人と比べずに創作するためには

私はウェブで好き勝手漫画を描いている者ですが、
ひとつ創作に関して残したい文章があるとすればこれかな、と思いキーボードを打っています。

人は何かを創作するとき、はじめのはじめは楽しくて、作ることがただただ楽しくて始めるのだろうけれど、
それを続けていたり、ネットに発表したり、お金をもらったり、賞をもらったりすると、なんだか楽しくないしむしろ辛くなってきてしまうことがあります。
かつての私はまさにそうで、そういった面にも絶望していったん漫画を辞めてしまったというのがあるのですが…

ではどうすれば創作が楽しかった頃のように戻れるのか、私なりの処世術を共有します。

【人と比べず楽しんで創作するマインドを得る】

ネットに上げたりするとそれはもう露骨なほどに自分の立ち位置がわかってしまいへこむことがあるかもしれません。
しかしですね「創作することに勝ち負けはない」ということを何度も己に刷りこんでください。俺は閲覧数や評価のためにやってるんだ!という方は全然それで構わないし邁進するべきです。
しかし我々のような繊細な精神の持ち主は、以下のマインドを会得してさっさと世間の尺度から解放されましょう。

①金と評価は天国にもって行けない。

天国が本当にあるかどうかはさておき、
死んだあとに何が残るかというと、「○○さんはああいう方だった」という残された人々の感想だけが残ります。没後どんなに評価されたとしても、その評価している世代もいつかは残らず死んでしまうのです。

②上には上がいる。

たとえば一瞬誰かの上に立てたとする。
しかしその上にも必ず上がいます。

③自分の能力を直視する。

自分の本当の実力はこんなものじゃない…!
と思いたいところですが、まぁこんなものだったりします。
私でいえば無理をすれば体にガタがくるし、そんなにたくさん描けないし、集中力もぜんぜん無い。世間で評価されている人はとにかく集中力がハンパ無い印象です。
私はいわゆる漫画家をやっていた時代にそういう方を何人か見ましたが、やっぱり商業的にも持続力のある方でした。

④自分の感情を直視する。

昔から哲学や心理学で言われていることですが感情は抵抗すると増幅します。(経験上逃げても増幅する)
ではどうしたらいいかというと、味わいつくすのです。
「お、嫉妬してムカムカしているのだな、よしよし、そうかそうか、○○さんにムカムカして悔しいのか、よしよし。」
と、抗うでも逃げるでもなく自分で味わいつくしてあげましょう。
(できれば人に当たらないようにトイレに行く)
それか心の中に、感情を味わってくれる優しいおばさんを同居させましょう。
すると数分後、悪感情がジワッと解ける瞬間に立ち会うことができます。
これを繰り返していると不思議なことに何度も味わいつくした感情には巻き込まれにくくなります。

⑤あのときの気持ちを思い出す。

あのとき、とは壁に向かって創作していたときの気持ちです。
ただ作るのが楽しかった時の気持ち。
一作目から世間の目にさらした、という方は難しいかもしれませんが、たいていの場合は最初はただ面白がって始めたはずです。
そんな気持ちをフッと思い出してみる。
具体的に思い出せなくても「あの頃は楽しかったな~」となんとなくひたりましょう。

⑥自分の作品を大切にしすぎない。

非常にフワッとした話になりますが皆さん、作品の「ありか」って、どこにあると思いますか。
一般的には作品の所在とか、権利とか商標とかになると思いますが、私の主観で書きますとですね、作品とは、心象の中にしか無いものと思います。
まずは作家の頭の中で心象が現れ、それを作って心象を味わい、受け手がそれを見る聞くなどして、またそこに新たな心象が現れる。

大事なのはこの「心象」であって、作品それ自体ではない、というのが私の考えであります。
つまり作品の目的は評価なんかじゃなく、創作者に心象を表示することで、それに付随する第二の目的が受け手に心象を表すこと、と思っています。

ちなみに心象を与える点において、作品本体は石ころやウンコと同じなんであります。
石やウンコを見て、ホッコリしたり物悲しくなったり生きる意味を見出したり、あるいは激萌えしてしまったりする、不思議でおかしな生き物、それが人間…
だったら誰にも見せずに壁に向かってシコシコ作ればよかろう、という意見もありますが、作品の醍醐味としては、受け手に一石を投じることがまた「味」なのかなと思っとります。(石だけに)
それで何人が見てくれるか、というのは単なる規模の問題なので、そこにフォーカスする必要はあまり無いんじゃなかなぁ、というのが私の考えです。

たとえば何かを作って、どっかの誰かがそれを体感する。
その体感によって、さっきまでカレーが食べたかったのにラーメンが食べたくなる。

そんな個々の石によって、うまい具合に世界は回ってゆくのかもしんないなあ。

な~んて

頭で考えていてもただ腹だけが減りますんで、

私と共に何かを作る同士たちよ、これからもゆるーく活動していきまっしょい、

というわけです。

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