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勝手に10選〜George Harrisonオールタイム編〜

(前記)
ジョージ・ハリスン、言わずと知れたビートルズのリードギタリストだ。
いかんせん、ビートルズのメンバーにおいて、年下、弟分的な存在であり、ビートルズのアルバム毎に2曲前後、曲を残しているが、ビートルズのジョージとしては曲が少ないのは否めない。
なので、ジョージ・ハリスンに関しては、ビートルズ期、ソロ期のオールタイムで勝手に10選をする。

・Think for Youtself
1965年に発表されたビートルズ、6枚目のアルバム"Rubber Soul"に収録された曲だ。

同アルバムに収録された"f I Needed Someone"とともに、ジョージがシンガーソングライターとして、いよいよ頭角を上げて来ている。

歌詞は、適当な事をいう女性に、勝手にしな、みたいな内容だ。
曲は、歪んだ(ファズだろう)ポールのベースが非常にクールなスパイスとなっており、  Aメロでのミドルテンポの美しいメロディとサビの疾走感が緩急となり、イカしたロックとなっている。

・TAXMAN
1966年に発表されたビートルズの7枚のアルバム"Revolver"のオープニングを飾る曲だ。

"Revolver"でいよいよ実験的に、更なる自身達の音楽の進化を目指す姿が顕著となるターニングポイントとなるアルバムだ。
この曲がオープニングを飾る事により、ジョンとポールが本格的にジョージのシンガーソングライティングを認めたといえる。

歌詞は税金取りを茶化している感じである。
曲は、クランチの聴いたギターのカッティングから始まるが、緩急をつけたカッティングの狭間をポールのイカしたベースで補い、ブレイクも見事である。
間奏のギターはポールによるものであるが、突き上がる実に重厚感溢れるロックなのだ。

・While my guitar gentry weeps
1968年に発表されたアルバムの題名は"THE BEATLES"であるが通称"WHITE ALBUM"と呼ばれる、このアルバムに収録された曲だ。 

この頃になると、ビートルズのメンバーは個別色が強まり、レコーディングのトラック数も増え、1人で全パートを撮ることも増え、従って個性に溢れる楽曲が沢山誕生したために、このアルバムは2枚組となった。

この曲で、ジョージは一つの革命を起こす。
リードギターにエリック・クラプトンを起用したのだ。
頼まれたクラプトンからしたら、ギタリストがポールを含めて3人いる上に、なにせ天下のビートルズ、曲はジョージによるもので、最初はジョージ自身で弾く様に断ったが、最終的にクラプトンが弾く事になった。
後にジョージは、その理由を"バンドメンバーのギスギスした雰囲気を和らげたかった"と語っているが、この曲にはクラプトンのリードギターが絶対に必要だ、と真に思っていたかも知れない。

曲は実に哀愁漂うミドルテンポの骨太いロックで、クラプトンのいわゆる"泣きのギター"が、ピアノ、ジョージのボーカル、演奏が実に見事に絡み合い、結果的に歴史に名を刻む大名曲となったのだ。

・Old Brown Shoe
1968年に発表されたシングル"ジョンとヨーコのバラード"のカップリングにて発表された曲だ。

この曲では、ジョージがギターとボーカル、ジョンがピアノを、ポールがドラムを担当している。
ピアノを裏拍で奏でて曲は進行するが、スカ的な雰囲気をシンプルに打ち出している。スライドであろうか、ギターの単音もイカしている。
全体を通して、この曲の持つ独特なスカ的な雰囲気を保つ変化球的な名曲である。

・For You Blue
ビートルズが解散した後に13枚目のアルバムとして発表された"LET IT BE"に収録された曲だ。

ビートルズが最後にレコーディングしたのアルバム"ABBY ROAD"であり、その前に行なっていた企画物のドキュメンタリー映画"GET BACK"がぽしゃってしまい、解散後に"LET IT BE"として、音源のみ発表された、というのが通説だったが、近年ドキュメンタリー映画"Get Back Session”が公開されて、"Abby Road"以降も制作が続いていた事が判明した。なので、このアルバムが事実上のラストアルバムとなった。

歌詞はストレートなラブソングで曲は、軽快なイントロが実にイカして始まるカントリーの香りが漂ようロックナンバーで、ジョージによるアコースティックギターにジョンのラップ・スティール・ギターが見事に華を添えている名曲だ。

