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【ファンが喜ぶコラボ分析】ココス×Free!コラボが素晴らしかった理由

キャラクターやアニメ等のコンテンツと企業のコラボは近年よく見るようになりました。

筆者もアニオタとして様々なコラボを体験してきましたが、今回特に素晴らしいコラボに出会ったので、ご紹介&成功要因を考えてみます。

そのコラボはこちら「ココス×Free!-Dive to the Future-最高の夏をキミに!キャンペーン」!

簡潔に概要がまとまった資料はこちら→
https://www.cocos-jpn.co.jp/pdf/180711free.pdf

何が素晴らしかったかというと、あらゆる点でファンの予想を超えていた。

よくあるコラボと違うところ
・コラボに脈絡がない→ストーリーがある
・コラボ商品は高い→適正価格
・コラボ商品を開発しないといけない→既存メニューを活用
  ※コラボメニューもあり
・コラボ商品を扱うだけ→ラッピング店舗(ガチ)も登場
・店員はコラボに特に情熱は無い→一部店舗、公式Twitterでのあたたかい反応

特に既存メニューを活用しているところはすごい!賢い!と思いました。

そしてコラボを通して筆者は、最終的にはココス自体のことを好きになりました。

コラボ終了後もココスに行ってしまったほど。

これはコラボとして大成功なのでは!?

ということで詳細を見ていきたいと思います。

コラボにストーリーがある

水泳男子の青春を描いたアニメFree!とファミリーレストランココスのコラボ。

ちょうどアニメは3期(大学生編)の放送が7月から始まったばかり。
このコラボにはちゃんとストーリーがあります。

「夏休み、手伝いでアルバイトしてるんだ」ある日、真琴から届いた1通のメール。
東京の大学で鋭意勉強中の真琴は、「ファミリーレストラン ココス」でアルバイトをしている友人から、夏休みだけアルバイトを手伝ってほしいと頼まれた。
夏休み時期のココスは大忙し。シフトリーダー担当になった真琴は、そんな近況を遙に報告。遙は慣れないバイトに慌てふためく真琴を見かねて、旭を誘い助っ人を申し出た。すると、旭は郁弥にまで声をかけ…。
真琴の噂を聞きつけた渚と怜も「夏休みだし、一緒にアルバイトしてみたい!」と大はしゃぎ。みんな一緒の方が楽しいよね!ということで、帰国していた凛、そして宗介まで総動員!なんとココスに、遙、真琴、凛、郁弥、旭、宗介、渚、怜が大集合!
「ファミリーレストラン ココス」でアルバイトという、一夏のとある物語。大切な仲間たちとのひと夏の思い出づくりが、いまココから始まる           (キャンペーンサイトより)

要するに登場人物達が、夏休みココスでバイトをすることになったよ!と。

そっかぁココスでバイトしてるんだ!そりゃ行かなきゃ!!!ってファンとしては思いますよね。

しかも、良くみると内向的なキャラクターはキッチン、比較的外交的なキャラはフロアと、ちゃんと性格にあった配置になっています。(ユニフォームで判断できます)

さらに、キャラクターによっては名札に「シフトリーダー」「キャプテン」等とあったり、結構設定が細かいんです。

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名札に「キャプテン」と「シフトリーダー」

アニメとのコラボは脈絡が無いことも多いので、特段それで不満はないのですが、今回はこのストーリーがキャンペーンの隅々まで行き渡っていて最の高でした。

コラボ用商品と思いきや既存メニュー!?

さて、今回のコラボ内容は

・対象メニューを頼んで限定グッズをもらおう
・レシートでWチャンス
・店舗限定コラボメニュー
・ココス限定オリジナルグッズ
・等身大パネルを店頭に設置
・中野店限定ラッピング店舗

対象メニューでグッズがもらえる、等身大パネルの設置など、一見よくあるコラボ内容に思えました。
実際お店に行くまでは!

飲食系のコラボの場合、対象メニューを頼むと特典がもらえるというのはコラボのど定番です。
ど定番だけど楽しいのは、大抵キャラクターや世界観をイメージしたメニューを用意してくれるので、食べ物でアニメの世界に浸れるからです。

今回はキャラクターがオススメするメニューという内容で、このような品揃えとなっていました。

キャラクターをイメージしたパフェに

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キャラクターがオススメするメニュー

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(一部抜粋)

このキャラクターがオススメするメニュー、ひたすらサバが好きな主人公は魚介系(魚介のスープスパゲティ)、カレーが好物な真琴はチーズインハンバーグ、理論派(という設定)な怜ちゃんは肉と野菜のバランスがとれた包み焼きハンバーグ、元気で泳ぐのが大好き、イメージカラーが赤系の旭はいくらと有頭エビとホタテの冷やし麺、ストイックでお洒落な郁弥はミモザ風サラダと、それぞれのキャラクターのイメージにぴったりなメニューです。

しかしよく見てください。
これは各キャラのオススメメニューであって、実は今回のコラボのために開発されたメニューではないんですね。

実はこの時期なら普通に食べれるメニュー。
(パフェは、通常のデザートに使用する食材でできていました。圧倒的かき氷。かき氷便利。)

でもそれをキャラクターのオススメという文脈で、いかにもそのキャラっぽいものを取り上げることで、ファンには特別なものにみえるのです。

まさに編集ってこのこと。

しかも、今回はキャラクター達がバイトをしているという体なので、ストーリーにもあうわけです。
そう、我々は、キャラクター達が働くココスに、キャラクター達のオススメメニューを食べに来たのだ!!

