水と電子(煙の話)

 紙巻莨をやめてシーシャ(水タバコ)とベイプ(電子タバコ)に替へてからかなり経つので、両者を比較してみたり「実際一般的な喫煙の代替になるのか?」といふ点について考へたりしてみたいかな、と思ひます。

ざつくり結論から

 個人的な感覚ですが、ベイプはやり方によつては喫煙の代はりになり得ると思ひます。シーシャは完全に別物ですね。文化的にも紙巻の代用になるものではなく、どちらかと言へばお茶(喫茶店的なものでも、茶道的なものでも)に近いと思はれます。リキッド式ではない加熱式タバコについては全然知らないのですけど、火を点けないだけであれこそまさに代用なのかな、と想像してゐます。

 といふことでベイプ、シーシャそれぞれの特徴などをざつくりふんわり語つてみようかと。

ベイプの特徴

・電気で熱した香料の蒸気を吸ふ
 ベイプのリキッドは基本植物性グリセリン(VG)とプロピレングリコール(PG)の混合液に香料(や、場合によつてニコチン)を付加したものです。それを電気コイルで熱して揮発した「味の付いた蒸気」を吸ふ訳です。よく「爆煙」とか言ひますけどさういふ意味では「煙」といふのはやや語弊があるやうなないやうな。まあ気にするだけ野暮ですかね。
 あ、でもこれ結局電熱器なので「“電子”タバコ」といふ呼び名は変だといふのは言ひ続けていきたいです。

・大きさは手持ちサイズ
 本体(電池と電圧等を制御する部分、MODとも)とアトマイザー(リキッドとコイルを入れる部分と吸ひ口まで)を合はせても手の平サイズ〜(喫煙具としての)パイプ程度です。初心者向けの一体型のやつもありますが、だいたい電圧調整が付いてなくて味や蒸気の出を調節できないので、個人的にはお試しでも分離できるタイプで安めのを買ふのがいいんぢやないかな、といふ感じです。

・ニコチンは海外通販で
 莨の代替にする場合、ニコチンが欲しい人も居ると思ひます(そのままニコチン入れ続けるかだんだん減らしていくかはそれぞれですが)。残念ながら国内では法律の問題でニコチン入りのリキッドは販売できないらしいのですが、個人で海外の通販サイトから買ふのは問題無いので、利用するのはありかと思ひます(ニコチン抜きでも割安なので僕も利用してゐます)。魚心あれば何とやらで日本語対応してゐるところもありますし。
 ただ僕自身はニコチンを入れた時の「キック(特有の喉に来る感じ)」が苦手で、購入したニコチンリキッドはほとんど使はずに死蔵してゐます……(譲渡は違法になりますよ、念のため)

・ベイプのコスト
 初期投資を除けば紙巻より安いのは確かかと思はれますが、コイルが消耗品なのでそこまで安くはならないかも。どんなリキッド買ふかにもよりますし。リキッドを海外通販にしてアトマイザーをRDA(ReBuildable Atomizer:自分でコイル巻いてコットン入れるやつ)にすれば相当コストダウンが見込めますが、そこまでする気になるかどうか(僕はやつてます。慣れれば意外にいける)。

・ベイプのリスク
 ベイプは新興のものなのでまだ未知の部分も多く、吸引のリスクについても研究途上といふ感じですが、概ねの研究結果と僕の個人的な見解の一致するところでは「莨に較べたらましだろ」ですね。
 ただそれとは別に「爆発」といふリスクもあります。しかしこれもちやんとした所で買つたMODを無改造で使つてゐればそこまでびくびくするものではないかと。リスクがゼロでないといふ意味ではiPodだつて爆発する訳ですし。

・これから始めてみようといふ方へ
 この文章を読んでゐるといふことは何らかの検索ができる箱なり板なりをお持ちでせうから、「Vape」とかで検索するのが一番なんですが(この記事の存在意義とは)、Joyetech辺りのスターターキットとお好みのリキッドをまとめて買つて、ニコチンが欲しい場合は海外通販で混合用の高濃度ニコチンリキッドを買ふのがいいかな、と思ひます。コイル(アトマイザーヘッド)は焦げてきたらすぐ取り替へられるやうに本体と一緒に買つておくといいかもです。

 まあベイプについてはこんなところで。

シーシャの特徴

・香料に漬けたタバコ葉を炭で燻して煙を吸ふ
 シーシャのフレーバーは香料漬けのタバコ葉です。その上に炭を置いて燻し、煙を水に通したものを吸ひます。タバコ葉なのでニコチンはありますが、水に通すことで大部分は溶けて吸ふ煙の方には入らない、と言はれてゐます(これについては統一見解はまだ無いやうですが)。ニコチンが気になる人向けに最近は別の葉や石を使つたニコチンフリーのフレーバーも出てきてゐます。
 ボウルにフレーバーを詰めて炭を焼いてパイプに水を入れて、と準備に手間がかかり、また1回で30分〜1時間以上喫へるので、じつくり腰を据ゑて喫ふ感じなのもベイプとは違ふところですね。

・パイプは基本据ゑ置きで大きい
 シーシャのパイプは小さいものでも高さ20cm程度はありますし、構造上手持ちといふ訳にはいきません。運搬用の籠が付いてゐるものもありますが、あくまで目的地まで運んでその後にセッティングをして据ゑ置きで使ふものです。手持ち用の小さな「水パイプ(ボング)」といふのもありますが、あれは飽くまでシャグ(刻み莨)などを喫ふものでシーシャに使ふには不向きでせう。

・ニコチンは「副産物」
 そもそも水に通してフィルタしてゐるぐらゐなので、シーシャにとつてニコチンは重要なものではないといふか、寧ろ余計なものと言へるかも知れません。吸ひ方も肺まで入れずにふかす方が美味しいですし。なのでとにかくニコチンが欲しい方にはシーシャは向かないかな、と。

・シーシャのコスト
 初期投資も含めまあそこそこかかります。喫ふ頻度にもよりますが。ただこれも継続的に楽しむなら海外通販でまとめ買ひをすることによつてそれなりに抑へられるかと。こちらは英語(通販の説明読んでなんとなく使へる程度)必須ですね。最初は国内で少量購入で試してみて、続けるつもりになつたら海外サイトでまとめ買ひをするやうにするとよいかも(まとめて買はないと送料負担が大きいので)。

・シーシャのリスク
 シーシャの煙のリスクに関して統一見解が無いといふのは先述しましたが、実際一番の危険要素は「炭火」でせうね。火事の危険もさうですが、不完全燃焼の煙を吸ふことによる酸欠、一酸化炭素中毒などのリスクがあります。常に換気をして、気分の悪さや頭痛などを感じたら一旦喫ふのをやめて休憩しませう。

・これから始めてみようといふ方へ
 ざつくりとした解説を前に書いたのでそちらを見ていただけると多少参考になるかと思ひます。あとは目の前の箱なり板なりで検索s(この記事の存在意義)、といふのはともかく、「喫煙の代替としてはやや難しいかもだけど楽しいよ」といふ感じですかね。ひとつの趣味として捉へるのがいいかも。ちよつと手の掛かる晩酌、みたいな位置付けかしら(僕は晩酌しませんけど)。

まとめ

「で、シーシャとベイプどつちがいいの?」といふ質問に対しては「それぞれ違つてどつちもいいよ」といふ感じです。例へるならベイプはスナック菓子でシーシャは重めのスイーツといつたところでせうか。ベイプとシーシャの中間が葉巻とか(シャグの)パイプかも知れません。「知らないけど少し興味がある」みたいな方の参考に僅かでもなれば何より、といふことで。

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