部下力とは何か

前の記事にて部下力を「組織のなかで労働する相対的に指導される側にある人間が、環境や指導者の能力に関わらず、組織全体の業務遂行を円滑にする能力」と定義した。ではこれはどのように成立し、何を心がければ部下力が高まるのか、ということを考えてみる。

特に日本の組織においては、ピラミッド型で管理されている組織がまだまだ多いように思う。最近は鍋蓋型組織とか、ティール組織とか、そういった新たな組織が叫ばれているが、ここでは脇に置いておく。

こういった組織における上司とは、次に自身がキャリアアップする立ち位置であり、その先に上司がさらにいるケースがほとんどであろう。言い換えると、上司は同僚に毛の生えた程度の存在であり、かつ、その上司もまた部下として管理される対象である。ここは前提として押さえておきたい。

さて、そのような立場である部下として、どんな力を身に付ければよいのだろうか。結論から言うと、以下ではなかろうか、と思う。
・俯瞰力
・情報伝達力
・おもいやり

組織全体の業務が円滑に進むためには、まずその組織の業務の全貌が見えてなければなるまい。これが俯瞰力である。

さて、俯瞰してみたところどうもうまくいっていないところがありそうだ。これを発信しなければならない。これが情報伝達力だろう。

俯瞰してみてうまくいっていない情報をただ上司にダメだと伝達したら角が立つ。そこで思いやりが大事になる。

要は、部下力が高いとは、組織全体のボトルネックを理解し、それを適切な相手に適切なタイミングで、かつ伝達相手とその影響する範囲の人員を傷つけないように伝えられる。ということ。な気がする。

そのボトルネックを自身で解消できればそれはまぁ優秀なのだろうが、自身にも仕事があり、そこまでのリソースが割けない、もしくはスキルが足りず解決できない、ということもままあるであろう。

例えば、直属の上司の管理力が低く、自身のチームが分解しかけているとする。その場合、伝達すべき相手はその上の上司になる。しかし、うまくいっていないことを単に告げれば、直属の上司の評価が下がるかもしれない。
ではどのように伝えるべきか。この辺は永遠に悩むテーマであると思うが、端的にいうと、客観的な事実を、その上司の良いところを添えて話すということになるのだと思う。

人は誰しも良いところはある(という前提にひとまず立とう)。だから、その部分を強調し、上司を尊敬していることを伝えたうえで、今のままではチームがうまくいかない、という状況も伝達するのである。極力主観は排除して。

うまくいっていないことを他人のせいにしていても事態は好転しない。そんなときに部下の立場からでもやれることはある。情報を適切に配置して下からコントロールを試みるのだ。好転のきっかけさえできれば、何かが変わる可能性が生まれる。

そんな風にして仕事に取り組みたいものだ。


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