私だけのひみつの時間
今夜もあなたが先に眠る。
捕まえて、捕まえられて。お互いの素敵な海を果てしなく泳いだあとは、心地よい脱力感と急激な眠気が襲う。
私は目を閉じてあなたの静かな息遣いを数える。段々と、深くゆっくりとした呼吸に変わってゆく。
ほんの少し目を開けてみる。あなたは優しい表情で、安心しきったように眠りの世界に深く入ってゆく。
このまましばらく見つめていよう。贅沢な、私だけの時間。そっと指先であなたの髪に触れてみる。頬に掌を当ててみる。両手で包んでみる。…起こさないように。
一段と深い呼吸に変わる。豊かな睫毛にそっとキスをして、私も瞳を閉じる。
あなたは目を覚ましたら、きっと悔しがる。また私の寝顔を見過ごしたねと。
こんな贅沢は譲れない。私だけの、至福の時間なんだから。誰にも、譲れないよ。
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