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「電子戦隊デンジマン」の主題歌は、何故あんなに"ファンク"すぎるのか

今回の記事では、「電子戦隊デンジマン」のオープニングテーマとエンディングテーマが"ファンク"すぎる理由について真剣に考えたいと思います。

「電子戦隊デンジマン」は"スーパー戦隊シリーズ"の第4作目で、1980年の春から放送されました。
SFチックでメカニカルな作風が特徴です。

主題歌はオープニング、エンディングともに小池一夫さんが作詞、渡辺宙明先生が作編曲、成田賢さんが歌唱という形で制作されています。

EPのジャケット

今回は
オープニング主題歌とエンディング主題歌のサウンドの解説
主題歌を同時期の音楽と比較して「これに影響を受けてるのでは?」という考察
を行っていきたいと思います!

・電子戦隊デンジマンの主題歌の解説

①オープニング
「ああ電子戦隊デンジマン」

この曲は"シンセサイザーによるSF感満載のイントロ"から始まり、"

カラッとしたサーフサウンド調のギター"、"モゴっとした音のうねるようなベース"、"ハイハットを活かした4つ打ちのドラム"、

"全体的にフューチャーされたブラス"と"賢さんの渋く情熱的な歌声"+"日本歌唱協会の重たいコーラス"
で構成されています。

歌詞は正統派のヒーローソングです。

"盛り上がるヒーローソング"というよりは"ダーティで渋いヒーローソング"ですね。
その分"盛り上がる要素をブラスが担っている感"はあります。

「こんな大人で渋い曲を当時のちびっ子はどう感じたんだろう?」と思います。

②エンディング
「デンジマンにまかせろ!」

ファンキーなカッティングギターやタイトなリズムセクションなどで構成されている疾走感のある曲で、実は結構正統派のファンクです。ギターの音色もそうですね。

ですが、実はこの曲の随所のフレーズにヴォコーダーというマイクで入力した声を音に変換する楽器が使われています。

その点が異質で、ファンクなのに"エレクロトロニカ"っぽさが付与されています。
ヴォコーダーの声は宙明先生ご自身によるものだそうです。

また、ファンクにブラスを使うのはよくありますが、この曲はブラスだけではなくストリングスも使われています。
ストリングスを使うことによって"ヒーローソングっぽさ"が出ていますよね。

Bメロ「♪どうするどうする〜君ならどうする〜」という歌詞のフレーズはよくフューチャーされがちですよね。

③この2曲の凄さについて


まず、「SF系の特撮ソングをフルオーケストラに頼らずシンセ+ファンクサウンドで作っちゃう」ところがカッコイイですよね。

しかも、ファンクサウンドが結構音色を含めて当時の正統派サウンドですね。

多分それだけだと"曲がダーティで渋すぎるもの"になってしまうと思うので、ブラスやストリングスを多用しているのは、"ヒーローソング要素を付与するため"だと思われます。

それらの手順で作られたデンジマンの曲は、賢さんの歌声や小池さんの歌詞も相まって、最高にカッコイイものとなっていますね。


・ではなぜデンジマンの主題歌は、このような楽曲になったのか?

結論から言うと、恐らく
・テクノブーム
・ファンク、AORブーム
・リメイクブーム

の影響です。

1個1個解説していきます!

①テクノブームの影響

デンジマンの主題歌は、"シンセサイザーによる打ち込みフレーズ"や、"ヴォコーダーによるフレーズ"などが随所に使われていますが、
理由としては"YMO等によるテクノブーム"が影響していると思われます。

デンジマンの主題歌がリリースされる2年前からリリース時にかけては、YMOが作品を多数リリースして、"世にシンセサイザーを駆使した音楽"を広めている真っ最中なので、それによる"テクノブーム"の影響があると思います。

また当時のSF映画などの劇伴の傾向が"シンセサイザーを駆使した宇宙的キラキラサウンド"だったことなども少なからず影響していると思います。

②ファンク、AORブームの影響

デンジマンの主題歌は、"めちゃくちゃファンクなバンドサウンド"による楽曲なのですが、
理由としては"ファンクやAORのブーム"が影響していると思います。

1個1個説明していきますが、

例えば「ああ電子戦隊デンジマン」のベースラインについては山下達郎さんが「BOMBER」などで見せたうねるようなファンキーベースラインがかなりの影響を与えていると思います。

また「デンジマンにまかせろ!」のファンキーなカッティングギターやタイトなリズムセクション、疾走感のある曲調などは前年から活動を開始したSHOGUNの影響を感じます。

SHOGUNの曲で、「Silently She Said」という曲があるのですが、ブラスも含めて曲調はかなり近いと思います。


そういう要素をもっとキャッチーにして、ヴォコーダーなどを混ぜた
のが「デンジマンにまかせろ!」なのではないかと思います。

更に"曲全体でフューチャーされているブラスやそのフレーズ"に関しては当時"ブラスロックバンド"として活動していたスペクトラムの影響があると思います。

デンジマンの主題歌は、
当時流行っていたファンクやAOR、ブラスロックの要素を取り入れた」結果、
このようなサウンドになったと思われます。

③リメイクブームについて

これはデンジマンの主題歌で使われているギターやベースなどの"弦楽器の音"についてなのですが、結構カラッとしていたり、モゴっとしていたりなど、特徴的な音が多いです。

それがファンクの特徴でもあるのですが、
それに加えて当時「ネオ・G・S」や「ネオ・ロカビリー」など、
"一昔前の音楽をリメイクしてリリースすること"が流行っていたことも一因だと思います。

そういうリメイクブームで作られた曲で使われている音色っていうのは、やっぱり"古い感じのサーフサウンドっぽいギター"であるとか、"プレベ系のベース"であるとか、そういう感じの音色なんですよ。

そういった音色が「デンジマン」の主題歌でも使われているんですね。

聴いて貰ったほうが早いと思うのですが、「ネオ・ロカビリー」を意識した1981年の沢田研二さんのアルバム「STRIPPER」で使われている音色は、結構「ああ電子戦隊デンジマン」で使われている音色と近いですね。


まとめ

・「電子戦隊デンジマン」の主題歌は、"シンセ+ファンクサウンド"であり、それは"テクノブーム"、"ファンク、AORブーム"、"リメイクブーム"に影響されている!?

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