なんというしあわせ空間!!!

実はコラボメニューでないと気づいたのは一緒に行った夫でした。私は全然気づきませんでした……。普通のメニューにも同じものが載っていて驚きました。(よそ者の冷静な目は大事!)

開発費も抑えられますし、ファンも喜ぶし、一石二鳥です。

しかも当たり前ですが、本業のメニューとして開発されたものなので、美味しいんです。

アニメ系のコラボ料理というと、キャラクターのイメージカラーをしただけのバカ高いドリンクや、見た目が可愛くて作品やキャラクターをよく表しててデザインも細かいけれど量が少なくて高いフードが主でした。

それでも、コラボのために期間限定で用意してくれたんだから仕方ない。デザインが凝ってるから仕方ない。それでも食べたいしコラボを味わいたいから仕方ない!と思って過ごしてきました。

実際それでも楽しかったんです。

ところが今回は、ふつうにご飯が美味しい
量も充分ある。
適正価格。
しかも特典も他より豪華!(後述します)
ということで満足度がうなぎのぼりです。

ちなみに65店舗限定でコラボメニューもありました。
主人公のイメージアニマル「イルカ」をデザインした可愛いプレートで、デザート・サラダ付きと豪華。頼んでいる方も多かったです。

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コラボ特典が豪華!

今回は対象メニューの注文でもらえる特典も豪華でした。

よくあるコラボ特典といえば

・コースター
・ポストカード
・カード

など。要するにものです。

しかし今回は
クリアファイル!

我々の感覚でいくとアニメ絵のクリアファイルは1枚500円くらいしますので、メニュー一品頼むごとにクリアファイル1枚つく、というのはかなり破格です。

クリアファイルはメニューを一品頼むごとに1枚。
期間を分けて4種×2の全8種類。
配布はランダムです。

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実物はこのような中の見えない袋に入っています。

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絵柄もコラボに合わせた書き下ろし、しかも、絵柄とは別キャラクターからの手書きメッセージも入っていて超かわいい!
(手書きメッセージについてはこちらの記事を参照ください)

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これは店舗に足を運んででも欲しくなる特典です。

ラッピング店舗は夢の空間

中野店だけですが、ラッピング店舗も登場しました。

コラボ開始当日まで内容が隠されていたので、一般企業だし、ラッピングといってもそんな派手じゃないんだろうな……と思っていたら、Twitterで朝イチで訪問した方の写真をみてびっくりしました!

これが

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こうなる!

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外から見ても派手に装飾してありましたし、店舗内もキャラクターの等身大パネルや、衣装、看板、イラスト等々、Free!一色で大感動でした。

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しかも過去のポスターのオマージュだったり、作中に出てきた主人公の部屋に飾ってあったポスターが再現されていたり、芸が細かいんです!

すごい!!すごいすごい!!

正直、本家アニメ系カフェにも劣らぬラッピングっぷり。
一般のお客さんが引かないか心配になるほど。

この内装のおかげが、中野店はかなり集客したようです。
コラボ初日は開店時からファンが押しかけ、私は17時半くらい、夜のピークよりは少し早めに行ったのですが、それでも席に着くまで30分近く待ちました。ちなみに初日は平日の水曜日です。

夜になるにつれ仕事帰りの人が駆けつけたので、かなりの混雑・待ち時間となっていました。
お店側は大変だったと思いますが、初日に味わいたい!という心意気、嫌いじゃないです。

どのくらいの人数が訪れたかはわかりませんが、コラボが7月18日(水)から始まり、最初の土日を迎える前に特典のクリアファイルが在庫切れとなる店舗が多くあったので結構な集客になったものと思われます。
※クリアファイルは後日追加補充されました。

コラボに愛がある

アニメとコラボといっても、店員さんは特に関心も思い入れもないことがほとんどだと思います。
まぁそれが普通でしょう。

でも今回のココスコラボでは、ココスさん側の愛ややさしさを沢山感じました。

■竜ヶ崎店の竜ヶ崎怜
全国のココスのうち65店舗に、キャラクターの等身大パネルが展示されました。
どのキャラクターがいるかは公式サイトで公開されているのですが、竜ヶ崎店には苗字が同じ「竜ヶ崎怜」くんが配置されました。

