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台湾総統選 戦いの火ぶたが切られた

先週の東アジアはニュースが多かったです。加えて、私がテレビ出演や講演などが立て込み、記事化がちょっと追いつかなくなりました。
改めて、日本が置かれている地政学的な環境がダイナミックに動いているのを実感しつつ、そうしたダイナミズムの背景を一緒に考えていきましょう。

台湾総統選挙、候補者たちが確定しました。
結果的に、国民党と民衆党による候補の一本化や、鴻海精密工業の創業者・郭台銘(かく・たいめい)氏の立候補に関して書いた記事が、なんだか「幻のニュース」のようになってしまいました…
郭台銘氏については2回シリーズで書いたというのに…

と、凹んでいる場合ではありません。
なぜこういう展開になったのか、検証します。


起点は与党・民進党のリード

結論からいいますと、11月の台湾政界で繰り広げられた乱気流のような動きは、全て、与党・民進党が総統選に向けた世論調査でリードしていることが起点でした。
「民進党を追い上げるには、どう動くべきか」
このシンプルな問いへの解答を得ようと、野党側は右往左往したといえます。

まずは最大野党・国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長と、民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長による一本化協議。11月15日、国民党の長老・馬英九(ば・えいきゅう)前総統が間に入って両党は電撃的な合意に漕ぎつけました。世論調査の結果を専門家たちが分析して、侯友宜氏と柯文哲氏のうち、より多くの支持を得ている者が総統候補になり、後塵を拝している者が副総統候補にまわることに。

実際、この世論調査方式に基づいて候補一本化の調整は行われたのです。ところが、そこに大きな落とし穴が待ち受けていました。

世論調査における誤差の範囲を事前に確定させていなかったのです。

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