SPEEDの楽曲を振り返る ~Body & Soul~

「Body & Soul」は、1996年8月5日にリリースされたSPEEDのデビューシングルであり、代表曲の一つ。SPEEDといったら真っ先にこの曲を思い浮かべる人も多いだろう。知識が乏しく音楽的なことはあまり分からないのだが、歌詞にもメロディーにも、そしてそれを表現する彼女たち自身にもとにかくエネルギーを感じる一曲。

個人的にSPEEDは「アイドル」ではないと思っている。しかし、おニャン子クラブが解散して以降、「アイドル冬の時代」と呼ばれていた当時、こんなパワフルな曲を引っ提げてデビューした女の子4人組のインパクトは相当なものだっただろう。SPEEDのシングルの中でもこの曲より売れているものはいくつかあるのだが、これだけインパクトの強い曲は他にないのではないかと思う。代表曲と言われるのも納得である。

この曲については、歌詞の一部を切り抜いて「性的な表現が~」などと書かれることも多い。実際そういう意図が込められた歌詞なのかもしれないが、今回はあえて触れないでおこうと思う。なんとなく。

さて、この「Body & Soul」。プロデューサーの伊秩弘将氏がSPEEDの4人を初めて見たときのイメージをそのまま曲にしたという。歌詞を通して4人が無限の可能性を秘めており、空や風など自然とぶつかれるくらいのパワーを持った少女たちだということが表現されている。特に最後の寛子と絵理子が交互に掛け合うパートは、スケールの大きな歌詞と二人の突き抜けるような歌声が合わさって、最高潮のクライマックスを迎えている。

また、所々に「これから辛いこともあるだろうけど、一緒に乗り越えていこう」といったニュアンスの歌詞があり、新しい世界へ飛び込んでいく4人へ向けた伊秩氏からのエールも含まれているのではないかと考えられる。

この曲のMVは全編アメリカで撮影されていて、非常にスケールの大きさを感じさせる仕上がりになっている。新人、しかも10代前半のアーティストがこの規模のロケを行うのは異例なのではないか。こういうところからも期待値の高さが窺える。

MV全体を通して雲一つない青空なのが印象的。その下で4人が目一杯に踊っていて、まさに「太陽浴びて 踊り出そうよ」といった感じ。最後は夕日をバックに海でじゃれ合うシーンで終わり、沖縄の少女らしさも感じられる。

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途中に出てくる野球場はMLBオークランド・アスレチックスの本拠地オークランドコロシアム。電光掲示板に曲名などを表示しているシーンもある。どれだけ金がかかっているのか…。

このMVはSPEEDのYouTubeチャンネルで公開されている。

最後に僕がこの曲で一番好きな部分を紹介して終わりたい。

同じStepの毎日じゃ 生きてる事さえ忘れちゃう… それじゃ張りがない!

流れるようなメロディーと寛子のハイトーンボイスが聴いていて心地良いこのパート。淡々とした味気ない毎日の中でふとした時にこの歌詞を聴くと、「もっと人生楽しみなよ!」とSPEEDに背中を押してもらえるような、そんな気がしてくるのである。女子小中学生に励まされるアラサーの男…。


2000年に解散するまでの約3年半は「伝説」と称されるほどの強烈なインパクトを残した。そんな伝説の始まりであるこの曲は、先の見えないこのご時世だからこそ、より一層輝いているように感じる。4人の軌跡を振り返りながら、今の時代に必要なのはこんな音楽なんじゃないかと、ふと思ったりもするのである。

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