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台湾総統選 接戦での「1992」

台湾総統選挙、です。
世論調査では与党・民進党の頼清徳(らい・せいとく)副総統がリードし、それを最大野党・国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長と民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長が追うという構図が続いています。
ですが、頼清徳氏はだいぶ追い上げられているようで、かなり接戦でいよいよ投票が近づいています。
現状と、勝負を分けるかもしれない「1992」をみてみましょう。


差は3ポイントのみ

以前の記事(「台湾総統選と『釈迦の頭』)でもご紹介した、英誌エコノミストが伝えている各種世論調査の平均値。直近の更新が12月19日なので、やや時間はたっていますが、それによれば頼清徳氏の支持率34%、侯友宜氏31%、柯文哲氏21%。首位と2位の差は3ポイントしかない競り合いです。

街頭での賑やかな遊説に加えて、これまで3回の「テレビ政見発表会」が行われました。この「政見発表会」、3人の候補たちがスタジオで一堂に会するのですが、候補間でディベートをするわけではありません。安全保障や経済、社会問題などのテーマごとに、決められた時間内で3候補が順番に主張を述べます。
日本の政見放送のような「尺の均等さ」にライブの緊張感を加えたスタイルで、なかなかいいなと個人的には思いました。
3候補とも自信に満ちた語り口なので、とりわけそう受け止めたのかもしれません。日本の政治家たちだと、さぞかしグダグダに…  NHKにいた自分が言うのもナンですが、日本の政見放送は「退屈」か「キワモノ」のどちらかでしかない状態ですし…

各テーマのうち、国際的に注目されるのは中国に対する姿勢で、実際、そこが3候補間で最も違いが出る問題でもあります。

3回目の発表会でも、これまでと同様、頼清徳氏が侯友宜氏と柯文哲氏を「親中だ」と非難し、後者2人は民進党政権が続けば台湾は戦争の危機に近づくと主張する…というのが大まかな構図でした。

「92年コンセンサス」

より具体的なポイントは「92年コンセンサス」の扱いです。これは中台関係のニュースでよく登場する割には、分かりにくいです。なにしろ口頭でのやりとりで記録がなく、中台で解釈が違うという…

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