響きをとらえて

 今日は午前中、生徒さんのピアノレッスン。以前にこのブログでも書いていた「ピアノウィーク」の開催がいよいよ近くなってきて、今日は受講コースを変更された生徒さんとの内容決め。個人レッスンの曲はもう少し増やした方が良いのか、連弾のレッスンの曲は何がいいか、など。話をしながら進めているといろいろイメージが出てきてやりたいことも増えるので、ピアノウィークに向けての楽しみが増してきた。いよいよカウントダウン間近!とにかく講師の方が素晴らしすぎる。
 ところで日々思うこと。ピアノを音楽的に奏でるにはどうしたらいいか。

 大事なのは奏でる音を「響き」で捉えること。

音を響きで捉えることができると、ロジック的な考えを優先して指を覚えていくよりはるかに記憶に残る。もちろん、習い始めてすぐの導入期はロジックのように理解する。例えばドミソを順番に弾くとき、1,3,5の指(右手はこの番号が望ましいので)を「指は1本抜かし」で打鍵するんだ、などと言葉で理解する。シファソなら1,4,5だな、というふうに。ピアノを弾くということは、簡単に言ってしまうと音符、指番号などその他情報も含めた整理の莫大な繰り返しなのだ。譜読みするためにロジック的感覚は必要ではあるし、曲が難しくなってきても運指について整理していく作業はもちろんある。
…けれどそれ以上に、鳴った音に対して響きを捉える耳があると、苦労が激減し譜読みがグッと早くなるのだ。日本の場合、教育の現場ではまずロジック的感覚が優先され構造を整えてから響き、というように最後の段階に来るまで時間をかけていることが多い気がしていて、ドミソ、という音の響きを理解してはいるけれど、そこには「響き」という言葉の意味がやや表面的で「音色」とは分離している。 一方ヨーロッパでは小さな子供がポロポロと弾くだけで音が良いな、と思う機会がよくある。おそらく湿気の多い日本に比べて乾燥している空間でピアノを奏で、無理のない響きを普段から聞いていて、自然に美しく良い音色を生んでいるのではないだろうか。生活環境も大きいけれど、導入段階で自然に「響き」の教育を行っているヨーロッパに強く共感する自分がいる。

 ある程度楽譜が読めるようになって両手で演奏し始めた子供には、耳での捉え方を早めにアプローチしてあげると、きっとその子供は早い段階で音楽的に成長する。音の響きは、無形であり言葉にならない部分ではあるけれど、「聴く」体験をすると不思議と奏でる音が変化していく。
教室に通ってくださる生徒さんには早い段階でこのことをアプローチしていきたいと思っている。

 ピアノウィークには当教室から3名の生徒さまが受講予定で、間違いなく素晴らしい音の響きを聴かせてくださる先生方のレッスンを本当に心待ちにしている。


 

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