そうしたところ、名前のご縁から始まって、竜ヶ崎店の入り口に店員さんによる「竜ヶ崎怜のアルバイト先はこちらです!!」という手書きの張り紙が張り出されたり、店内に「怜ちゃんに愛のメッセージを」という模造紙に付箋にコメントを書いて貼れるコーナーが設置されたり。

手作りで、すごく怜ちゃんとファンが歓迎されているムードがあり、こころがあたたまりました。Twitterで沢山拡散されていました。

最終日には、竜ヶ崎店店長から「本日、怜ちゃん最後の出勤です…お疲れ様を言ってあげてください!」「Free!ファンの皆様!熱く遠い中、竜ヶ崎店に来ていただき、ありがとうございました」と手書きコメントが掲示され、そのあたたかさに我々は涙しました。
そしてココス竜ヶ崎店のことを好きになりました……。

■クリアファイル等の品切れにも誠実な対応

先述の通り、かなり早くクリアファイルが品切れとなってしまったのですが、早々に追加配布を決め、情報を出してくれました。
用意していた分の特典がなくなったら終わり、というコラボが多い中、必死な我々オタクのために誠実に対応してくださり、なんてやさしいんだろうと感じました。

■サイドメニューでも特典がもらえてめちゃくちゃファンにやさしい

ここからは細かい話になるのですが、先に紹介したコラボ商品のほかに、サイドメニューというものも用意されていました。

対象メインメニューを頼んだ人に限り、対象サイドメニュー(各500円)の注文でも特典クリアファイルを1品1枚つけますよ、という仕組み。

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これ、実はすごくすごく、すっごくやさしい仕組みなんです。

特典のクリアファイルはランダム配布なので、欲しいものが手に入るとは限りません。

ファン同士で交換する文化もありますが、人気キャラはなかなか手に入らなかったり、人によっては全種各2枚欲しいという方もいます。
ですので、こういった食べ物系コラボでランダム配布の特典がある場合、必然的にフードファイトの様相を呈してきます。

しかし、本作は女性向け作品で、主なファンも女性です。
正直、そう沢山食べられないのです。

筆者も過去に他の飲食系コラボに行った際は朝食を抜いたり、ドリンクで特典を稼いだり、色々やりました。
だからコラボメニューは数を頼めるよう量が少ないというのもあります。

でも今回は、メインを頼むと、500円のサイドメニューでもクリアファイルがもらえるのです。
既に書いたとおり、クリアファイルは大体1枚500円くらいのイメージでいますので、信じられない価格設定です。

しかもしかも、これらのサイドメニューの一部は持ち帰れるんです!!!!
帰宅後家族とシェアしたり、翌日温めなおして食べることも可能。

これで心置きなく、欲しい特典が手に入るまで闘うことができます。

本当は無理して食べるのもしんどいですし(多少楽しくもありますが)、残してしまうのはもっと嫌ですからね。
実際持ち帰りのパックを沢山積んでいるテーブルもありました。

ファン達は必死でがんばるので、もっと単価の高いメニューを用意することだってできたと思うんです。
でもこういうサイドメニューを用意してくれるところに、良心的でやさしい企業なんだなぁというイメージを持ちました。

■〆のコメントに涙

こんな素晴らしいココス×Free!コラボ。
〆の言葉も、作中に出てくる「見たことのない景色、みせてやる」という重要な台詞を取り入れたコメントを出してくださり、最後まで愛のある姿に感動しました。

コンテンツのファンからコラボ先のファンへ

正直コンテンツのファンはコラボがあると割りと何でも嬉しいものです。
コラボ用の書き下ろし絵が見れるだけでも嬉しいですし、そういうものがなくてもコラボしているなら行こうかな、という気になります。

コラボに脈絡がなくても、コラボ商品が高くても、時に質がそこそこでも、特典が紙でも、喜んでいたくらい、ちょろい客なのです。

でもそれはあくまで「コラボ」しているからであって、結局「コンテンツ」のファンです。
コラボだから行くけれど、コラボしていない期間は見向きもしない。そんな状態でした。

でも今回は、正直驚くくらい全力でコラボをしてくれ、あたたかくファンを迎え入れてくれ、しかもご飯も美味しかったので(他のコラボフードと比べてという面もありますが)、ココスさん自体の印象がとてもよく、コンテンツのファンからコラボ先のファンになりました。

コラボの目的はというのは本来、一時的な集客でなく、自らのファンを増やすことではないでしょうか。
でもそれが、案外難しいですよね。

今回はその壁を越えて、ココス自体のファンを増やす、とても良いコラボでした。

楽しかったです!ありがとう。

※ここからは投げ銭くださった方へのおまけで「個人的にとても良いと感じたオペレーションの工夫」について。(訪問した中野店だけかもしれません)

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