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ゲーム症にだまされないように、ギャンブル症も同じです

DSM-5(DSM-5-TR)でのインターネットゲーム障害、診断基準としてよく出てくるもの
1.インターネットゲームへのとらわれ、執着
2.インターネットゲームをしていない時の離脱症状
3.より多くの時間をインターネットゲームに費やそうとする耐性
4.インターネットゲームをやめたり減らしたりするこのの困難、制御不能
5.インターネットゲーム以外の過去の趣味・娯楽への興味の喪失
6.心理社会的問題があってもインターネットゲーム使用を継続すること
7.インターネットゲーム利用についての虚偽
8.否定的な気分からの逃避目的の利用
9.インターネットゲーム利用による交友関係の崩壊や仕事や学業面での機会の喪失
の9項目中5つ以上が1年以内に生じていること。

重大な留意点(篠原)


この症候項目の前に、以下の前文がある。
臨床的に意味のある機能障害や苦痛を引き起こす持続的かつ反復的な、しばしば他のプレイヤーともにゲームを行うためのインターネット使用で、以下の五つ(またはそれ以上)が、12か月の期間内のどこかで起こることによって示される

この表現では、症候が満たされれば機能障害や苦痛が必ず引き起こされるかのように解釈することも可能。しかし、実際の臨床判断では、臨床的に意味ある機能障害や苦痛が前提となる。
なのに、さまざまな尺度は。この前文を無視するかのように作られてしまっており(実際その記載は抜け落ちる)、結果として障害や苦痛の存在は必須ではなくなっている。
IGDT10はかろうじて三択の「いつもそう」のみのカウントで、問題がある程度のチェックでの生涯判断は回避されている。
しかし、久里浜グループはIGDT10に基ずく有病率調査(自分たちの)を否定し、YES/NO判定での有障害疑い率が正しいとしている。結果、インターネットゲーム障害、ゲーム行動症を大きく見積る方向を打ち出している。
久里浜のICD-11の有障害うたがいの「異常な多さ」(5,6%)にあわせて、まだ適切と思われるIGDT10(1,2%)の見直しをはかっている。
そのデータがマスコミでの紹介の主流。
これに近いことは、アルコール使用障害、ギャンブル行動症でも行ってきた。
ゲーム行動症、ギャンブル行動症のICD-11ベースでの見直しが必要。とくに社会的機能障害、生活上の機能障害の評価は必須。臨床的に意味のある機能障害や苦痛(DSM-5)、顕著な苦痛や障害(ICD-11)を無視してはいけない。
症候を満たせば、必ず、臨床的に意味のある機能障害や苦痛(DSM-5)、顕著な苦痛や障害(ICD-11)に至るなどという、物質使用障害で当たり前のように考えられてきた(実は当たり前ではないが)進行性や不可逆性を前提にしてはいけない。

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