見出し画像

大切な人と喧嘩別れしてはいけない

もうすぐ東日本大震災から7年ですね。

あの災害で心に残っているのは、ある取引先の方の言葉です。

その方はある分野のスペシャリストで、まもなく定年退職し、その後は日本と海外を行き来して過ごす予定でいらっしゃいました。
立場のある方なのに、当時新入社員に毛が生えた程度だった私にも丁寧に接してくださり、仕事の質も高く、同じ女性として憧れる存在でした。

久しぶりにお会いして震災の話になった時、いつも柔らかい顔がこわばり、
「実は、弟が岩手にいてね」
と。緊張が走りました。ニュースで目にした様々な光景が脳内を駆け巡ります。
ああ、無事だったのよ、みんな、とすぐ話してくださいましたが、数日間連絡がつかず、やきもきしたそうです。そしてこう仰られました。
「やっぱり、身内と喧嘩別れしちゃいけないなぁって、思ったわ」

その声はぽかんと軽く投げ出されたのに、重いトーンを帯びていてずしりと心に残りました。
いつも朗らかで知的な彼女が親族と喧嘩別れするとは、なかなか想像できないことでしたが、その心痛はいかばかりだったろうと思います。

その時は、自分とはどこか遠い、すごく大人の台詞だなと感じたのですが、年を経るごとに重く、大きく感じるようになってきました。

◼️

話は変わりますが、私の両親は仲が良く、側から見ていて時にこそばゆく感じるほどです。
仲良しの秘訣を聞いた時、仲良くあろうと努力することと、おやすみおはようのキスとお見送り、と教えてもらいました。

それで、私もまだ結婚3年目なので、それなりにそれらを実行しているんです。

もはや習慣になっているので、しないと若干気持ち悪い。

だから、喧嘩をしても、なんとなくイライラしていても、重苦しい空気でも、1日のどこかで1回はキスをしたり、顔を見合わせておはようとかおやすみとか行ってらっしゃいと言う機会があります。

これは、喧嘩別れを防止することにもなるんだなぁと最近気づきました。

私の夫は毎日自転車通勤しているので、やっぱり事故に遭ったらどうしよう、と時々思います。自転車レースで吹っ飛んで救急搬送されたこともあります。
今、このまま別れて事故にあったりしたら絶対に後悔するな、と思うので、喧嘩の仲直りや自分の機嫌の調整には割と心を配っているつもりです。

毎日ご機嫌とも、誰とでも仲良しともなかなかいきませんが、今後もなるべく悔いを残さないように、心がけていきたいと思っています。

#エッセイ #東日本大震災 #311 #家族 #夫婦


サポートいただけるととても嬉しいです!よろしくお願いいたします。