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勝手に10選〜80年代 イカしたROCK 洋楽編(前編)〜


(前記)

なんたる事であろう。
1980年代のイカしたロック(邦楽編)を記して、洋楽編をまだ記していなかった。

自身の人生において、物心がつき、チェッカーズに衝撃を受け、音楽、ファッションに目覚め、ギターを覚え、恋愛を覚え、友人、仲間がどんどん増えて、酒、タバコを覚え、服屋やレコードショップに入り浸り、週末は友人、仲間達と朝まで遊びまくった時代だ。

なので、物心がついていない時期があり、全てがリアルタイムではない。
だが、自身における人生の基盤みたいな礎を作ったのは間違いなく80年代である。

今回はそんな1980年代のイカした洋楽ロックを勝手に10選する。


・(Just Like) Starting over

1980年にジョン・レノンのシングルとして発表された曲だ。

1975年、自身の活動として、アルバム"Rock 'n' Roll"、シングル"Stand By Me"をリリースした後に、ジョン・レノンは愛息であるショーンの養育に専念する為に音楽の表舞台から姿を消し、専業主夫となった。

それから5年間の活動休止に至ったのだか、その間も自宅にて作曲活動は継続していたのだ。

"70年代は散々だったな。80年代は素晴らしい時代にしよう"との言葉とともに、1980年にレコーディングを開始し、同年11月にリリースとなるアルバムの先行シングルとして発表されたのが、この曲だ。

シンプルで爽快なロックンロールだ。
ジョン・レノンにおける、ロックンロール原点回帰、更なるジョンが奏でるロックンロールのアップデートとも言えるであろう。
実に清々しい気持ちになるロックンロールだ。

Aメロでジョンがふざけて、エルビス・プレスリーのモノマネをしたら曲にマッチして、そのまま採用されている。
ジョン・レノンも楽しんでレコーディングしているのが垣間見えるエピソードだ。

歌詞は、僕達はこれまで長い時間を共に過ごしてきたが、君の顔を見るとまた恋に落ちそうだし、もっと僕等も羽ばたいてゆこう、まるで始まりの様に、という実に前向きかつストレートな内容だ。
軽快なロックンロールと見事に融合している。

(Just Like) Starting over
まるで始まりの様に

この曲がジョン・レノンの生前最後のシングルになるとは、誰も予想できた訳がない。
タイトルも、実に皮肉に思えてしまう。

同年12月8日にジョン・レノンは暗殺され天国へと旅立ったのだ。

そんな1980年代の始まりの様だった。



・Do You Remember Rock’n Roll Radio?

1980年にラモーンズにより発表されたアルバム"End of the Century"に収録され、同年にシングルとしても発表された曲だ。

パンクというとセックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムドなどイギリスのイメージが強いが元々はニューヨークにて、ニューヨーク・ドールズやラモーンズらによって起こったパンクムーブメントが始まりである。

そんなラモーンズなので、非常にタイトでシンプルなロックンロールの数々を世に輩出してきたのだが、1980年にフィル・スペクターをプロデューサーに迎え発表されたのが本曲だ。

70年代を経て複雑化してきたロックというジャンルに対して古き良きロックンロールへの原点回帰を図った曲であり、管楽器、キーボード、ピアノなども用いた実にゴキゲンなロックンロールナンバーだ。

歌詞の内容は、ラジオから流れてきていたロックンロールを覚えているか?、最近の音楽は似たり寄ったりだし、ロックが過去の遺物になる前に変わろう、という内容となる。

なるほど、歌詞の中にロックンロールのアイコンである、エド・サリバン・ショー、ジェリー・リー・ルイス、ジョン・レノン、T・レックス等が登場するのも粋だ。

軽快なドラミング、ホーン隊による名リフ、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドも見事にハマった、とことん明るく痛快な素晴らしいロックンロールなのだ。



・Beat It


1983年にマイケル・ジャクソンのシングルとして発表された曲だ。

なんといってもKING OF POPはマイケル・ジャクソンだろう。
この曲が収録されているアルバム"Thriller"は、発売から今に至るまでこの世で1番のセールスを記録しているモンスターアルバムだ。

曲だが、これはPOPという枠を超え、POPと、R&Bとハードロックがケミストリーを起こした唯一無二の存在である事に異議を唱える余地は無いであろうが、肝は炸裂するギターのリフとカッティングとソロである。

このギターのリフ、ソロを奏でているのが、ヴァン・ヘイレンのギタリストであるエドワード・ヴァン・ヘイレンである。

マイケル・ジャクソンはダンスであったり、パフォーマーとして注目されがちであるが、見方をずらせば、ポテンシャルが大きな広いシンガーソングライターである。
マイケルの曲をそんな目線で聞くと、どこまでレンジの広いシンガーソングライターであるか感服しかないのだ。

マイケルの作った重厚感と疾走感に溢れるロックナンバーに、ヴァン・ヘイレンも参加してキャッチーなギターのリフが主軸となる、実に気持ちのアガるロックなのだ。



・Every Breath You Take


1983年にポリスによって発表されたアルバム"Synchronicity"に収録された曲だ。

筆者が80年代に聴いていたアーティストではポリスは絶対に外せない。
ぴったりリアルタイムではないが、後追いでよく聴いていたのが懐かしい。

当時は80年代、シンセサイザーなとを駆使したある種豪華なロックやポップが主流の時代に、
ギター、ベース、ドラムの3ピースバンドであるポリスのタイトでミニマムな音、ミニマルなマテリアルからコーラスワークやギターのカッティングで様々な曲を生み出すポリスが逆に新鮮で、自分の好みにマッチしていた。

この曲も非常にタイトでシンプルだ。
構成はAメロ、サビ、ミドルエイトから成るが、全てギターのリフが主軸となり、ドラムもシンプルにメロディラインの美しさを強調させてくれる見事なミドルテンポのバラードだ。

歌詞はスティング自身の経験に基づいた、いわばストーカーの香りのする歌詞であるが、その辺りは聴き手の解釈でよいのだ。



・Manic Monday

1986年にバングルスのシングルとして発表された曲だ。

筆者の姉や少し年上の女性たちが、当時バングルスをやたら聴いていたのが懐かしい。

軽やかで華やかで、スザンナ・ホフスのボーカルも可愛らしいボーカルも冴え渡る実に気持ちの良いミドルテンポのロックナンバーだ。

筆者は後年になって知り大変驚いたのが、この曲はプリンスが作っていたのだ。
バングルスのファーストアルバムを気に入ったプリンスがハリウッドで行われたバングルスのライブに飛び入り出演し、その後にプリンスのスタジオに招待された際にこの曲を聞かされたという。

筆者は当時プリンスも好んで聴いており、バングルスとプリンスの世界観が対極にある印象があり、その事実を知ったあとに曲を聴き直したのだが、なるほどコーラスワーク、ちょっとしたメロディラインなどにプリンスの香りも垣間見る事が出来る。

軽やかで美しい華やかなガールズグループのバングルスの世界観におけるマテリアルに、プリンスの存在があった事には驚いたが、見事に自分達の曲の世界観にしている。

実に軽やかな気持ちの良いロックである。


(後記)

後半へ続く。

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