミュージシャン

ライブハウスに出演するには「チケットノルマ」というのが出演者側に課され、1バンドにつき10~20枚のチケットを出演者は買わされるわけです。

友達の少ないバンドマンは売り捌けるわけもなく、赤字状態でライブをする。

そんなわけで今夜も日本中のライブハウスでは赤字でライブが行われているわけです。

必死にSNSでお客さんを募っても、10人程度の客ではトントンとなってしまうわけで、「働けど働けど、我が暮らし楽にならざり」というわけなのです。

「好きで音楽やってるのに、利益を求めるな!」という声が聞こえてきそうですが、そういった冷ややかな意見が日本の芸術や文化の担い手を殺しているという現状があるわけです。好きなことでお金を稼ぐことは、悪いことではないのです。むしろ、やりたくないことを嫌々やって日銭を稼いでいる人のほうが悲しいですよね。

飽和する音楽コンテンツ

翻って、なぜライブハウスにお客さんが入らなくなってしまったかというと、それはネット上でいくらでも音楽が聴けるからでしょう。これはある意味当然な流れです。

YouTubeに公式MVが上がっていたり、Apple Musicなどのサブスクリプション(定額課金)型音楽配信サービスで手軽に何万曲も聴くことができる音楽を、わざわざインディーズの売れていないバンドまでdigって聴こうと思う音楽好きはそういません。

インターネットが存在しなかった80年代、日本ではバンドブームが起きていたと聞きます。ラジオからビートルズやローリング・ストーンズといった欧米のロックが常に流れていた時代に少年時代を過ごした人たちが、良質な日本語ロックを生み出していた時代です(とても惜しいことに僕はまだこの頃は生まれていないのですが……)。

そういった時代には、ライブハウスに行くことは多くの人にとって楽しかったことでしょう。知らないバンドの演奏を大音量で聴き、体感し、学校でバンドの話をする。音楽雑誌ではインディーズバンドの話題が取り上げられ、テレビでも「イカ天」のような、インディーズバンドを採り上げる番組が放映されていた。

つまり今とは時代の温度感がまるっきり違っていたわけです。

そんな時代のサクセスストーリーであった「ライブハウスでの下積み→ファンを獲得→プロデューサーの目に付く→メジャーデビュー」といった構図はまさに時代おくれだと思いませんか?

かつてのような活動で売れる時代ではそもそも無いし、仮にメジャーデビューできたとしても成功できるかどうかは別の話です。

では、次の項目からは音楽業界の現状について考えてみましょう。

音楽業界の現状

中央集権型な音楽業界の構図

音楽業界には、非常に様々な業種が複雑に入り組んでいます。

・プロダクション
・レコード会社・レーベル
・イベント企画会社
・広告代理店
・権利管理団体

etc...

この中でメジャーミュージシャンを縛るのがプロダクションとの「契約」です。これによってミュージシャンは資本によるバックアップを約束される代わりに「自由」を失うわけです。

メジャーミュージシャンの「サラリーマン化」

あなたは、好きなミュージシャンがメジャーへ行った途端音楽性が変わってしまって悲しくなったこと、ありませんか?

もちろん、ミュージシャンだって自分の音楽がもっと売れるようにプロデュースしてもらっているわけですから、従来のファンを裏切ることは本望でないはずです。

しかし、音楽プロデューサーは音楽をあくまでも売り物として商業的な目でその音楽を売れるようにプロデュースするわけですから、レコード会社の「意向」が色濃く反映されてしまうことは仕方がないことです。

ミュージシャン側だって、大掛かりなプロモーションと引き換えに売れ線に寄せてしまうことは仕方ないことだと思っているはずです。

しかし、その「大掛かりなプロモーション」が、必要なくなってきているかもしれません。その理由は次項にて説明します。

「テレビ」による訴求の疲弊

やはり、CMソングやドラマ、アニメの主題歌に使われることがミュージシャンにとってはかなりの飛躍となります。

それはなぜかというと「テレビ」というマスメディアによる訴求効果が大きかったからです。

なぜ過去形にするかというと、その「テレビ」というメディア自体が疲弊してきていると感じるからです。

ゴールデンタイムのテレビ番組を観てみても若者向けの番組はほとんどないことは自明でしょう。そういった番組は深夜枠か、abemaTVで配信されているわけです。そういった層に若手ミュージシャンの曲をテレビCMなどで訴求しても効果は薄いでしょう。

また、近年では「テレビから人気がつく」というより「先にネットで話題になってあとづけでテレビ出演をする」というケースが多くなってきています。

たとえば、時代の寵児こと米津玄師氏。2017年の「打上花火」から、2018年の「Lemon」のヒットなど彼の人気はいまだ伸び続けています。彼はもともとニコニコ動画でボカロPとして活動していた、ということは言うまでもないでしょう。

また、頻繁に炎上する岡崎体育氏の人気の発端はTwitterのバズ(=拡散されること)によるものだと言っても過言ではありません。

彼はその後も「MUSIC VIDEO」「感情のピクセル」といったSNS映えする楽曲を多数リリースしています。上手い。

米津玄師氏や岡崎体育氏といったネット時代のミュージシャン達を見ていると、やはり10年前とはまるっきり音楽の売れ方が変わってきていることに違いないようです。

このような中、「メジャーデビュー」を念頭に置いて必死に音楽活動をすることは必ずしも有意義とはいえなさそうです。メジャーレーベルに所属することは「中間搾取」というデメリットも考えなくてはいけません(もちろん、プロモーションや人件費などにかかる費用も含まれるので正当な搾取ではあるのですが)。

では次の項目からは、前項までを踏まえ、これからの音楽業界がどうあるべきかについて考察してみたいと思います。

これからの音楽業界「音楽業界2.0」

音楽業界の「分散化」

これからの(あるいは既に変革の起こり始めている)音楽業界を読み解くキーワードは「分散化(Decentralization)」です。

続きをみるには

残り 2,435字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

かなり元気になります。