・I Me Mine
ビートルズが解散した後に13枚目のアルバムとして発表された"LET IT BE"に収録された曲だ。

歌詞は自分勝手な人間を揶揄する様な内容で、 Aメロは、曲は異国の香りもする哀愁漂う雰囲気のオケとメロディラインであり、ジョージもいささか哀しげに歌っている印象であるが、サビになると、一転ハードロック調となり、実に緩急がついた名作だ。

後に、ジョージ・ハリスンが自伝を執筆するが、その題名が'I Me Mine"である。

・Something
1969年に発表された12枚目のビートルズのアルバム"Abbey Road"に収録された曲だ。

ジョン・レノン曰く”Abby Road”の曲の中で一番の曲。
実にシンプルかつソリッドだ。曲の構成もシンプル。コードも王道なコードを用いて、C→Cmaj7→C7だったり、F→F/Eや、Am→Am(maj7)→Am7という様な小技を多用して、素晴らしいメロディラインを構築しており、洗練されたギターのリフ、全く無駄のないギターソロ、完璧に音楽としてミニマムでありながら、そこにまたストレートな歌詞が載ることで、ジョージの最高傑作とも言われるこの名曲が誕生したのだ。

・Here comes the sun
1969年に発表された12枚目のビートルズのアルバム"Abbey Road"に収録された曲だ。

ビートルズ関係の打ち合わせに愛想を尽かしたジョージが、親友クラプトンの家に遊びに行った際に、クラプトン邸の庭で製作された、いや空から降ってきた事は有名だ。
長い冬が終え、燦々と太陽が昇ると人々に笑顔が戻り、もう大丈夫、という様な実に前向きな歌詞を載せる演奏が、美しいアコースティックギターの高揚する様な、燦々と輝く様な音色と実に調和している大名曲だ。広大で爽やかで明るいマテリアルしかないのだ。

・My Sweet Load
1970年にジョージ・ハリスンのファーストシングルとして発表された曲だ。
全英、全米共に1位に輝いている。

アコースティックギターの美しいストローク、もはやジョージの代名詞になっているスライドギター、コーラス、徐々に加わる打楽器、全てが交わり世界観が格段と広がる。
ひたすらに神への賛美、フレーズを繰り返す実に不思議な曲だ。
しかし、実に晴れやかな、爽快な気分にさせてくれる大名曲であるのだ。

・What Is Love
1970年にジョージ・ハリスンのファーストシングル"My Sweet Load"のカップリングとして発表された曲だ。

ミドルテンポのロックでメロディラインが逸脱している大名曲だ。
歪みのかかった(恐らくファズ)シンプルなギターのリフはジョージにより、アコースティックギターによるリズムギターは、なんとエリック・クラプトンが奏でている。

実に素晴らしい曲だ。
筆者の独断ではジョージ・ハリソンの最高傑作だと思う。

歌詞は君の愛なしでは生きていけない、僕の愛は君のそばにある、という実にストレートな歌詞、生き生きとしたボーカルかあり、実に無駄がない形でギターの歪みがスパイスになって素晴らしいオケに調和として大名曲が誕生したのだ。

(勝手に追加)
・Got My Mind Set on You
1987年に発表されたシングルで、1962年に"Got My Mind Set on You"としてジェームス・レイにより発表された原曲のカバーだ。

何故に勝手に追加したか、というと、この曲は筆者がリアルタイムでジョージの曲が全米1位に輝いた瞬間を共有できた曲であり、しかもジョージの作曲ではなくカバーだ。

ジェイムス・レイというアーティストが1962年に発表した、辛辣な言い方を承知で述べるなら、テンポもボーカルもスットコドッコイなR&Bの楽曲を、実に25年の時を超え、疾走感溢れるゴキゲンなロックに仕立て上げたのだ。

何より、キャリアの中でスピリチュアルな印象を持つジョージがこのゴキゲンなロックを、余裕すら持って楽しみながらカバーする姿が堪らない。
ジョージがゴキゲンなロックしてるのだ。

以下、原曲とジョージによるカバーを記しておく。

(後記)
予想以上に筆者自身が盛り上がってしまい、勝手に追加、までしてしまった。
ビートルズにおいて、年下、弟分であったジョージが、モンスターバンドの中で、またその巨大な渦の中で、自身における軸はぶれずに、自身の音楽の探求を解散後もストイックに継続し、ジョン、ポールを圧倒するかの様な1人のアーティストに成り上がったジョージ・ハリスンには敬意しかない。

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