M@STER SPARKLE 06 感想

 5thライブも過ぎてミリシタ1周年も終はり、今更ですが続きを書きますよ。この06は割とそれぞれの担当を直撃するキラーチューンを5曲並べたといふ趣。アルバム全体のまとまりといふより各曲が主張するに任せたといふ印象があります。では以下、曲ごとの感想。

まだまだ上げろボルテージ! 福田のり子『WE ARE ONE!!』

 冒頭ののり子コールから上げていく、パワフルなスカナンバー。プロレス入場曲風(なのか? 詳しくないのでよく判りませんけど)のシンガロングといひ、血沸き肉躍る1曲に仕上がつてゐます。歌詞はプロデューサーとのタッグを思はせるものでそこも嬉しいところです。「真つ向スタイルで」といふのものり子らしい、熱くて乗れる曲です。ライブでののり子コールは最高にハマりましたね。

ほんまかいな? 嘘じゃないよ! 横山奈緒『Home is a coming now!』

 軽快なカントリースタイルの奈緒の曲は「郷愁」がテーマと見ました。出鱈目な英語と地口で合はせた歌詞、関西弁とローカルネタに、大阪出身でなくてもなんとなくノスタルジーを感じてしまふはず。「この場所に貰った笑顔 そのうち100倍にして返すな」といふフレーズは泣けますし、「辛子付けすぎた 苦しいな それだけやもん」と強がりに笑はせられる。全てが奈緒らしく、キャラソンの純度、アイドルソングとしての強度、ともに非常に高いと思ひます。この強度をこの軽みで作つてきたところが強いな、と。

自由なステップでJoy! 舞浜歩『Oli Oli DISCO』

 へこたれても傷付いても前を向く、まさに歩らしい歌詞をパーティー風のダンスチューンに乗せて歌ふ1曲。Aメロの少し重めな空気をB〜サビで一気に晴らすやうな展開が気持ち良い。タイトル通りのディスコ風な音作りも、懐しさと清新さを両立させてゐて、伸びやかな歌唱も相俟つて単純に聴いてゐて心地良くなれる曲ですね。少し屈折した部分と弾ける部分の歌ひ分けといふか、歌唱力についても特筆すべきと感じます。あまり注目されてゐない気がするけど、歩は歌が上手い、といふか表現力が高いのですよね。最後に笑ひ声で終はるのも憎い。

どんな宝石だって決して敵わない。二階堂千鶴『ムーンゴールド』

 セレブリティな雰囲気満点の優雅な曲調と、可憐な乙女心を歌ひ上げる歌詞。「二階堂千鶴」を見事に表現してゐると思ひます。太陽である「あなた」に照らされて輝く自分、けれど甘えてしまふことはできないと強がつて。「どんな宝石だって敵わない」と輝きを歌ふのは直接的には「太陽」のことであるのですが、そこで照らされる月(=千鶴さん)もまた無二の輝きを放つのは、この曲を聴いた人には理解されることと思はれます。

ヒトツヒトツに形作られて。ジュリア『スタートリップ』

 ジュリアの新曲はアコギを掻き鳴らすバラード。かつて路上でひとり歌つてゐた過去と、そこから繋がつてゐる現在を歌つてゐるのでせうか。「連れてきたボロボロのギター まだ捨てられないまま鳴らしてるよ」の歌詞の通り、ジュリアは結局何一つ捨ててはゐないやうに思へます。「窮屈だと思った場所」も「涙よ落ちないで」と願つた夜も、全てを連れて、全てによつて形作られて、今ジュリアは歌つてゐるのだらう、だから躓いてもまた歌へるのだらう、そして「いつか遠い町の空に響くように」と叫べるのだらうと、そんな風に思ひます。

 それぞれの方向に尖つた曲を並べてドン! と出されたやうな1枚。まとまりといふ点ではやや欠けるかもですが、ハイカロリーかつ充実したアルバムになつてゐると感じました。ライブ体験後なのでそれぞれの曲に対する思ひ入れも一入です。早くBDが観たいですね(既にCDの感想ではないけど)。

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