見出し画像

勝手に10選〜イカしたオールディーズの世界編〜

(前記)
オールディーズとは、主に1950年代中盤から1960年代の中盤まで発表され、ヒットした曲を示す。

ロックンロールは1950年代の前半から中盤にかけて、ロックンロール創始者達によって産声をあげた。

しかし、ロックンロール創始者のメンバーにおいて、エルビス・プレスリーが徴兵され、バディ・ホリーの死、エディ・コクランの死、ジェリー・リー・ルイスのスキャンダル、チャック・ベリーの逮捕、様々な事態が起こり、一旦ロックンロールは、その勢いを失ってしまう。

そんな時代に自然と台頭したのがオールディーズなのだ。
キャッチーで軽やかなサウンド、レコーディングにおけるアレンジの進化、グループの台頭、ポップスよりな曲が多くなり、大衆化など様々なファクターが入り混じり、この素敵なジャンルとなったのだ。

しかし、他方でオールディーズは、ロックンロール創世記や、ドゥーワップなどの50'sから60'sに流行した楽曲を総称する事もある。
まあ、正式な定義など存在せず、ジャンル分けなんぞは、聴き手である人次第なのだ。

さて、冒頭にオールディーズは60年代の中盤までを示す、と記したがオールディーズが終焉を迎えるこの時期に一体何があったのか。

ザ・ビートルズの登場である。

このモンスターバンドが登場して、60年代を通して、世界のロック史、音楽史をあっさりと多様化、変えてしまったのだ。
もやはビートルズは音楽史における時代であり、ジャンルなのである。

そんなビートルズが台頭する前のオールディーズの時代であるが、映画"アメリカン・グラフティ"、"スタンド・バイ・ミー"などの舞台になった古き良きアメリカの時代だ。

少年達はリーゼント、少女達はポニーテール、サドルシューズ、革ジャン、ジーンズにフレアスカート、イカしたアメ車にバイク、ダンスパーティ、洒落たダイナーとウェイトレス、ハンバーガーにコーラ、ホットドッグ、などなど。

古き良きアメリカとはよく言われるが、筆者は少年期から、この時代にたまらない魅力を感じているのだ。

今回はそんなイカしたオールディーズの楽曲を勝手に10選する。

・At The Hop
1957年にダニー&ザ・ジュニアーズにより発表された曲た。

イカしたブギも感じられるリズミカルなピアノを主軸とし、コーラスワークも冴え渡り、メロディラインも秀逸している、実にゴキゲンなロックンロールだ。

歌詞も、イカしたダンスパーティに行こうぜ、というシンプルな内容であり、イカしたポニーテールの女性が踊ってる情景が思い浮かぶのだ。

しかし、この曲は映画"アメリカン・グラフティ"のサウンドトラックでは、フラッシュ・キャディラック&ザ・コンチネンタル・キッズのバージョンが収録されてしまっているのは、いくら出演しているとはいえ、少々残念なところだ。

・Lollipop
1957年にロナルド・アンド・ルビーにより発表された曲だが、一般的に有名なバージョンは1958年にザ・コーデッツが発表したカバーバージョンである。

軽やかな手拍子から曲が始まり、順番にボーカルが重なり実に美しく楽しいハーモニーとなり、曲においてこのパートがサビとなり、全体的なコーラスワークも見事で愉快で軽やかな実に気持ちの良い楽曲だ。

映画"スタンド・バイ・ミー"で主人公の4人が楽しげに歌う様子が懐かしい。

・Yakety Yak
1958年にコースターズにより発表された曲だ。

厳密に言うとコースターズはドゥーワップに属するのだが、自ら"That is Rock’n Roll"と言う曲までリリースをしてる為、なんだったらロックの殿堂入りも果たしており、オールディーズにおいて堂々たる足跡を残しているグループなのだ。

実にテンポが良く軽やかで、メンバーのコーラスも冴え渡り、キング・カーティスのテナーサックスも踊る様にイカすフレーズを連発してくる。
歌詞はガミガミ言ってくる母親に対して、子供が、うるせえな、と言い返すと母親が、口答えするな、というやりとりだ。

日常的にありがちな光景を、演奏とコーラスワークで愉快で痛快、実に明るいロックンロールに仕立て上げているのだ。

・Which Doctor
1958年にデイヴィッド・セヴィルによって発表された曲だ。

リズミカルで軽やかで楽しい、非常に愉快でキャッチーな楽曲だ。

Which Doctorとは、呪術医、呪医を指し、スピリチュアルな観点から医療を行う医者、要するにソフトに表現すれば怪しい医者である。

歌詞の内容は、女の子をどうしても射止めたい主人公が怪しい医者に相談して、これまた胡散臭い呪文を教わる、というコメディタッチな印象だが、曲中でこの呪文の部分が倍速録音によりピッチアップをする事で実に可愛らしい高音のボーカルとなっており、この楽曲をより面白く楽しく盛り上げている。

