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習作1(その16):文化か金か

短文を書きました。小説の一項になるにはどうすればよいかアドバイスをください。

文化か金か

「今月も赤字です。リピーターがいません。満足しているお客さんは何人いるんでしょう。」
「いるさ。世界で一番うまいラーメンなんだから。」
「世界で一番うまくても、文句言わずに代金を払うお客さんがほとんどいません。認められてないんだと思いますよ。」
「ここで妥協しちゃいけないんだよ。良いものにはそれに見合う対価を払ってもらう。そういう文化を作らなくちゃいけないんだから。」
二人は檜の1枚板で作られたカウンター席で話していた。
カウンターは4人掛け。
今まで、満席になったことはない。
最近は、一人も座らない日もある。
「それは、うちだけではできませんね。世の中を巻き込まないと。」
「巻き込もうよ。」
「そうですが、赤字ということは、巻き込めていないということです。」
「一杯500円のラーメンもあっていい、一杯20,000円のラーメンがあってもいい。」
「でも、ほとんどのお客さんは、高すぎるって言って、代金を払いませんよ。お巡りさんもあきれてましたよ。無銭飲食が多すぎるって。」
「いいじゃないか、無銭飲食の連中は、代わりに労働してくれているんだから。」
「羅臼行の航空券で、赤字が増えてます。」
「昆布は、うちのスープのかなめだからね。」
「かなめだとしても、現地にあるものを輸送してもらえばいいと思いますよ。わざわざ現地に人を置かなくても。それに増員まで要らないと思いますよ。」
「自分たちで作るから、本物の味を出せるのよ。」
「とにかく、1杯20,000円では、食べてくれる人が足りません。このままでは、赤字が増えるばかりです。」
「寿司だったら、20,000円払うでしょ。ラーメンだって、感動があれば払う。」
「寿司は、相場があって、20,000円の寿司が1軒ではなくて、そこそこの数あるので、認知されているんですよ。もっと高いのもあるし。」
「店を寿司屋にして、寿司屋がラーメンを出すことにしよう。」
「寿司屋に改装するのに金がかかりますよ。」
「金の話をしているんじゃない。文化の話をしているんだ。」
「文化は、金が作るんです。」



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