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第7回 天照大御神(アマテラスオオミカミ) 誘い出し大作戦

 第5回の神々の誕生神話からの続きになります。伊邪那岐命(イザナギミコト)は、自分から生まれた3柱の神に月読命(ツキヨミノミコト)に夜の世界を治めるように、天照大神(アマテラスオオミカミ)には高天原を治めるように命じます。そして、健速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)には海原を治めるように命じました。

 ところが、スサノオイザナギの言うことを聞きません。泣きわめいて駄々をこねてばかりいます。鳴き声で、山は枯れ、海は干上がり禍が満ちあふれました。イザナギが、なぜ泣いてばかりいるのかと尋ねると「根之堅洲国(ネノカタスクニ)にいる母神のイザナミに会いに行きたい」と答えました。これには、イザナギは激怒します。そして、スサノオを勘当して葦原中国(アシハラノナカツクニ)から追放してしまいます。

 スサノオノは、根之堅洲国行く前に高天原にいるアマテラスに会いに行きます。スサノオノが、高天原に行くと山や川が轟き、大地が震えます。これを見たアマテラスは高天原を奪いに来たと思い込みます。アマテラスは身構えます。髪型を変え、背に千本の矢を背負い、わきに五百本の矢を身につけ、弓を振り立てて待ち構えます。

 アマテラススサノオノに何の用事だと尋ねます。スサノオノは母のいる根之堅洲国に行く前に挨拶に来ただけで、他意は無いと答えます。アマテラスは重ねて問います。邪心が無いことを証明しろと。

 スサノオノ宇気比(ウケイ)をしょうと提案します。ウケイの結果により証明すると言います。まず、アマテラススサノオの剣から、3柱の女神を生み出します。次にスサノオが、アマテラスの髪飾りから5柱の男神を生み出します。スサノオは私の心に邪心がないから、剣から女神が生まれたのだと勝ちを宣言します。

 スサノオは勝ったことを良いことに乱暴を働き始めます。アマテラスの田圃の畦を壊し、溝を埋め神殿に糞を撒き散らします。
アマテラスは弟の乱暴を責めません。畦を壊したのは田圃を広げるため、糞に見えたものは酒に酔っての嘔吐物でしょうと庇います。

 スサノオは益々調子に乗ります。アマテラスの機屋の屋根に穴を開け、皮を剥いだ血だらけの馬を投げ込みました。中にいた服織女は驚いて機織り機で、女陰を突き刺し死んでしまいました。あまりのことにアマテラススサノオを恐れ、天岩屋に閉じこもってしまいました。

 そうするとアマテラスが閉じこもったことにより、高天原葦原中国は暗黒の世界になってしまいました。
  そうして闇の世界が続いたため、悪しき神々が跋扈(ばっこ)し、禍が満ちあふれました。困った八百万の神々は天安川(あまのやすかわ)の河原に集まり対応を相談します。
  神々は八咫鏡(やちかがみ)と大きな勾玉の玉飾りを造ります。玉飾りと八咫鏡を取り付けた大きな榊を準備します。

 次に沢山の長鳴き鳥を鳴かせ、それを合図に伏せた桶の上で天宇受売命(アメノウズメノミコト)が激しく踊ります。着物をはだけて、乳房や陰部を見せて踊り狂います。それを見て神々は歓喜を上げて喝采します。

 この大騒ぎに岩屋の中のアマテラスは、外の様子が気になります。岩屋の戸を少し開けて何の騒ぎだと問います。アメノウズメは「あなた様に勝る尊い神様がおいでになって、みんなして喜んでいます」と答えました。そして、アメノウズメは八咫鏡を突き出します。八咫鏡はアマテラスの光を反射して輝きます。不思議に思って、アマテラスは更に身を乗り出します。その瞬間、力自慢の神様、天手力男命(アマノテジカラヲノミコト)が、岩屋の戸をこじ開けアマテラスを引張り出しました。

 こうして、アマテラス誘い出し大作戦は成功して、高天原葦原中国に光が戻りました。
 この騒ぎを引き起こしたスサノオは髭を切られ、手足の爪を抜かれ高天原から追放されます。これ以降、スサノオは出雲神話で活躍することになります。

  宮崎県北部の高千穂町には、アマテラスが隠れた天岩戸をご神体とする「天岩戸神社」が有ります。その西本宮から岩戸川に沿って10分ほど歩いたところにある、大きな洞窟が天岩戸です。その前の河原が、八百万の神々が集まった「天安河原(あまのやすかわら)」と言い伝えられています。

 テジカラヲノミコトが投げた岩戸は、長野県長野市戸隠にまで飛んで、戸隠山になったと伝えられています。近くの戸隠神社には、テジカラヲノミコトの他天岩戸伝説関係の神々祀られています。

  宇受売命(アメノウズメノミコト)の踊りが、日本最初のストリップだと言われたりします (笑)。しかし、アメノウズメノミコトは芸能の神として、芸能関係者に広く信仰されています。


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