実に楽しいコミカルでゴキゲンなロックンロールだ。

最近ではカーテゥーンズにカバーされ、アニメのザ・シンプトンズの挿入歌となっている。

・I Fought The Law
1959年にザ・クリケッツが発表した曲だ。

ちなみにこのクリケッツは、バディ・ホリー&クリケッツ名義で活躍していたバディ・ホリー亡き後のクリケッツなのだ。

ギターのストローク、カッティングを主軸とした実にタイトなロックンロールであり、メロディラインが素晴らしい事で、シンプルかつイカした曲となっている。

歌詞であるが、俺は法律と戦ったが、法律が勝った。という、銀行強盗の受刑者が歌っている様に聞こえる。
なんだか、ブルースっぽいパンク風の歌詞である。

後にクラッシュによるカバーが大ヒットするが、やはり名曲は歌い継がれるのだ。

・Stand By Me
1961年にベン・E・キングによって発表された曲だ。

誰もが1度は聴いた事があるのでは、と言えるベースの名フレーズが主軸だ。
ギター、ドラムをほんの少し添える事でベースのリフとボーカルを引き立たせ、オーケストラが最高のスパイスになっている。

実に美しいメロディラインだ。
コードは延々とA、F#m、D、Eを繰り返しているだけなのだ。
ベースのリフも同じく繰り返している。
それらを全て引き立て役にして、この大名曲のメロディラインが燦々と輝くのだ。

・The Loco Motion
1962年にリトル・エヴァによって発表された曲だ。

キャロル・キングがこの曲を手掛けているが、曲が完成した際に、自身が雇っていた鼻歌の上手なベビーシッターに歌わせた結果、大ヒットを記録する。

このベビーシッターこそが、リトル・エヴァなのだ。
今やオールディーズを語る上で欠かす事の出来ない曲の誕生において実に面白いエピソードだ。

曲は、ミドルテンポの軽やかで実に楽しげなロックンロールだ。
実に滑らかでイカしたメロディラインに対してコーラスワークが際立っており、ホーンが重厚感のスパイスになっている。

後に実に様々なミュージシャンにもカバーされており、オールディーズを語る上で欠かせない名曲なのだ。

・Mr.Bassman
1963年にジョニー・シンバルによって発表された曲だ。

先に歌詞であるが主人公が曲の中で、ミスターベースマンにベースを教えてよ、という内容である。

曲の冒頭から、このミスターベースマンは、ずっと声でベースを奏でているのだ。

そこに、主人公のボーカルが重なり、隣りでずっと、ミスターベースマンがボンボンと歌っており、サビで主人公がこんな感じはどう?とミスターベースマンに向かって演ってみると、違うよ、こうだと手本をみせる。

曲が進むにつれ、主人公も声によるベースが上達し、ミスターベースマンもいいぞ、となっていき、最終的には2人でセッションまでしてしまう、という実に面白い、愉快な内容なのだ。

明るいテンポのロックンロールに、2人のボーカルの掛け合いが見事にハマった唯一無二の愉快な名曲なのだ。


・Be My Baby
1963年にザ・ロネッツにより発表された楽曲だ。

オールディーズを語る上で外せないミドルバラードなのだ。
痛々しいまでのピュアなラブソングを、リードボーカルのロニー・ベネットの少しハスキーながら実に美しいボーカルで披露し、イカしたメロディライン、見事なコーラスワークが基盤にあるのだが、外してはならないのがフィル・スペクターによるウォール・オブ・サウンドの大傑作である点だ。
ちなみに後にロニーとフィルは結婚する。

これらのマテリアルが見事に融合して、オールディーズにおける大傑作が生まれたのだ。

この曲は、誰がカバーしなくとも歌い継がれる素晴らしい大名曲なのだ。

・Leader of the Pack
1964年にシャングリラスによって発表された曲だ。

ふとしたきっかけで暴走族のリーダーと付き合う事になった主人公の少女。

しかし、友人達からは何故?的な反応を喰らい、親からも猛反対を受け、主人公の少女は彼の内心にある寂しさも理解して愛しているのに自ら別れを告げる。
彼はなぜ、と立ち尽くすが、泣くしかない主人公に優しくキスをしてバイクに乗って立ち去る。

そして、バイクの事故で彼、リーダーは亡くなる。

それから、学校では生徒達が立ち止まって、避ける様に主人公を見る様になるが、そんな事は気にしない。
主人公は彼、リーダーの事は決して忘れない。

その辺の映画よりも素敵で悲しくて前向きなストーリーなのだ。

ミドルテンポで実に美しく煌びやかで燦々とする演奏の中に、バイクのエンジン音がアクセントとなり、切なさ、悲しさ、強がりを凝縮した素晴らしいオケ、歌詞となり、最高にイカした美しいボーカルが、時に会話調となるコーラス、語り口となったりするボーカルと、緩急を付け、これ以上マッチしようがない大傑作なのだ。

(後記)
小学生の頃から慣れ親しんでいる曲達であるが、今の時代はこうして即座に本人の映像め見る事が出来て、実に楽しい作業であった。

古き良きオールディーズをこれからも記していく。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?